ペットロスが重症化しやすい高齢者 | シニアド

ペットロスが重症化しやすい高齢者

あなたは「ペットロス」について考えたことがありますか?

ペットロスとは「ペットを亡くした」飼い主の体験やそれによる悲しみのことを指します。ペットを飼う人であれば、誰しも一度は考えたことがあるテーマなのではないでしょうか?当たり前ですが、人間よりもペットの方が寿命が短いです。そのため、家族同然であるペットを亡くす時がいつかはくるのです。

ペットロスはペットを家族として迎え入れていたら当然起こることです。しかし、このペットロスの症状が悪化してしまう傾向が高齢者にはあるようです。なぜ悪化しやすいのかや、それを改善する方法などを考えていきましょう。

高齢者はなぜペットロスが重症化しやすい?

ペットロスとは、愛犬や愛猫を亡くしたことによる悲しみです。そのペットロスが重症化した状態のことを「ペットロス症候群」と言います。ペットロス症候群とは、愛犬・愛猫を亡くしたことで精神面や身体面に様々な症状が出てくることです。

ペットを飼っている人なら誰にでも起こり得るペットロスが高齢者の場合は重症化しやすいのでしょうか?

参照:ペットロスを考える 猫と暮らす高齢者、重症化に注意(朝日新聞)

ペットと過ごす時間が長い

高齢になると自宅でいる時間が多くなり、自然とペットと過ごす時間も長くなります。そのため、ペットへの依存度が高くなっているのです。

一人暮らしの場合、ペットが自宅での話し相手となっていることもあるでしょう。そんな唯一の話し相手が突然いなくなってしまったら、心の中にぽっかりと穴が空いてしまったようになることは必然的ではないでしょうか。

悲しみを共有する人がいない

悲しみを共有する相手がいないと、悲しみのやり場がなくなってしまい、自分で全てを抱え込んでしまいます。高齢者の場合は、夫婦2人暮らしや一人暮らしが多く、悲しみの共有相手がいないことがあります。

また同居している家族がいても、育児や家事、仕事に手一杯でその話を聞いたり、一緒に悲しんだりしてもらえない場合もあります。

猫を飼っている人の方が、悲しみを共有する相手がいない場合が多いとされています。犬の場合は一緒に外に出て散歩をします。外で散歩をしていると近所の人に話しかけられたり、一緒に散歩に行く散歩仲間ができたりします。しかし、猫の場合は散歩がないため、近所にこのような仲間を作りづらいのです。

この2つの条件が当てはまるのが高齢者であり、ペットロスが重症化しやすい傾向にあります。

ペットロスの現状とは?

実際にペットロスを起こしている高齢者の現状は、どのようになっているのでしょうか?ここからはペットロスの現状についてご紹介していきます。

参照:ペットロスが体調不良を引き起こす?高齢者はペットとどう向き合うべきか(みんなの介護)

約6割がペットとの死別後に体調不良を感じている

アイペット損害保険の調査によると、ペットとの死別後(老衰を除く)に体調不良を感じた人は63.2%にもなります。半数以上の人が何かしらの体調不良を感じていることがわかります。

体調不良を感じたという人の主な症状は「突然悲しくなり、涙が止まらなくなる」が最多で、他には「疲労感や虚脱感、無気力、めまい」「眠れない」「食欲不振(拒食症、過食症)」があげられました。

この調査結果から、ペットを家族の一員として迎えている場合が多く、近親者を亡くすような心理的ダメージやストレスを感じていると考えられます。

参照:ペットとのお別れに関する調査(アイペット損害保険株式会社)

ペットの高齢者への効果は大きい

ペットロスばかりに目を向けてしまうと高齢者がペットを飼うことは悪いように感じるかもしれませんが、ペットが高齢者に与える効果は大きいのです。

最近では「アニマルセラピー」という言葉があるように動物と触れ合うことで認知症予防につながったり、ストレス軽減に効果があったりと健康効果が期待されています。

ペットを飼うことによって、外出の機会が増えたり、ペットの世話をすることで主観的健康観(自分自身で健康だと思うこと)が高まったりと多くの効果があります。また自然と歩く、手を動かすことにもつながり、リハビリ効果も期待されます。

ペットロスばかりに目を向けてしまうと、高齢者がペットを飼うことへ反対したくなりますが、多くの良い効果もペットにはあるのです。

高齢者のペットロスを重症化させないためには?

高齢者のペットロスが重症化しやすい理由が理解できたのではないでしょうか?それでは、どのように重症化を防ぐか少し考えてみましょう。

しっかりとお別れをできる環境を作る

ペットを家族として迎えていた場合、ペットを亡くしたらその悲しみは家族(人間)を亡くしたことと同じです。だからこそ、しっかりとペットとお別れできる環境づくりが必要です。

最近ではペットのお葬式やお墓、火葬などを行ってくれるところもあります。このように人間同様のお葬式を行うことも1つです。ここまで行うことが難しい場合は、お花を買って来て家族でお別れの時間を作るというのも1つの形です。

自分や家族にあったスタイルでお別れの場を作ると良いでしょう。このような場は気持ちの切り替えのきっかけにもなります。

一緒に悲しんであげる

もしペットを亡くした高齢者が1人暮らしまたは、高齢夫婦の2人暮らしの場合は、一緒に悲しんであげるようにしましょう。

ペットの飼い主にとって、ペットはかなり大きな存在です。それが高齢者の場合は特にその存在が大きい場合が多いです。だからこそ、一緒に悲しみ、気持ちを共有する人が必要になります。

ペットが亡くなった直後に1人の時間が多くなってしまうと喪失感や悲しみばかりが大きくなり、塞ぎ込みたくなってしまうかもしれません。なるべく飼い主に寄り添い、悲しみを分かち合う時間を取るようにしましょう。

毎日一緒にいることは難しいと思うので、時々ごはんを作って持って行ったり、孫の顔を見せに行ったりするなど、程よい距離感で行うとお互いの負担になるすぎることを防げます。

ペットも家族、しっかりとお別れができるようにしよう

ペットロスはペットを亡くされた際に誰にでも起こることです。その中でも高齢者はペットと過ごす時間が長かったり、悲しみを共有する相手がいなかったりしてペットロスが重症化してしまう傾向にあります。

ペットは高齢者にとって良い効果が多くある一方で、亡くなった時の影響は大きいです。だからこそ、高齢の飼い主のペットが亡くなった際には一緒に悲しみ、寄り添う必要があります。まずは一緒に悲しみ、少し時間が経ったら元気になるきっかけ作りが行えるといいですね。

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