サードエイジとは?シニア世代の表現からみる生き方・暮らし方へのアプローチ
2007年以降から、いわゆる団塊の世代が大量に退職するようになっていきましたが、この世代が世の中の経済を回していると言っても過言ではないほど、その動向が注目されています。
そんな状況の中、改めて注目される言葉の中に「サードエイジ」というものがあります。
サードエイジも「シニア」などの言葉と同じように、高齢者世代を表現する言葉のひとつですが、他の言葉とは違って「サードエイジ」は独自の理論により提唱されたものです。
そこにはどのような理論が隠されているのでしょうか?
今回は、サードエイジと呼ばれる言葉の意味や概要とともに、生き方や暮らし方へのアプローチを検討していきます。
目次
1. サードエイジとは
サードエイジという言葉は、歴史学者のラスレットが提唱した人生の4段階区分説による3つ目の段階を表す言葉です。
人の一生を4つの区分に分けた「サードエイジ論」と、サードエイジが表す世代はどのような世代になるのでしょうか?
サードエイジの概要
「サードエイジ」とは、歴史人口学者のピーター・ラスレットが提唱した人生の4段階区分の3つ目の段階のことです。
ラスレットの提唱では、特に詳しい年齢は示されていませんが、おおよそ「現役から引退した後の期間」であることは示されているため、年齢で言えば「50代後半から70代半ば」までと考えておけば良いでしょう。
なぜ、この時代に改めて「サードエイジ論」が提唱されるようになったのでしょうか。
長年、人間行動学や発達科学などを研究している小田利勝氏は、サードエイジ論が世の中に広まった理由として、ラスレット自身を含む多くの論者が以下のように指摘していると説いています。
- 多くの人が健康で長生きできるようになったこと
- 退職者の生活水準が過去に比べて向上したこと
- 退職の平均年齢が低下し、現在では定年前に退職する人も少なくないこと
- 公的年金など退職後の生活に対する保障が十分でなくとも、退職後も収入を得るための種々の活動を続ける必要があるということが認識されるようになったこと
- サードエイジの生活スタイルが消費者運動家によって広められ、それに人々が関心を示すようになったこと
- サードエイジャーの間に、高齢者がサービスを受ける権利やエイジズムとの戦い、若い世代との利害対立の問題など共通の目的や言い分、関心が高まり、サードエイジャーとしての自己意識が成長したこと
つまり、それまでの高齢者・シニア世代を取り囲む生活状況などとは異なり、サードエイジ論が提唱する「個人的な実現と達成」を手にするための生活水準や保障、収入の状況が整い、サードエイジャーと呼ばれる人々の関心が消費生活へ向いているため、注目されるようになったのです。
人生を表す4つの年代区分
ラスレットが提唱した「サードエイジ論」における人生の4段階区分は、人の一生が始まるところから区分が作られ、それぞれの年代に対しての概要が提唱されています。
「サードエイジ」以外の区分では、人の一生をどのように表しているのでしょうか。
ファーストエイジ
ファーストエイジは、ラスレットによると「親に依存し、社会化を学ぶ、未成熟と教育の時代」であると表されています。
つまり、この世に誕生してから学齢期を経て社会に出るまでの期間であり、年齢で言うと0歳から18歳または20代前半の人々を指しています。
ファーストエイジの終了は、個人で異なっています。
高校卒業して働くのか、また大学卒業後に働くのか…など、個人を取り巻く状況によって終了の時期が変わるからです。
セカンドエイジ
セカンドエイジは「自立・成熟・責任と所得の時代」と表現される段階であり、人生の中で一番長い期間とも呼ばれています。
自分自身が自立をし、パートナーを得て子どもを養育していく期間であり、社会的な責任も担わなくてはならない時期でもあるため、自分の趣味などに対して時間的・経済的なものを費やす余裕がない人も少なくありません。
フォースエイジ
サードエイジを経て迎えるフォースエイジは「最終的な依存・衰弱と死の時代」と表現される…いわば人生の終末期を指す言葉です。
身体の衰えが顕著になり、介護が必要になる時代なので、年齢的に言うと75歳以上の人々がフォースエイジに当たると考えて良いでしょう。
サードエイジは「人生の完成期」とも呼ばれる時代であり、その完成期を経て「終末」へと向かっていく時期がフォースエイジなのです。
サードエイジ論は人の一生を表現する言葉ですが、その人が生まれた世代によって表現されることもあります。
下記のページには、いわゆる「団塊の世代」から「Z世代」といった世代の意味や特徴が記されていますので、参考にしてみてください。
2. シニア世代の生き方を表す言葉たち
シニア世代を表現する言葉として改めて注目されている「サードエイジ」そして「サードエイジャー」。
この言葉と区分を提唱したラスレットは「健康で活発、積極的な態度を持つ高齢者だけがサードエイジを過ごせる」としており、そうした人々=サードエイジャーは、この時期こそ人生の中で一番充実している「最高の充実期」を迎えることができるのです。
上記の条件を満たす人々こそが「サードエイジャー」であるとすれば、同様の人々を表す言葉やその生き方・暮らし方の表現は他にもあります。
シニア世代の人々を表す言葉には、他にどのようなものがあるのでしょうか?
アクティブシニア
シニア向けマーケティングの市場において、シニア世代は以下の4つの分類で分けられることがあります。
- アクティブシニア
- ディフェンシブシニア
- ギャップシニア
- ケアシニア
この4分類のうちのひとつである「アクティブシニア」が、いわゆる「サードエイジ」に類似しているのです。
アクティブシニアを含む4分類は、サードエイジのように年齢で区分されているわけではなく、シニア世代が持っている特徴で分けられています。
アクティブシニアは「意欲的、活動的で経済的に余裕があるシニア層」であると定義されており、このシニア層の購買意欲やトレンドを押さえておくことが、シニア向けマーケティングを行う上でとても重要であると考えられています。
アクティブシニアの特徴やトレンドなどは、下記のページに詳しい解説がありますので、ぜひご覧ください。
アクティブエイジング
アクティブエイジングという言葉も、最近よく耳にするようになった言葉のひとつです。
この「アクティブエイジング」という言葉は、WHO(世界保健機構)が2007年に提唱した取り組みのことであり、人々が年齢を重ねても生活の質が向上するように健康・参加・安全の機会を最適化するプロセスを指しています。 参考:WHO「アクティブエイジング」の提唱
この取り組みでは、高齢者=シニア世代を60歳以上と定義し、シニアに優しい街づくりのポイントや健康・雇用・社会参加などといった分野における課題や解決策が示されています。
シニア世代にとって、どのような社会であれば生活の質が向上していくのかということが示されている「アクティブエイジング」の考え方を理解することは、マーケティングにとっても重要なことだと言えます。
プロダクティブエイジング
また「プロダクティブエイジング」という言葉も、サードエイジと同じく高齢者=シニア世代の生き方を表す言葉のひとつとして注目されています。
この言葉は、老年学を研究しているロバート・N・バトラー博士が提唱した概念であり、シニア世代の社会参加の重要性を説いています。
具体的には、シニア世代が身体的・精神的にも健康な状態を維持しつつ、人生経験を活かして社会の生産性に貢献し、年齢を重ねていく生き方を表しています。
例えば、現役を引退した後も会社に再雇用されて働いたり、退職してもボランティア活動に従事するような生活を送っている人は、まさにこの「プロダクティブエイジング」の状態にあると言えるのです。
3. サードエイジへのアプローチ
このように、高齢者=シニア世代を表す言葉について「サードエイジ」論の概念からいくつか解説しましたが、この世代に対して的確なアプローチを展開するには、どのようなことを注意して行うべきなのでしょうか?
生き方・暮らし方を理解する
シニア向けマーケティングにおいて一番重要なことは、ターゲットとなる人々の特徴やトレンドを理解することです。
つまり、それはシニア世代の生き方や暮らし方について研究し、理解することを意味します。
今回の場合は「サードエイジ」を中心に考えてきましたので、サードエイジと呼ばれる世代の人々がどのような生き方・暮らし方を好み、どうやって「人生の充実期」を過ごしたいと願っているのかを知ることが大切なのです。
サードエイジャーたちは、活発で積極的なところが特徴のひとつですので、SNSなども臆せずに取り組んでいる人が多数ですから、SNSに広告を出していくことがおすすめです。
SNSやインターネットを活用して、サードエイジャーの思考やトレンドを知りたい時には「シニア向けSNS」を利用してみると良いでしょう。
数あるシニア向けSNSの中でも、50歳以上限定の「おしるこ」では、会員の年齢が「サードエイジ」世代と合致しているため、そのニーズやトレンドを知るのにおすすめです。
4. まとめ
ここまでの解説を見ていただいても分かるように、今シニア向けの市場を動かしているのは「サードエイジ」と呼ばれる世代の人々です。
彼らは、人生を充実させるための努力を惜しまず、経済的にも余裕があるため購買意欲も高いのです。
ですから、この世代にアプローチしたいと思うなら、積極的にSNSを活用することを検討してみると良いでしょう。
シニア向けコミュニティアプリ「おしるこ」であれば、利用者は全て50歳以上に限定されていますから、通常のSNSよりも更にサードエイジャーに特化したアプローチを検討することができるのです。
シニア向けコミュニティアプリ「おしるこ」に関する詳しい資料は、以下からダウンロードできますので、ぜひご確認ください。