シニア向けビジネスを成功させるシニアマーケティングとは?成功事例やアプローチ方法を解説
少子高齢化が進行し、高齢者の人口割合が増加することに伴い、注目を集めているのがシニアビジネスです。
シニアビジネスには多くの企業が参入しており、どのようなビジネスを行っているのか気になるという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、シニアビジネスの市場規模や実際の企業の取り組み、シニアにアプローチするための手段について徹底解説していきます。
これからシニアビジネスに取り組みたいという方には、ビジネスのヒントになるはずですので、ぜひ最後まで記事をご確認ください。
シニアマーケティング全般の情報を収集されている方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
目次
- 拡大するシニアビジネス市場
- シニアビジネスの新規事業立ち上げにおけるフレームワーク
- シニアマーケティングにおけるシニアの4分類
- シニアビジネスを成功させるシニアマーケティングのポイント
- シニアビジネスの成功事例
- シニアへのアプローチ手法
- シニアビジネスをする際にはターゲット毎のニーズを知ろう
1.拡大するシニアビジネス市場
2021年9月に総務省が発表した人口推計によると、日本における65歳以上の人口は3461万人となっており、総人口における高齢者の割合は過去最高の27.3%に上ることが明らかになりました。
※参考資料:高齢者の人口(総務省統計局)
今後もこの傾向は続くことが確実となっており、2025年には3人に1人が高齢者になり、2060年には全人口の40%が65歳以上になると予想されています。
※参考資料:高齢化の状況(内閣府)
この変化に伴い、現在企業の間で注目を集めているのが、シニアビジネスです。
シニアビジネスの市場は近年着実に成長を遂げており、みずほ銀行のレポート※によると、2025年には市場規模は101.3兆円にまで成長するとされています。
※参考資料:みずほ産業調査Vol.39
業界別のビジネス規模を確認すると、食料や娯楽、通信等の生活産業の市場規模が51.1兆円でトップ。
次いで医療・医薬産業が35兆円、介護産業が15.2兆円となっており、現在参入を検討している企業やこれから起業をしようと考えている方には大きなチャンスがあると言えるのではないでしょうか。
また、近年のテクノロジーの進化に伴い、エイジテックと呼ばれる「高齢者×テクノロジー」の分野のサービスも急成長しています。
エイジテックの詳細は、以下の記事で詳しく紹介しています。
これからシニアビジネスに参入しようと考えている方は、どの分野に参入するのか検討するだけでなく、ターゲットとなるシニアはどの年齢層で、どのようなニーズを持っているのか深堀りしていくことが重要となります。
2.シニアビジネスの新規事業立ち上げに役立つフレームワーク
拡大するシニア市場への新規参入を検討する際には、ターゲットとなるシニアのニーズを正しく捉えた上で、自社で提供できるサービス・商品を打ち出していく必要があります。
ここでは、新規事業のアイデア出しを助けるフレームワークとして「SCAMPER法」をご紹介します。
SCAMPER(スキャンパー)法
SCAMPER法は、以下の7つの切り口をもとにアイデアを発想するフレームワークです。
- Substitute(代替する):他のものに置き換えられないか?
- Combine(組み合わせる):何かを組み合わせることができないか?
- Adapt(適応させる):他に類似したものはあるか?
- Modify(修正する):何かを修正・変更することができないか?
- Put to other use(他の使い道):他の使い方がないか?
- Eliminate(削減する):何かを削減することができないか?
- Reverse/Rearrange(逆転・再編成):何かを逆転・並べ替えをすることができないか?
既存の製品・サービスをもとに、上記のフレームワークに当てはめて新しい発想ができないかを考えることができます。例えば、自社の既存サービスをシニア向けに展開する場合に何を変えられそうか、フレームワークに沿って考えてみるのも良いでしょう。
PEST分析や3C分析など、マーケティングの市場理解に関するフレームワークは以下の記事をご参照ください。
3.シニアマーケティングにおけるシニアの4分類
シニアマーケティングを行う上で最も重要となるのが、ターゲットとなるシニアを把握することです。
ここでは、シニアを年齢やライフスタイルに応じて、アクティブシニア、ギャップシニア、ディフェンシブシニア、ケアシニアの4種類に分け、それぞれの属性の特性やおすすめ商品、サービスジャンル等を紹介していきます。
属性によって顧客のニーズも変化するため、それぞれポイントを押さえるようにしましょう。
アクティブシニア
アクティブシニアとは、高齢者の中でも最も活発に活動する人たちのことを指し、自らの趣味等に積極的にお金を費やすという特徴があります。
健康な方が多く、ある程度のお金を持っているため、シニアビジネスを行う方のメインターゲットとなる可能性が高いでしょう。
アクティブシニアは、新しい価値観を受け入れやすく、自己実現欲求も強いため、ビジネスをする上でのおすすめ商品やサービスのジャンルも多岐に渡ります。
例えば、趣味・娯楽のジャンルでは、ウォーキングや園芸、手芸、映画鑑賞、旅行、楽器、写真、ボランティア活動などが挙げられます。
もちろんこの中には、若年層が楽しむ趣味・娯楽も多く存在します。そのような中で、「この趣味・娯楽を楽しむシニアはどのようなサービス拡充を求めているのか」「シニアに適した楽しみ方はどのようなものか」といった内容をビジネスモデルとすることで、成功に近づけるでしょう。
アクティブシニアの詳細については、以下の記事もご覧ください。
ギャップシニア
要介護という訳ではないけど、日常生活の中で諦めや我慢が積み重なっている状態で、できることとやりたいことのギャップがある高齢者のことをギャップシニアと呼びます。
放っておくと介護状態になる人たちとも捉えることができ、サービスの利用を通して、やりたいことを実現することができるようにすれば、ターゲットのニーズを満たすことができるでしょう。
ギャップシニアのビジネス例には、バリアフリーを施した旅行サービスのユニバーサルツーリズムや体の機能回復を目的としたリハビリ商品等が挙げられます。
アクティブシニアのようにニーズが多岐に渡るわけではないため、ビジネスアイデアも考えやすいと言えるかもしれません。
ギャップシニアについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
ディフェンシブシニア
ディフェンシブシニアは、年金以外の定期的な収入がなく、経済活動に関しても文字通り守りに入っているシニアのことを指します。
今回紹介するシニアの種類の中では最も人口が多くなっており、現在の生活や将来に対する不満や不安を抱えている層です。
ディフェンシブシニアに関しては、日常生活の不安や不満を解消することでニーズに応えることができ、生活必需品の中で共感を持ってもらえる商品を作ることでリピーターとなる可能性が高いでしょう。
また、寂しさからペットと共に生活している方も多いため、ペット関連の商品がヒットする傾向にあります。
ディフェンシブシニアについては、こちらの記事もご参照ください。
ケアシニア
ケアシニアとは、身体的な障がい等により、日常生活において家族やヘルパー、医療従事者の支援を受けているシニアのことです。
自ら積極的に消費活動を行うことはなく、サービスを受けるのは自分でも、決済を行う人は別にいるという点も理解しておきたいポイントとなります。
ケアシニアに対するビジネス商品の例では、老人ホームや訪問介護サービスに関するものや、介護用ロボット、家事代行サービス、医療サービス等が挙げられ、今後市場規模はより大きくなっていく可能性が高いです。
介護関連のサービスを行う場合に関しては、商品が優れているというだけではなく、優しさを持って接してくれる等、相手に対する気遣いの部分でも差別化を図ることができるでしょう。
ケアシニアについては、こちらの記事もご参照ください。
4.シニアビジネスを成功させるシニアマーケティングのポイント
シニアビジネスを成功させるためのシニアマーケティングのポイントは以下の3つです。
- ターゲットを詳細に決める
- 需要の調査を綿密に行う
- 集客や宣伝の方法を考慮する
ひとつずつ確認していきましょう。
1.ターゲットを詳細に決める
まずは、前述した通りターゲットを詳細に決めることが大切です。
一言に「シニア」と言っても、属性によって層はさまざま。多くのシニアの中からターゲットとなる層を絞り込むことで、ビジネスの成功率をぐっと高めることができるでしょう。
一例ですが、以下のような架空のユーザー像(ペルソナ)を作成することがおすすめです。
- 年齢:68歳
- 性別:男
- 家族構成:妻・子ども2人(男女)。現在は妻と2人暮らし
- 総資産:約3,000万円
- 趣味嗜好:映画鑑賞、酒(日本酒)
- 生活スタイル:3年前に定年を迎え、現在は週に2度は映画館に足を運ぶ。自宅から映画館まですこし距離があるため動画のサブスクリプションサービスに興味があるが、デジタルデバイスの操作に自信がない など
ターゲットとなる層はどのような人物なのかをじっくり考えることで、今まで見えてこなかった新たな高齢者向けビジネスの需要も見えてくるかもしれません。
ペルソナの設定方法については、以下の記事で紹介していますのでご覧ください。
2.需要の調査を綿密に行う
先ほど「需要」に触れましたが、シニアビジネスにおいてどのような需要があるかを綿密に調査することが非常に大切なポイントです。
同じジャンルだとしても、高齢者とそれ以外のターゲット層では需要が異なる場合があります。
「趣味・娯楽」を例に取ると、以下のような違いが考えられるでしょう。
- 若年層
- 新しい情報をどんどん取り入れたい
- 海外の流行なども知りたい
- 人気の話題を押さえておきたい
- 高齢者
- 自身に必要な情報を取り入れたい(多彩な情報は処理しきれない可能性がある)
- 自分のペースで進めていきたい
- 流行りよりも自分の好みを重要視したい
このように、参入したいジャンルにおけるシニアの需要を綿密に調査する必要があります。
最新のシニアのトレンドについては、以下の記事にまとめておりますので、ぜひご覧ください。
3.集客や宣伝の方法を考慮する
集客や宣伝の方法を考慮するということも、大切なポイントです。シニアとそれ以外のターゲット層では、触れる媒体・メディアも大きく異なるためです。
また、キャッチコピーなどの文章表現に関しても、高齢者に刺さりやすい表現があるはずです。
例えば、キャッチコピー表現の違いとして以下のような違いが挙げられます。
- 若年層
- 「五感を揺さぶる映像体験」
- 「表参道で話題の新食感“しゅわとろ”スイーツ」
- 「ハリウッド女優○○愛用のスキンウォーター」
- 高齢者
- 「毎日5分、つけるだけで引き締まった体に」
- 「まわりを気にすることなく楽しめます」
- 「60代に必要な健康成分がこれひとつで摂れる」
シニアの中でも、ターゲット層に合わせた集客・宣伝方法を考慮して実施することで、シニアビジネスを成功に近づけることができるでしょう。
5.シニアビジネスの成功事例
ここまでは、シニアビジネスの市場規模やターゲットとなるシニアの分類とニーズ、成功のポイントについて解説してきました。
ここでは、実際にシニア向けのサービスを展開し、成功した企業の事例を紹介していきます。
ポケモンGO
ポケモンGOは、位置情報を利用して、現実世界に登場したように見えるポケモンを捕まえるスマホゲームです。
若者の間で大流行をしていますが、実はポケモンGOはシニア世代にも利用者が多い点が特徴となっています。
2018年時点で60歳以上の方のスマホ利用者は、60%を超えているとされており、これに目を付けた株式会社ポケモンがウォーキングで健康維持をするという目的と結び付けてシニア層の顧客を一気に獲得しました。
ポケモンGOに関しては、既存のサービスを異なるターゲットに展開して成功した代表例となっています。
イオン新店舗情報
大手ショッピングモールのイオンもシニアビジネスに力を入れており、「健康のサポート」をテーマに高齢者が楽しめる空間を提供しています。
イオンタウン君津では、デイサービスを提供する専門店内でスタッフとともにラジオ体操を行うサービスを展開したり、薬局に血圧器や血管年齢計を設置したりと高齢者のための設備を整えました。
君津には40~60代の方が数多く住んでおり、イオンは買い物だけでなく、高齢者が集う施設にすることで、消費を促進させようという意図があります。
シニアは仕事を辞めて孤独を感じている方も多く、場所を提供するシニアビジネスは今後需要が増えていくでしょう。
カルチャーレストラン
カルチャーレストランはアクティブシニアをターゲットとした教室運営ビジネスです。
知的好奇心をかき立てるようなパソコン講座や動画編集、英会話等の様々な講座を開いており、学びの場だけではなく、地域のアクティブシニアが集まる憩いの場を提供しています。
高齢者は新しい場所に行くよりも、地元の慣れ親しんだ場所に行くことを好む人も多いため、カルチャーレストランはシニア層のニーズを満たした優れたビジネスを行っていると言えるのではないでしょうか。
6.シニアへのアプローチ手法
シニアビジネスには様々な種類がありますが、いずれのビジネスを行った場合でも重要となるのが、ターゲットへのアプローチ手段です。
ここではシニアと接触する際に有力な媒体を3つ紹介しますので、シニアにリーチする際の参考にしてみて下さい。
TV/ラジオ
シニアビジネスのアプローチに有力な媒体の1つ目はTV/ラジオです。
この2つの媒体に関しては、全ての種類のシニアにリーチすることが可能となっており、主に認知を獲得する上で重要な意味を持ちます。
食品やホームグッズ、家電、健康食品といったジャンルは、テレビ通販でも売上が高いため、これらの業界に参入を検討されている方はTV/ラジオの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
新聞雑誌広告
近年はネットを利用するシニアも増加していますが、オンライン集客ではリーチできない顧客がいることも事実です。
そこで、積極的に活用していきたいのが、新聞や雑誌、ダイレクトメールといった紙媒体。
紙媒体に対しては、高い信頼を置いているシニアも数多くおり、今でも有力なメディアと言えます。
印刷費が必要となる等、Web媒体と比較するとコストが高くなる可能性はありますが、同時に高いリターンも見込めるでしょう。
シニア向けオンラインメディア
最も消費活動が活発なアクティブシニアにリーチする際に有力な媒体が、シニア向けオンラインメディアです。
シニアをターゲットとしたニュースサイト等はもちろん、現在ではアクティブシニアが人との繋がりを持つためのツールとして、SNSやコミュニティーアプリを利用しているケースも多く見られます。
当社でも、少額から広告掲載が可能で、6万人以上のアクティブシニアにリーチできる「おしるこ」というサービスを展開しています。
シニア層のSNS人気の背景や、シニアがどのようにSNSを活用しているのかについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
7.シニアビジネスをする際にはターゲット毎のニーズを知ろう
この記事では、シニアビジネスについて解説してきました。
シニアビジネスを行う際には、ターゲットとなるシニアのニーズを属性毎に分類して理解することが重要となります。
シニアビジネスを行ってきた企業の成功事例も参考にしながら、どの媒体でリーチするべきかも合わせて確認していくようにしましょう。
この記事がシニアビジネスについて詳しく知りたいという方の参考になれば幸いです。
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