シニア層のターゲティングはどう設定する?ターゲティングの具体例と成功事例を紹介
「この商品には自信がある!でもどうやって市場に知ってもらったらいいんだろう?」
市場で商品を販売するためには明確な戦略が必要です。
どれだけその商品が素晴らしくても、戦略なしでは売れません。
マーケティング用語として「ターゲティング」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
「ターゲティング」とは、市場を絞り特定の顧客のニーズを設定する方法です。
今回は、今後成長性が期待されている「シニア市場」にフォーカスし、シニア層におけるターゲティングについて、事例も交えながら詳しく解説します。
「ターゲティング」を正しく活用することで、自慢の商品のコアなファンを増やしましょう。
ターゲティングとは何か?から知りたい方は、こちらの記事からお読みください。
目次
- 「ターゲティング」とは?マーケティング戦略の基本「STP」の中の一つ
- シニアのターゲティングの具体例
- ターゲティングを考える時に抑えたい3つのポイント
- シニアのターゲティング成功例で学ぶ
- 戦略的な広告で売上げアップを目指そう
1.「ターゲティング」とは?マーケティング戦略の基本「STP」の中の一つ
ターゲティングとは「ある商品をどの市場に買ってもらいたいか決めること」です。このターゲティングを適切に行うことで、最小の資源で利益を最大化することが可能となります。
つまり、ターゲティング設定の目的は「少ない資金と労力で、最も収益性の高い市場を選ぶこと」です。
「STP分析」という言葉は、マーケティング用語でよく出てくる言葉ですね。
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
これらの3つのことを指します。
そして、ターゲティングとは「STP」の中の2番目の「T」のこと。マーケティング戦略を構成するのに、とても重要な役割を持っています。
「S:セグメンテーション」によって市場を適切に区分けした後、具体的に「T:ターゲティング」することで、顧客から見て唯一無二の商品へと「P:ポジショニング」することができるのです。
2.シニアのターゲティングの具体例
それでは、実際にどのようにターゲットを設定したら良いのでしょうか?具体的なターゲティングを例に考えていきます。
間違ったターゲティングの例
マーケティング担当者が陥りがちな間違ったターゲット設定の事例として、以下のようなものがあります。
- 50歳以上のシニア層
- 50〜60代の女性
これらの何が問題なのか、詳しく解説いたします。
50歳以上のシニア層
多くのマーケティング担当者は、商品をなるべくたくさんの人に見てもらいたいため、ターゲットを広く設定してしまいがちです。
シニアに向けた商品だからと言って、ざっくり「50歳以上」という設定だけでは、ターゲティングはうまく機能しません。
50歳以上と言っても、50代と70代では親子ほど歳が離れており、ライフスタイルも興味関心の対象も全く異なってくるでしょう。
ターゲットの範囲を広く取り、曖昧なターゲット設定をしてしまうと、「誰にでも当てはまるメッセージ」を発信することしかできません。
その結果、どの顧客の心にも響かず、関心を持ってもらえません。
そのため、どの顧客もそのメッセージに感情移入することはなく、その商品を指名買いしてもらうのは難しくなってしまうでしょう。
50〜60代の女性
先ほどよりは少し詳細になりましたが、性別・年齢のみの簡単なターゲットではまだ足りません。
「50〜60代の女性」とターゲティングした場合、さらに以下のように細かな分別ができます。
- 仕事をしている独身女性
- 仕事をリタイアした専業主婦
- 子どもが独立して夫婦二人暮らしの主婦
- 子どもと一緒に暮らす主婦
同じ「50〜60代の女性」でも暮らしぶりが全く違うことが想像できますね。
つまり、せっかくターゲティングしても「50歳以上のシニア層」と設定したのと同じように「誰にでも当てはまるメッセージ」しか伝えることができなくなってしまいます。
もちろん結果は、前述の通りです。
良いターゲティングの例
では、良いターゲティングとはどのようなものでしょうか。例えば、以下のように具体的に設定すると良いでしょう。
- 子どもが独立して時間に余裕が出てきた60代の主婦
- 健康状態が気になってきている50代の働く男性
- 山登りが趣味のシニア層
- 幼い孫とコミュニケーションをとりたい夫婦
ポイントは、ターゲット象の興味関心やライフスタイルを加味し、その人物の生活が見えるところまで具体化することです。
興味関心やライフスタイルを限定できていれば、必ずしも年齢や性別にこだわる必要はありません。
そして、ターゲティングをより詳細に設定したものが「ペルソナ」です。シニアのペルソナ例は以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
3.ターゲティングを考える時に抑えたい3つのポイント
ビジネスの最終目的は、利益をあげることです。商品の売上が倍増しシェアが拡大しても、利益がマイナスなら会社は潰れてしまいます。
ターゲティングの最終目的ももちろん利益を増やすこと。そのために重要な視点は以下の3つです。
- 投資とリターン
- 競争上の戦略
- ブランディング
投資とリターン
利益を増加させるためには、売上を上げ、コストを下げる必要があります。つまり、最小の投資で、最大の利益を見込めるターゲットを見極めることが重要です。
このような最も収益性の高いターゲットのことを「コアターゲット」と言います。
ターゲット設定は広く取るのではなく、コアターゲットのみに設定し、資源を投入すると、費用対効果の高いビジネスとなります。
競争上の戦略
競合ブランドが強敵で資金力が膨大にある場合、まともに戦っていては勝てません。
しかし、最も収益性が高そうなコアターゲットを設定することで、全体に投資するよりも少ない資金でその分野で有利に戦えます。
また、そのコアな分野でシェアを独占できたら、それを足掛かりに他の分野にも進出することができ、ビジネスの領域がさらに広がる可能性もあります。
ブランディング
ターゲットを絞ると、販売機会が減ると思うかもしれません。しかし、限られた予算の中で、広くターゲットを取ると、実際は浅く密度の薄い訴求になりがちです。そのため、感情に訴えるトライアル購入や、リピート購入にはつながりにくくなってしまうのです。
一方、収益性の高そうなターゲットに予算を集中し、広告の密度を濃くすると、感情移入してくれた顧客のトライアル購入につながりやすくなります。
また、こうして獲得したターゲットからは、ブランドに対する信頼を得ることができ、その後のリピート購入にもつながることになるでしょう。
4.シニアのターゲティング成功例で学ぶ
ターゲティングのイメージはつかめてきましたか?
では、次に実際にターゲティングが成功した企業の事例を2つご紹介いたします。
アテントの大人用オムツ
これまで介護用の紙オムツを使っていなかったシニア層にとって、「オムツをする=自分が老人である」ことを突きつけられるようで、抵抗があるものでした。
このようなオムツに対して抵抗感がある層をターゲットにし、オムツのイメージを刷新したのが、アテントの大人用オムツです。
アテントは「今までの常識をはきかえる」というコピーでテレビCMを打ち出し、タレントには草彅剛さんを起用。オムツをすることは恥ずかしいことではなく、むしろスマートであるという印象を作り出し、世の中のイメージを変えました。
これにより、今まで抵抗があったシニア層もオムツに手を伸ばしやすくなり、また家族も勧めやすくなりました。
ターゲットの心理的ハードルを理解し、それを和らげるプロモーションを打つことで成功した事例と言えます。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000378.000001310.html
ライザップ
「結果にコミットする」というキャッチフレーズで有名な企業ライザップ。
ライザップはターゲットを「ダイエットをしたい人」のみに設定し、広告でトレーニング前後の体型を比べ並べることで、ターゲットに強烈なインパクトを与えました。「結果にコミットする」と約束し、価格設定を高めに設定したことも、自社のサービスの市場価値を上げる戦略として有効な方法でした。
そんなライザップは、足腰の衰えや健康寿命、体型が気になる60歳以上のシニアをターゲットに、シニア向けのプログラムも展開しています。
ライザップの強力なブランドイメージをシニア向けに適切にシフトさせることで、その感情を鷲掴みにし、顧客のニーズを満たす戦略が成功した事例です。
5.戦略的な広告で売上げアップを目指そう
今回は、ターゲティング戦略とその事例について解説させていただきました。
ターゲティングとは、「ある商品をどの市場に買ってもらいたいか決めること」です。どんなに素晴らしい商品を作っても、その商品を欲しいと思う人に届かなければ、商品は売れません。
シニアのターゲティングにおいても、まとめて「シニア」という言葉で括るのではなく、どんな課題を持ってどんな生活をしている人をターゲットにするのか、具体的に考える必要があります。
今回の記事が、マーケティング戦略の構築に少しでもお役に立てると嬉しいです。