超高齢社会におけるサクセスフルエイジングの形とは?マーケティングへの活かし方も紹介!
日本が超高齢社会に突入して15年以上が経ち、これまでとは違った高齢社会が到来しつつあります。
団塊の世代が75歳以上となり、平均寿命もどんどん伸びて「人生80年」ではなく90年、いや100年となっていくことは明白です。
そうした状況を踏まえて、シニア向けマーケティングを考えていくなら、シニア世代がどのような生き方・暮らし方を求めているのかを理解することが必須となります。
そこでポイントとなるのが、昨今耳にするようになった「サクセスフルエイジング」という言葉です。
シニア世代の新たな生き方・暮らし方を表す「サクセスフルエイジング」という言葉には、一体どのような意味や定義があるのでしょうか?
今回の記事では、サクセスフルエイジングの意味や条件、その考え方を解説するとともに、マーケティングへの活かし方などもご紹介していきます。
目次
1. サクセスフルエイジングとは
「幸福な老い」とも称されるサクセスフルエイジング。
アメリカで誕生したこの言葉は、超高齢社会に突入した日本において、シニア世代の新しい生き方や暮らし方を示す言葉として知られるようになりつつあります。
サクセスフルエイジングとは、どのような意味が定義されている言葉なのでしょうか。
サクセスフルエイジングの定義
「サクセスフルエイジング」という言葉は、アメリカで生まれた言葉ということもあり、正確に日本語で表す和訳は存在しないとも言われています。
サクセスフルエイジングに近い日本語表現は「良い人生を送って天寿を全うすること」であり、いわば「生きがい」や「幸福な老い」といった言葉に近いと考えられている状態です。
社会学や心理学などといった学問分野の違いから、統一した概念や定義がなされていない現状にありますが、山梨県立大学の渡邉裕子氏によると「健康や身体機能に関わらず、ひとりひとりが望む幸せな老後を過ごし、自分らしい最期を迎えること」と定義されていますので、今回はその定義をもとに話を進めていきます。
サクセスフルエイジングと社会背景
サクセスフルエイジングを提唱するようになった大きな社会背景としては、やはり「高齢社会」の変遷があります。
日本の高齢者数は、1950年(昭和25年)の段階ではわずか5%ほどだったのですが、高度経済成長期も終盤に差し掛かった1970年(昭和45年)には7%を超えました。
この頃から日本の社会は「高齢化が進んでいる」と考えられており、社会保障の整備に力が入れられていました。
国民皆保険・皆年金といった制度が実施されていく一方で、老人福祉法の制定や高齢者の医療費無償化などが進められ、高齢化社会への対策が講じられつつあったのが、この時代でした。
しかし、高齢化が止まることは当然なく、1985年(昭和60年)日本の高齢化率は10%を超え、その後も増加は止まることなく平成の時代に突入した後も増え続け、1995年(平成7年)になると日本の社会は「高齢化」社会ではなく「高齢社会」となったことを示す14%を超えたのです。
平成に入ると、日本社会も本格的に「少子高齢社会」に対応した数々の政策を打ち出していきます。
介護保険制度や医療制度改革などを実施していきますが、高齢者数はどんどん上昇を続け、令和の時代に入った令和3年には28.9%になり、日本は「超高齢社会」と呼ばれるようになりました。
出典:令和4年版・高齢社会白書「図1-1-2・高齢化の推移と将来推計」
「超高齢社会」になったということは、それだけ平均寿命も長くなったということです。
令和4年版高齢社会白書に示されている「健康寿命」と「平均寿命」の推移を見てみると、男性の健康寿命と平均寿命は、20年ほどでそれぞれ3~4歳長くなっており、女性も同様に3~4歳長くなっています。
令和元年時点での平均寿命は、男性81.4歳・女性87.4歳となっており、それだけ多くの高齢者が年を取っても健康で長生きしているのです。
出典:令和4年版・高齢社会白書「図1-2-2-2・健康寿命と平均寿命の推移」
このように、日本の社会背景を見ていくと分かりますが、日本は高齢者が「望む幸せな老後=サクセスフルエイジング」を求めていくことが、社会全体の幸福感の向上につながっていくのです。
2. サクセスフルエイジング3つの条件
社会が「サクセスフルエイジング」の状態になるためには、3つの構成条件があるとされています。
これらもまた、日本やアメリカの研究者の中で意見が分かれるところでもありますが、それでも概ね下記の3つの条件が満たされていることが大切だと考えられているのです。
サクセスフルエイジング3つの条件とは、どのようなものなのでしょうか。
長寿
先の項目でも解説したように、まず「長寿」というのは前提条件のひとつでしょう。
令和4年版・高齢社会白書で示されている「高齢化の将来推計」を見てみると、2065年(令和47年)には高齢化率が38.4%に達します。
つまり、日本はあと30~40年のうちに総人口の約4割が高齢者=シニア世代になるのです。
日本の将来を考えても、サクセスフルエイジングはとても重要であることが理解できます。
出典:令和4年版・高齢社会白書「図1-2-2・高齢化の推移と将来推計」
生活の質
福祉全般の根幹にあるのは、この「生活の質」の向上に他なりません。
生活の質の構成要素は、以下のものになります。
- 身体の健康
- 機能的な健康(ADL、IADLなど)
- 認知能力
- 時間の消費(レクレーションなど)
- 社会的行為(独創的リーダーシップなど)
身体の健康やADL=日常生活動作・IADL=手段的日常生活動作、そして認知能力などは、健康寿命の維持とも関係しており、いわばサクセスフルエイジングの土台ともいえるでしょう。
しかし、それだけでは生活の質を向上することはできません。
レクレーションなどによる有意義な時間の使い方を考え実践したり、ボランティア活動などでリーダーシップを取り、社会活動に参加していくことにより、生活の質が向上していくのです。
社会貢献
社会貢献の構成要素は、以下の通りです。
- 有償労働
- 無償労働
- 相互扶助
- ボランティア活動
- 保健行動
人は、誰かのために一生懸命活動することに達成感や幸福感を感じるものですから、社会に貢献する活動に携わることによってサクセスフルエイジングが実現していくと考えられているのです。
令和3年の労働力人口の比率を見てみると、65歳以上の労働力人口は51.7%、70歳以上でも33.2%、そして75歳以上では10.6%となっており、いずれの年代も上昇傾向にあります。
出典:令和4年版・高齢社会白書「図1-2-1-9・労働力人口の推移」
このことから分かるのは、65歳以上のシニア世代は何らかの形で労働に従事していることが多く、まだまだ社会貢献を求めているのです。
そうして、社会と関わりながら暮らしていくことがサクセスフルエイジングへとつながっていきます。
3. マーケティングへ活かすには?
サクセスフルエイジングを理解していくと、シニア世代の多くが「健康で長生きをし、自らが望む老後を送る」ことが幸福だと考えているということが分かります。
こうしたシニア世代の希望を理解しておくことが、これからのシニア向けマーケティングには重要なこととなるでしょう。
そんな「サクセスフルエイジング」をシニア向けマーケティングへ活かすには、どんなことを考えていけばいいのでしょうか。
サクセスフルエイジングの類似ワード
「健康や身体機能に関わらず、ひとりひとりが望む幸せな老後を過ごし、自分らしい最期を迎えること」
それがサクセスフルエイジングの定義ですが、こうした定義を持つサクセスフルエイジングと意味が似ているワードが他にもあります。
こちらの類似ワードの意味も理解した上で、マーケティングへの活かし方を検討すると良いでしょう。
プロダクティブエイジング
プロダクティブエイジングとは、老年学を研究しているアメリカのロバート・N・バトラー博士が提唱している概念です。
「高齢者が身体的・精神的に健康な状態を維持しながら、人生経験を活かして生産性を維持しつつ社会貢献を行いながら年齢を重ねていく」生き方を表している言葉がプロダクティブエイジングであるとされています。
このプロダクティブエイジングについて更に詳しい解説は、下記のページにありますのでご覧になってみてください。
アクティブエイジング
アクティブエイジングは、WHO(世界保健機構)が世界に向けて提唱・提言している取り組みを表す言葉です。
「人々が年を重ねても生活の質が向上するように、健康・参加・安全の機会を最適化するプロセス」を表すものであり、自分自身の生活の質の向上のために様々なことに挑戦することをWHOが推進しています。
アクティブエイジングについての詳しい解説については、下記のページをご覧ください。
サクセスフルエイジングを実践する人々のニーズを知る
毎日の暮らしの中で「サクセスフルエイジング」を実践する人々が、どんなことを望み、何を楽しみに過ごしているのか、そのニーズを知ることがマーケティングへ活かす最大の道です。
また類似ワードであるプロダクティブエイジングやアクティブエイジングについても、細かい意味で異なるところが少々ありますが、概ねサクセスフルエイジングと同様の概念を持っていることも分かりました。
こうした「健康で長寿であり、自分の楽しみを探求する」シニア世代の多くは、デジタルツールを駆使してインターネットで情報を得たり、SNSなどを通じて仲間づくりをするなど、いわゆる「デジタルシニア」と呼ばれる人々でもあります。
このような特徴を持つ人々のニーズを的確に理解するためには、普通のSNSよりも「シニア向けSNS」を活用するのがおすすめです。
特に、シニア向けコミュニティアプリ「おしるこ」などは、利用者が50歳以上限定とされているため、よりシニア世代に特化したニーズを知ることができるでしょう。
ニーズを正しく理解すれば、シニアマーケティングへ活かす道も明確になります。
4. まとめ
サクセスフルエイジングを知ると、超高齢社会に突入した日本において、シニア世代はまだまだ元気で若々しく、アクティブに日々を暮らしたいと願っていることが分かります。
そんなシニア世代のサクセスフルエイジングの実現のためにも、またシニア向けマーケティングの成功のためにも、ぜひ活用したいのがシニア向けコミュニティアプリ「おしるこ」です。
サクセスフルエイジングを実践しているシニア世代は、SNS広告から情報を得ることも多いでしょう。
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