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エイジフレンドリーとは?シニアが安心して働ける労働環境づくりへの新たな取り組み
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エイジフレンドリーとは?シニアが安心して働ける労働環境づくりへの新たな取り組み

エイジフレンドリーとは、シニア世代が安心して働くことができる環境づくりを目指すために提示された新しい言葉です。

欧米を中心に使われ広められてきたエイジフレンドリーへの取り組みは、令和になった日本でもスローガンとして掲げられるようになりました。

そこで、エイジフレンドリーという言葉の意味や、エイジフレンドリーに対する日本での具体的な取り組みをご紹介していきます。

目次

  1. エイジフレンドリーとは
  2. エイジフレンドリーへの取り組み
  3. エイジフレンドリーの具体例
  4. まとめ

1. エイジフレンドリーとは

エイジフレンドリー

「エイジフレンドリー」という言葉は、あまり聞き慣れない方も多いかもしれません。

この言葉はどのような背景で誕生し、現在の日本においてどのような意味を持って活用されているのでしょうか。

まずは、シニア世代のために「エイジフレンドリー」がどのような意味を持って活用されているのかを解説していきます。

エイジフレンドリーの意義

「エイジフレンドリー」とは「高齢者の特性を考慮した」という意味を持つ言葉です。

この言葉は、主にWHO(世界保険機構)や欧米の労働安全衛生機関で使用されています。

日本では、令和2年に厚生労働省によりエイジフレンドリーガイドラインが公表されました。

令和2年3月発表「エイジフレンドリーガイドライン」

このガイドラインは、高齢者が安心して安全に働ける労働環境を提供するために必要な施策を講じるように各労働団体へ呼びかけるもので、その背景には高齢労働者の増加と労働災害発生数の増加があります。

60歳以上の高齢者の就業率は年々増加の一途を辿っており、特に「団塊の世代」と呼ばれる世代が70歳を超える2017年以降は、主に70歳以上の就業率の増加が著しい結果となっています。

参考:総務省統計局発表「図6・高齢者の就業率の推移」

また、高齢労働者が増えたこともあり、60歳以上の労働災害発生数も、働き盛りとされる30歳代と比較すると男性で約2倍、女性では約4倍の増加が見られます。

参考:令和4年厚生労働省発表「年齢別・男女別労働災害発生率(千人率)」

つまり、一般的に高齢者と呼ばれるシニア世代は、まだまだ元気で働いているものの、加齢に伴う身体機能の低下などが影響し、転倒や転落などの労働災害に見舞われるケースが増えているという現状があるのです。

こうした現状を背景に策定されたのが「エイジフレンドリーガイドライン」であり、シニア世代が働きやすい環境を整えていくことが急務だと考えられています。

プロダクティブ・エイジング

エイジフレンドリーという概念のもと労働環境を整備するにあたって、念頭に置いておくべき考え方として「プロダクティブ・エイジング」という言葉があります。

プロダクティブ・エイジングとは「老年学の父」と呼ばれるアメリカのロバート・N・バトラー博士が提唱した概念で、高齢者が「身体的にも精神的にも健康を保って人生を楽しみ、長年培ってきた経験を活かして生産性を維持し、社会に貢献しながら年齢を重ねる生き方」です。

急速に高齢者数が増加している日本では、第一次ベビーブーム期である1947年~1949年に生まれた人々が2025年にはすべて75歳以上になることを踏まえ、社会保障費の削減といった問題の解決のためにも「プロダクティブ・エイジング」を実現していくことが大きな鍵であると言われています。

この実現のために、新たな団体が設立されて研究が進められているのです。

参考:一般社団法人プロダクティブ・エイジング研究機構・代表挨拶

つまり、高齢者=シニア世代が心身ともに健康でアクティブな生活を送ることで、シニア世代それぞれの幸福な生活が約束されるだけでなく、社会全体の生産性維持にも大きな影響を及ぼすことになります。

そのため、エイジフレンドリーの実践を考えるなら、プロダクティブ・エイジングを意識しておくことが大切なのです。

「プロダクティブ・エイジング」についての詳しい解説は、ぜひ以下の記事をご覧ください。

2. エイジフレンドリーへの取り組み

工事現場

プロダクティブエイジングという概念のもと、エイジフレンドリーな職場環境を整えるために厚生労働省がガイドラインを示しました。

では、実際にエイジフレンドリーに取り組むには、どのようなポイントを押さえて実施していけば良いのでしょうか?

取り組みへのポイントと、日本国内の様々な団体で行われている「エイジフレンドリー補助金」について解説します。

エイジフレンドリーに取り組むには?

厚生労働省が提示した「エイジフレンドリーガイドライン」は、高齢者が安心して安全に働くことができる労働環境を整えることを目的としています。

高齢者のために労働環境を改善するには、ガイドラインにも記されているようなポイントを押さえて取り組む必要があります。

安全衛生管理体制を確立する

会社や企業など、労働を提供する側の管理体制がきちんと確立していることは、エイジフレンドリーを実現するために重要です。

具体的には、以下のような内容を具体的に実践することで実現に向かいます。

  • 高齢者労働災害防止のために具体的にどのような対策を取るのかを示す。
  • リスクアセスメント(作業に伴う危険や有害性を抽出)を実施して、想定できる労働災害リスクを予防する。

こうした具体的な取り組みを会社や企業が率先して行うことで、高齢者が安心して安全に働ける環境を構築することができるのです。

職場環境を改善する

具体的な実践策が完成したら、それに合わせて職場環境の改善を試みていきます。

人間は、加齢に伴って身体機能が徐々に衰えていきますので、働く環境にある設備や装置を必要に応じて改善し、高齢者でも安全に働けるように整えます。

また、作業内容や勤務形態も、高齢者の特性に配慮する「エイジフレンドリー」の概念で検討し改善していくことが必要です。

高年齢労働者への理解を深める

高齢者の特性に配慮した職場環境を作るためには、対象となる高齢者=高年齢労働者への理解を深めていく必要があります。

定期的な健康診断を実施して健康状態の把握に努めるだけでなく、体力の状況の把握にも努めていくことで、高年齢労働者に多いとされる転倒や転落などの労働災害を防止することができます。

安全衛生教育・訓練を実施する

高齢者になると、心身の衰えから記憶力や理解力にも変化が生じ、若い世代の人々と同じようなテンポでは理解できないことも多くなります。

そのため、高年齢労働者に対しての教育や訓練は、時間をしっかりかけて丁寧に行う必要があるのです。

また、教育や訓練を実施する側である会社や企業の管理担当者などにも、高年齢労働者の特性を理解するための教育を行います。

高齢者自身の自己管理意識を向上させる

エイジフレンドリーガイドラインの最後には、高年齢労働者自身も「健康を守るための努力の重要性を理解し、自らの健康づくりに積極的に取り組む」ことが重要だと明記されています。

つまり、会社や企業側がどれだけお膳立てしても、高齢者自身が自覚をして生活習慣の改善や体力の向上に努めていかなければ「エイジフレンドリー」は実現しないということなのです。

それぞれの高年齢労働者が、自らの心身の変化が労働災害リスクにつながるということを理解しておくことが重要です。

以上、この5つがエイジフレンドリーへの取り組みについて押さえるべきポイントです。

エイジフレンドリー補助金

道路工事

エイジフレンドリーへの取り組みを、ガイドラインに合わせて実現していくために必要な費用を補助する「エイジフレンドリー補助金」というものがあります。

この補助金は、支給対象となる条件が定められているため、その条件を理解した上で申請しましょう。

対象となる業種

まず、エイジフレンドリー補助金の対象となる条件のひとつに「業種」があります。

業種は以下の4業種で、それぞれ従業員数と資本金または出資額が決められています。

  • サービス業…医療福祉、教育、娯楽、宿泊、情報サービス、学術研究、専門技術サービスなど。従業員100人以下、資本金5000万以下であること。
  • 小売業…飲食店、宅配飲食サービスなど。従業員数50人以下、資本金5000万円以下であること。
  • 卸売業…従業員数100人以下、資本金1億円以下であること。
  • その他の業種…建設、製造、運輸、金融、保険、農業、林業、漁業など。従業員数300人以下、資本金3億円以下であること。

対象となる雇用者

エイジフレンドリーは「高齢者の特性に配慮する」ための施策ですから、当然ながら補助金の申請には「高年齢雇用者」を抱えていることが条件となります。

常時1人以上の高年齢労働者を雇用していることと、支給対象は60歳以上と規定されていることを覚えておくと良いでしょう。

対象となる保険加入条件

エイジフレンドリー補助金を申請するには、会社や企業が労働保険や社会保険に加入していることが条件となります。

これらの保険に加入していない場合は、補償の対象から外れてしまいますので注意しておきましょう。

最新版の「エイジフレンドリー補助金」については、下記のページに申請の方法や内容が詳しく解説されていますので、申請を検討している人はぜひご覧ください。

令和5年度・エイジフレンドリー補助金のご案内

3. エイジフレンドリーの具体例

警備員

シニア世代が安心して安全に働けるために職場環境を改善するエイジフレンドリーの取り組みは、様々な角度から具体的に実践することができます。

どのような取り組みを実践して職場環境の改善を行っていったのでしょうか。

エイジフレンドリーの具体例をご紹介していきます。

作業負担軽減への取り組み

空調事業などを行うダイキン工業株式会社では、作業負担の軽減を図るために作業台の高さや角度を改善。

その結果、スタッフが無理な姿勢を取ることなく作業を進められるようになりました。

また、ITを活用した部品管理を取り入れることで作業の効率化を実現し、安全教室などを実施して幅広い労災防止対策を行っています。

就業時の熱中症対策への取り組み

警備・セキュリティ事業を行う綜合警備保障株式会社では、着衣にセンサーを付けて心拍数などを計測して熱ストレスを関知し、熱中症対策を実施しています。

また、高年齢雇用者については配置転換などをして極力負担のかからない業務に就かせるなどの工夫を行っています。

参考:働き方改革ラボ・高齢者の活躍促進のための取り組み事例

4. まとめ

エイジフレンドリーについて具体的な取り組みを実践していくためには、働くシニア世代が重要視している「プロダクティブ・エイジング」の概念を理解し、どんな状況にあっても安心して安全に働くことができる職場環境を整えることが必要です。

プロダクティブ・エイジングを実行しているシニア世代は、多くの情報をSNSから収集しています。

そんなシニア世代の意識を知りたい時には「シニア向けコミュニティアプリ『おしるこ』」がおすすめです。

50代以上限定のSNSですから、働くシニア世代に対して様々な角度からアプローチすることができます。

シニア向けコミュニティアプリ「おしるこ」に関する詳しい資料は、以下からダウンロードできますので、ぜひご確認ください。

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