みなさまは「おひとりさま終活」という言葉をご存知でしょうか。一般的な終活は、「自身の死後を見据えた様々な整理や生前の遺産整理」のことを指します。
一方、「おひとりさま終活」は文字通り、一人で行っていくタイプの終活になります。総務省のデータによれば、2040年には65歳以上の単身世帯は40%にも及ぶと言われ、何らかの理由で「おひとりさま終活」を余儀なくされているそうです。人生100年時代と呼ばれて久しい中、終活のあり方も大きく変化しているようです。
今回は、「おひとりさま終活」とは何か、また、「おひとりさま終活」をする難しさについて解説していきます。今回の記事を拝読頂き、「おひとりさま終活」を理解し、みなさまが問題に対する対処法を見つけて頂けますと幸いです。
それでは、ご一緒に「おひとりさま終活」の概要を見ていきましょう。
「おひとりさま終活」とは何か?
人生100年時代と呼ばれる今の時代、様々な理由から、独身で親族や近しい人間が周りにいない方も多くいらっしゃいます。「おひとりさま」とは、「単身世帯、独身者」のことを指します。
最近では、「自立した女性」という意味で女性誌などに登場することもあるようです。この、「おひとりさま」が「終活」に結びつくとどのような意味になるのでしょうか。まとめると、「おひとりさま終活」は以下の5つのタイプにまとめることができます。
少々重めの話になりますが、どうぞお付き合いくださいませ。
1.一生結婚せずに独身
2.離婚や死別で独身
3.親族とは疎遠で独身
4.独立した子供の世話になりたくなくて独身
5.現役を引退して独身
自分らしく生き、心配事や自分のもしもの時に備えることが「終活」の意義ですが、「おひとりさま終活」は、周りの人間の助けを借りて協力しながら行う「終活」と比べるとはるかに難しいでしょう。
「おひとりさま」が直面する健康面のリスク
こちらでは、なぜ「おひとりさま終活」が難しいと考えられているのかを解説します。
「おひとりさま」が抱えているリスクの1つには、健康面のリスクがあります。健康面のリスクには、次の3種類があります。
・独身だと自分の不調に気づけない場合がある
・認知症などの精神疾患を患う可能性がある
・健康面の心配から何もする気になれない
以上の3点が、「おひとりさま終活」に関連する健康面のリスクになります。次に、上記の点を具体的に1点ずつ見ていきましょう。
独身だと自分の不調に気づけない場合がある
生涯独身の方や離婚する方の多い時代です。独身であるメリットは、自分で時間を有意義に過ごせることです。金銭的にも、時間的にも、既婚者と比べるとはるかに自由が大きいと言えます。
しかし、年を取ると、この「自由の大きさ」が健康リスクに繋がります。常日頃から見てくれる相手が居ないのは、自分でも気づけない些細な身体の異変や不調に気づけないということです。
もしものことがあった時に、助けを呼んでくれるような人がいなければ、最悪の場合、孤独死に繋がることもあります。
認知症などの精神疾患を患う可能性がある
「おひとりさま」だと会話する機会がどうしても少なく、悩み事を共有することが難しいです。とりわけ、退職後には他人と関わる機会がめっきり減り、自己表現の場が無くなってしまいます。自分自身を表現する機会がなく、働かなくてよいということは、自分の能力を発揮する場所が無いので、急速に老化が進行してしまいます。結果として、認知症などの精神疾患を患ってしまう可能性もあるようです。
健康面の心配から何もする気になれない
高齢になってくると、身体のあらゆる部分が痛みだし、慢性的な病気を抱える方が多いです。身体のどこかが悪くなってしまうと、何をするにも億劫になってしまいます。
とりわけ「おひとりさま」で過ごしていると、積極的に外に出る理由が無い場合が多いので、一人で家に居ることが多くなり、徐々に身体が弱くなっていきます。
このように、身体の不調から外出を控え、運動不足からまた新たな身体の不調が出てくるといった「負のサイクル」が続き、結果的に何もできなくなってしまうのです。
「おひとりさま」が直面する住まいにまつわるリスク
「おひとりさま」が抱えているリスクの1つには、暮らし・住まいにまつわるリスクがあります。住まいにまつわるリスクには次の3種類があります。
・住み替えがしにくい
・家財が廃棄物になってしまう
・自宅が空き家のままになってしまう
以上の3点が、「おひとりさま終活」住まいにまつわるリスクがあります。次に、1点ずつ具体的に見ていきましょう。
住み替えがしにくい
単身の高齢者だと、まだまだ転居先が見つかりにくいのが現状です。とある例を見ると、「高齢である」ということだけで、不動産屋に入居を何件も断られたという事例もあるようです。高齢社会である今の日本では、高齢者の入居拒否の問題はとても身近な問題と言えます。
家財が廃棄物になってしまう
当然のことですが、遺品整理には費用がかかります。たとえ、遺品自体がブランド物や貴金属類などの価値があるものであったとしても、相続人の居ない場合は全ての遺品は「廃棄物」としてみなされます。廃棄物になってしまうと、その廃棄費用等は担当する不動産屋の負担となってしまうので、それが単身高齢者の入居拒否の原因となっているようです。
自宅が空き家のままになってしまう
また、単身高齢者の方が自宅の改築や清掃などを行わなかったために、建物が老朽化し、ゴミ屋敷化してしまう例も見られます。長い間放置された家や庭を再建するのは至難の業です。
ましてや、孤独死などしてしまうと、故人の遺品整理やご遺体の清掃などの費用が重なります。結果として、土地の売却費用が家の修繕・清掃などの諸経費を下回るようだと、その家は空き家のまま放置されてしまう結果となります。
単身の高齢者が暮らしにくい家の特徴
それでは、単身の高齢者が暮らしにくい家にはどのような特徴があるのでしょうか。
次に、それらの特徴を挙げていきます。
・二階建て、もしくは階段がある家
・エレベーターの無い古いマンションの二階以上の部屋
・段差が多い家
・莫大な修繕費がかかる古民家
以上の4つの点が住居選びのポイントになります。高齢者になると体力の低下が顕著になります。身体に負担をかけないためにも、バリアフリーで、階段や段差の少ない家で生活することをおすすめします。
「おひとりさま」が直面するその他のリスク
「おひとりさま終活」をしていく上で直面するリスクは他にもあります。それが、遺産相続問題と自分の望む形での葬儀してくれる人がみつからない、というリスクです。1つずつ順番に見ていきましょう。
まず、一つめの遺産相続問題は、遺言書問題です。独身の方で急病や事故で急逝される場合、遺言書が残されていない場合があります。そうすると全ての遺産は国庫に入ることになります。それを避けるためにも、事前に法務局に行き、遺言書を保管してもらえる制度である「自筆証書遺言保管制度」を利用してみるのがおすすめです。
次に、二つ目の葬儀の問題ですが、これは信頼できる友人・知人に生前から伝えていくしかありません。独身の場合、この伝達が難しいのが大きな問題です。
まとめ
今回は、「おひとりさま終活」の概要とリスクについてお伝えしました。高齢社会となり、独身者も増えつつある今の日本社会。
「おひとりさま終活」は、今や終活のスタンダードであると言っても過言ではありません。
これから終活を予定されている方は、「おひとりさま終活」を念頭に置いて、終活について考えていくべきなのではないでしょうか。
「おしるこ」には、おひとりさまの方々の良き理解者がいるかもしれません。これを機会に、「おしるこ」の利用を、ぜひご検討くださいませ。
【出典】
・総務省 情報通信白書平成30年度 単身世帯の増加 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd141110.html
・ACP人生会議
https://www.med.kobe-u.ac.jp/jinsei/about/index.html