ペルソナって何?誰でもできるペルソナ設定の方法と具体例を紹介
マーケティングにとってペルソナ設定はメリット満載!
ペルソナの知識や正しい設定方法をわかりやすく解説していきます。
目次
- ペルソナってなに?なんで設定するの??
- ペルソナを設定する4つのメリット
- ペルソナを設定する2つのデメリット
- 誰でもできる!ペルソナ設定方法と注意点
- 【ペルソナ具体例】完成形はこれだ!
- マーケティングに効果的なペルソナはデータから作ろう!
1.ペルソナってなに?なんで設定するの??
ペルソナとは
ペルソナとは、商品・サービスに対する架空の顧客ユーザー像のことです。
ラテン語の『仮面』が語源ともいわれ、「20代女性」のようにざっくりとした範囲を示す『ターゲット』とは異なり、「名前は山本、性別は女性、年齢は28歳、飲食店に勤務、○○駅徒歩5分、1LDKの賃貸に居住、趣味はアニメ鑑賞・・・」というように、一人の人物像を詳細まで作り込むのが特徴です。
なんで設定するの?
ペルソナを設定すれば、商品やサービスの企画から販売まで一貫したマーケティング戦略を練ることができます。
2.ペルソナを設定する4つのメリット
メリットは様々ありますが、今回は4つのポイントにまとめました。
1.顧客目線に立ちやすくなり、適切なサービスが提供しやすくなる
顧客の日常がはっきりとわかることで、顧客に対するアプローチが考えやすくなります。いつもどんなことに困っているか、何があると助かるのか、などの情景が浮かびやすくなり、適切なサービスの提供に有効です。
2.開発チームで顧客像の認識のズレが解消できる
「大雑把な人」と表現しても、人によって捉え方は異なります。料理の調味料を計量せずに入れるのか、それとも計量はきちんとやるけど、味に対して頓着しないのか、どこに対してどのように大雑把なのか、決まっていなければそれは聞いた人の想像にゆだねられます。
しっかり計量するが、しかし味の善し悪しはわからない、など詳細に定義することで、開発チームの中でも認識のズレを解消でき「だったらしっかり計量すれば、間違いなく美味しい商品を開発しよう」など建設的に提案でき、時間のロスや考えの行き違いを減らせ、人件費や開発費を削減できます。
3.顧客の性格やライフスタイルなども反映できる
昼出社する人は、朝はゆっくりとコーヒーを淹れる時間があるでしょう。ボタン一つで手早くコーヒーを淹れられるマシンがいいのか、はたまた時間をかけてじっくりと豆から旨味が抽出されるのを楽しめるドリップサーバーがいいのか変わってくるでしょう。
仮にですが古書収集など少し凝った趣味がある人なら、時代感に溢れたデザインのドリップ装置に惹かれるかもしれません。このように、ペルソナを設定することで商品やサービスを改善させる指向性を定めることにも役立ちます。
4.プロジェクト効率が向上し、時間や費用が削減できる
ペルソナに対して「この商品はどうか」「このサービスはどうか」といちいち具体的に検討できるので議論や判断に無駄がありません。議論は建設的になり、必要のないものは徒労であることがわかりやすくなります。無駄な時間かからなければ、個人の生産性も上がり、利益も飛躍的に向上しやすくなります。
3.ペルソナを設定する2つのデメリット
ペルソナが非常に効果的なことがわかると思います。「では、デメリットは?」続いて紹介します。
1.十分なリサーチや分析が必要なため、時間や労力が必要
ペルソナは主観で作ると失敗しやすいため、信頼にたるデータをたっぷり収集する必要があります。そのためざっくりとしたターゲット設定よりも、より多くのデータやパターンを調査・収集する必要があり、当然時間や労力がかかります。
ペルソナ設定は成功のために非常に優れた手段ですが、より効果的にするためには多くの準備が必要となります。プロジェクト全体が成功を収めるためには、計画を正しく調整する必要があります。
2.不適切なペルソナを設定すると成果が出にくくなる
もし設定したペルソナが、実際に存在する顧客ユーザーとかけ離れている場合、当然ながら商品やサービスの訴求ポイントはずれ、どの顧客ユーザーの心にも響かないものができあがります。
そうなればペルソナ設定込みで費やした開発費は無駄になってしまいます。ペルソナ設定の失敗は致命傷にもなりかねません。そのためペルソナ設定の際は、幾つかの注意点を忘れることなく、設定する必要があります。
4.誰でもできる!ペルソナ設定方法と注意点
それでは「ペルソナを設定するには実際にどうすればいいのか」解説していきたいと思います。
1.まずは情報収集をしよう
ペルソナは架空のユーザーとはいっても、現実にいる人へサービスを届けるわけですので、現実の人のデータを集めていきます。
情報収集をする方法
情報収集をするには、主に以下のような方法があります。
- 既存の顧客へのインタビュー(アンケート含む)
- 営業担当者へのインタビュー
- 社内データの分析(アクセス解析など)
- 政府やシンクタンクのデータを利用
- 検索エンジンやSNSでの反応調査(ネット上の口コミなど)
基本的には「生の声を集めること」「公開されている信憑性の高い調査データを収集する」この2つです。
例えば、直接クライアントの反応を見ている営業担当へのインタビューや、統計など政府が公開しているデータやネット上の投稿なども参考にできます。
ペルソナで設定したい項目例
では実際にどのような項目を設定すればよいか、次のようにまとめました。
- 年齢
- 性別
- 住んでいるところ
- 一人暮らしか実家暮らしか
- 職業(内容、役職)
- 収入
- 貯蓄状況
- 最終学歴
- ライフスタイル(起床・就寝時間、通勤時間、勤務時間、休日の過ごし方)
- 性格・価値観
- 人間関係・家族構成
- 趣味・興味
- 不満・悩み
- スマホの使用頻度(インターネット利用状況・利用時間)
- よく使うアプリ
- 利用しているSNSと使用頻度
- 所持するデバイスの種類
- 現在の悩みごと
以上は一例ですが、プロジェクトにあわせた情報を収集していきましょう。
2.情報を整理し、組み立てよう
集まった膨大なデータから情報を整理していきましょう。性別や年齢、家族構成、職業といった項目を設定して、ペルソナの情報を書き出していきます。
この際、より具体的な設定を加えることもポイントです。例えばペルソナの氏名や写真、その人物の台詞なども設定していきましょう。
しかし、以下の4つの点には注意しながら作成する必要があります。
- 個人や自社にとって都合のよい人物像にしない(根拠なしはNG)
- 一人を超えて設定しない(あくまでも一人に絞る)
- 設定後も定期的にペルソナを見直す
- わかりやすい顧客像の設定を心がけよう(不必要な情報は削除)
それぞれ解説していきます。
個人や自社にとって都合のよい人物像にしない (根拠なしはNG)
現実の消費者ニーズと乖離させないようにしましょう。売りたい相手が20代だったとしても、実際に興味を持ってるのが30代であれば、後者を尊重しましょう。
先入観や思い込みは排除し、現実的な要素を重要視してください。「私がユーザーだったら〜」という主観的な判断には注意しましょう。他にも「ありそうだよね」「なんとなく」など印象での設定も失敗の要因となります。
例えば「年収1,000万円以上のユーザーは高級レストランに通い、外国製の高級車を持っている——」これはうわべの情報(印象)であり、実際は安い居酒屋が好きな方が多いかもしれないし、国産のファミリーカーに惹かれている可能性だってあります。
この失敗を避けるためには、お客様の生の声や第三者による客観的なデータなどを活用し、根拠のない設定をしないことが大切です。
一人を超えて設定しない(あくまでも一人に絞る)
ユーザー像は実在しそうな人物一人に絞って設定することがポイントです。どこにでもいそうな誰かのプロフィールではなく、しっかりと実在しそうな一人の人物を深掘りしましょう。
誰にでも当てはまりそうなふわっとしたユーザー像を作ると、商品やサービスなどの軸がぶれてしまう可能性が高くなります。
設定後も定期的にペルソナを見直す
作ったペルソナが実際のユーザーとずれている可能性や、時代の流れと共に消費者意識が変化していくこともあります。
定期的に見直して改善することで、プロジェクトに対してより最適化されたペルソナへと成長させることができます。企画の途中であっても見直すようにしていきましょう。
わかりやすい顧客像を心がけよう(不必要な要素は削除)
ペルソナは設定が複雑になりすぎると、ユーザー像が把握しにくくなります。必要のない要素は削除し、具体性があり、わかりやすいユーザー像を設定するよう心がけましょう。
3.ペルソナを完成させよう
情報を組み立て、ペルソナを完成させていきます。
ちゃんとペルソナになってるかチェックしよう
ペルソナを完成させる際には、以下の4つの点を気をつけましょう。
- その人が言いそうなセリフが把握できるか。
- 職業・年齢などの個人情報が設定されているか。
- 人物像を特徴付ける情報が盛り込まれているか
- あなたの商品・サービスとの関わり方についての情報があり、意思決定に活かせるか。
ペルソナが設定できたらニーズもチェックしよう
ペルソナを作り上げると最終的には顧客のプロフィールが出来上がる形になります。しかし顧客を設計する上で、最も重要なのは「何を求めているか」が浮かび上がることです。
例えば「20代飲食店勤務で韓国アイドルが好きな女性、月に一度は韓国へ旅行する」という情報では「韓国アイドルが好き」などの情報だけではなく「仕事だらけの日常からの解放されたい」「ある程度好きな時に好きな場所へ旅行したい」などのニーズも把握できるようにしましょう。
それがわかることで「仕事を楽しくする(日常が楽しくなる)方法」や、「サブスクリプション的に使えるチケット」を提案するなど具体的な商品・サービス像が浮かび上がりやすくなります。
5.【ペルソナ具体例】完成形はこれだ!
ここでは実際にペルソナの具体例を紹介していきます。
ペルソナは企業のマーケティング戦略の根幹ともいえるため、公開している企業は非常に希です。しかし、今回は子供向けウェブコンテンツ制作の際により有効なサイトを実現できるよう、サイト制作者の方へ無償で提供されている『富士通 キッズコンテンツ 作成ハンドブック ペルソナマーケティング編』を参考に紹介させていただきます。
こちらは2007年に作成されたものとなりますが、ペルソナ作成のイメージとして参考にしていただければと思います。
富士通がペルソナ設定に用いたデータ
この参考資料では、富士通が『ウェブサイト担当者で子供向けウェブコンテンツへ取り組まれる方』へ、『サイトのターゲットである小学生・先生・保護者のペルソナの作り方』を公開しています。富士通が実際にペルソナ作りに参考にしたデータは以下のとおりです。
- gooリサーチ 自主・共同調査結果集
- Benesse教育研究開発センター第1回子ども生活実態基本調査報告書
- 文部科学省 新学習指導要領
- 専門家によるインタビュー
- その他のインタビュー
- 子供向け検索サイトの検索キーワードランキング
- 教科書(小学校の教科書)
ペルソナ作成のプロセスを紹介
『富士通』がペルソナ設定を実際に行った手順を簡単にまとめました。
1.調査(1)
まず行ったのは、次の2つの調査です。
・インターネット調査
インターネット上に公開されている『子どもの生活やパソコン利用に関するアンケート調査結果』を精査。
・簡易インタビュー
『小中学校の先生・保護者・子ども向けサイト』を運営している方へ、簡単なヒヤリングの実施。
2.仮説設定
次に調査①の結果をもとに今回制作するサイトの「主な利用シーン」と「主要ユーザー」を決定し、仮説的なペルソナを作成していきます。
・主な利用シーン
学校での調べ学習や移動教室
・主要ユーザー
小学生、先生、保護者
・仮説的なペルソナを作成
調査(1)の結果をもとに仮説的なペルソナを作成
3.調査(2)
仮説的なペルソナを作成後、新たに調査を重ね、仮説と現実との乖離がないようにしていきます。富士通が行ったのは次の3つの調査です。
・インタビュー調査
小中学校の先生4名と、小学校5、6年生の子どもを持つ保護者5名へのインタビュー
・教科書調査
小中学校の教科書を精査し、学校でのパソコンの活用状況や「調べ学習」のテーマを確認
・キーワードランキング調査
子供向け検索サイトの検索キーワードのランキングを調査、小学校の教科書のテーマとの関連性を確認
4.修正
3.の調査結果をもとに、新しい情報を加えたり、修正したりを重ね、設定したペルソナを洗練させることで完成させます。
基本的には「調査と仮説・設定、そして修正」と反復し、精度を高めていくようなイメージですね。
参考:富士通キッズサイトにおけるペルソナマーケティングの実践
6.マーケティングに効果的なペルソナはデータから作ろう!
現実と乖離しないペルソナを作成するには、信憑性のあるデータなどを十分にリサーチすることが重要です。充実した一人のペルソナを作成しても、それが現実に存在するユーザーとかけ離れているなら、そのペルソナを元に開発された商品やサービスは高い確率でヒットしません。
メリットの多いペルソナのパワーを享受する秘訣は、やはり正確なデータに基づく他ありません。作成には時間や労力がかかるかと思いますが、正しく設定できれば大きな利益をもたらすキーアクションにもなるため、こちらの記事を参考にぜひペルソナ設定に取り組んでいいただければと思います。