ユニバーサルデザインとは?高齢者にとっても優しいデザインのポイントを紹介
高齢者向けのデザインは「読める」「伝わる」ものであることがとても重要です。
個人差はありますが、高齢者は加齢によって字が読みにくく、色の違いがわかりにくくなったりします。そのため、インパクトやトレンドではなく、高齢者向けのデザインを意識する必要があります。
本記事では、高齢者向けのデザインとして、ユニバーサルデザインの事例も取り上げながら、どのようなデザインが適切かをお伝えしていきます。
高齢者向けのデザインを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. ユニバーサルデザインとは
ユニバーサルデザインとは、年齢、性別、文化、身体の状況など、個々の違いや特性に関わらず、誰もが簡単に利用できる「すべての人のためのデザイン」のことです。
街や建物、製品、サービスなど、あらゆる面で誰もが快適に生活できる環境を実現するための考え方に基づいています。
また、具体的にユニバーサルデザインには7つの原則があります。
- 誰もが利用し、手に入れることができる(公平性)
- 柔軟に利用できる(自由度)
- 利用方法が容易に理解できる(単純性)
- 利用者に必要な情報が分かりやすく伝わる(わかりやすさ)
- 誤っても重大な結果に繋がらない(安全性)
- 少ない力で効率的かつ楽に利用できる(省体力)
- 利用する際に適切なスペースが確保されている(スペースの確保)
ユニバーサルデザインの7つの原則をすべて満たすことは容易ではありませんが、段階的に取り組んで努力を重ねることによって、「すべての人のためのデザイン」が実現されていくでしょう。
2. 高齢者にも優しいユニバーサルデザインの事例
高齢者向けのデザインという言葉を耳にすると多くの方は、点字ブロックや段差のないバスなど、街で見かけるバリアフリーな要素を連想するかもしれません。
ユニバーサルデザインとバリアフリーは厳密には違うもので、バリアフリーデザインは高齢者やさまざまな身体状況の一人ひとりの機能を補うことを重視した考え方と言われています。
ここでは、高齢者や身体障害がある人をはじめ、誰にとっても使いやすいユニバーサルデザインの事例をご紹介します。
自動販売機|ダイドードリンコ
ダイドードリンコでは、高齢者でも使いやすいユニバーサル仕様の自動販売機として、「受け皿つきコイン投入口」「返却レバー」「紙幣挿入口」「コイン返却口」に、高い視認性を持つイエローオレンジを採用しています。
さらに、商品を取り出すための出口は、腰をかがめる必要がないように高い位置に設置。
くわえて、コインを投入する際はスムーズな操作を実現するために、投入口は受け皿型になって複数枚のコインを一度に投入できるようになっています。
参考:ダイドードリンコ|自動販売機でユニバーサルデザイン!?「ユニバーサル自販機」の機能や導入メリットをご紹介!
Webサイト|ケアまど
「ケアまど」のWebサイトにおいては見やすさを重視し、明るく鮮やかな色調を背景に採用しています。
鮮明なオレンジとグリーンをメインカラーおよびサブカラーとして採用することで、視認性を高めていることがわかります。
さらに、お問い合わせや資料請求、来店予約などのUI要素にはアイコンを取り入れ、前述の2つのカラーを用いて要素を統一することで、一貫性のあるユーザーフレンドリーな見た目Iを実現しています。
また、加齢に伴い手先の微細な操作が難しくなることから、ホームページ上のボタンにも十分な配慮が必要です。
「ケアまど」では、ヒットエリア(クリック可能な領域)を明確にするため、枠や背景を追加しています。ユーザーが直感的にボタンであることが分かりやすくなり、色の混同を避けることもできます。これはGoogleが提唱するマテリアルデザインの原則とも合致しています。
ピクトグラム(絵文字)|くすりの適正使用協議会
くすりの正しい服用方法や注意事項などを、交通標識のようなピクトグラム(絵文字)で伝える取り組みが拡大しています。
この活動は、「くすりの適正使用協議会」という、薬の適切な利用を推進する製薬企業27社の連合体が行っているものです。
このピクトグラムの種類は、2023年6月に28種類から51種類に拡充される予定です。ピクトグラムの制作は、ユニバーサルデザインフォーラム(任意団体)の協力を得て、「くすりの適正使用協議会」が独自に開発しました。
これらのピクトグラムは、人の顔やナイフ・フォーク、太陽・月、目、耳、鼻などの身体部位など、幼い子供でも直感的に理解できる要素を組み合わせています(下図参照)。
伝えたい内容のイラストは大きく描かれ、時間の経過を示すものには数字が付記されています。また、服用のタイミングを示す際には同じデザインを用いて比較可能にし、禁止を示す際には×印ではなく斜線を用いるなどの工夫が行われています。修正されたピクトグラムを用いて行われた2004年1月のインターネット調査では、すべてのピクトグラムが80%以上の認識率を示しました。
参考:くすりの正しい服用法をサポート 「子供からお年寄りまで一目でわかる絵文字(ピクトグラム)」
3. 高齢者向けデザインのポイント
高齢者は新聞やテレビだけでなく、インターネットも広く利用しています。
視力や色彩感覚、瞬発的な読解判断スキルが低下しやすい高齢者にとって、誤認を生じない分かりやすい情報デザインが不可欠です。
ここからは、高齢者向けの情報デザインを意識する際に重要なポイントをご紹介します。
色彩
加齢に伴い視力の低下だけでなく、色覚も影響を受けることも多いです。
この現象は、目の水晶体が紫外線などから眼球を保護しようとして、ガラスのように濁り始めることによって引き起こされます。
その結果、色覚の劣化に繋がり、80歳以上の人々の間でほぼ全員が経験するとされている白内障の症状として現れます。色覚の劣化が進んだ状態でも、文章を適切に認識できるようにするためには、背景と文字のコントラスト比を60%以上維持するなどの工夫が必要です。
情報量
ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会(UCDA)の「読みやすいデザイン」によれば、印刷物や画面上の表示において、情報量が19%を超えると、ユーザーは読みにくさからストレスを感じやすくなるとされています。
高齢者に対してどうしても伝えるべき情報が多い場合は、効果的に画像や図形を活用したり、余白をとって文字を配置されていることがわかります。
より詳細な内容は次の記事でご紹介していますので、あわせて参考にしてください。
4. シニア向けのアプローチには「おしるこ」がおすすめ
今回は、高齢者向けのデザインに悩む方に向けて、デザインにおける大切なポイントとその理由を紹介してきました。
本記事でお伝えしたとおり、高齢者も新聞やテレビ、チラシだけでなく、インターネットから情報を手に入れることが増えています。
ただし、加齢によって視力や色彩感覚などの能力が低下する可能性があるため、広告を制作する際には、「分かりやすいメッセージ」「見やすいデザイン」が非常に重要です。
そのためには、ユニバーサルコミュニケーションデザインを理解しておくことで、高齢者だけでなく誰もが理解しやすいデザインを実現することもできます。
もし高齢者向けの広告デザインに悩んでいる方は、高齢者向けのSNSである「おしるこ」にぜひお問い合わせください。「おしるこ」は50歳以上を対象としたSNSであり、高齢者に合ったデザインを心がけています。
詳しいサービスについては、以下のリンクからご確認いただけます。ぜひお気軽にお問い合わせください。