高齢者はどうしたら災害時きちんと避難できるのか?
高齢者が災害時に逃げ遅れてしまうという問題はよくニュースで取り上げられています。最近では、豪雨や地震、土砂崩れなどとにかく自然災害が多くなっています。
この自然災害が多くなればなっただけ、高齢者は避難を強いられるケースが多くなります。しかし、自分1人で避難できる高齢者はどれだけいるでしょうか?自分の祖父母やご両親、周りの高齢者のことを少しだけ考えてみてください。普段は普通に暮らせていても、災害という状況下となった場合、1人で避難することができる高齢者はかなり少ないことが容易に想像できます。
それでは、高齢者の避難の現状や課題はどうなのでしょうか?また、どうしたら少しでも高齢者の避難遅れを防ぐことができるでしょうか?本記事では高齢者の避難について考えていきます。
高齢者の避難の現状と抱える課題とは?
よく高齢者の避難には逃げ遅れが発生すると言われていますが、現状や課題はどうなのでしょうか。
参照:高齢者の避難、再び課題に 熊本豪雨、犠牲者の7割は70歳以上(西日本新聞)
九州の豪雨でも多くの高齢者が犠牲になってしまっている
九州を襲った豪雨でも多くの高齢者が亡くなりました。被害が集中したのは熊本県。死者は65人、そのうち約7割が70歳以上の高齢者でした。この数字からもわかるように災害弱者を守ることの難しさが歴然です。
しかし、この70歳以上の高齢者を災害から救うためには、ただしっかり避難してくださいと注意喚起をするだけでは難しいでしょう。元気に1人で避難できれば良いのですが、なかなか災害が発生しているという状況となるとそうもいきません。だからこそ、どうしたら災害で亡くなる高齢者を減らすことができるのか、社会全体で考えていく必要があります。
避難行動要支援者名簿の作成が進まない
市町村には避難行動要支援者名簿というものがあります。これは、災害時の避難支援や安否確認に活用するための、高齢者や障害者の個人情報(名前、連絡先、住所など)記載した名簿のことです。この名簿は本人が同意した上でないと作成することができず、まだまだ登録が進んでいない状態です。
名簿への掲載は本人の同意が必要なため、高齢者に登録を進めても「私はまだ大丈夫だから」と断られてしまう場合もあるといいます。災害時に名簿への掲載がされているのかが命の分かれ道となることもあります。個人情報の提供には慎重になる方も多いようですが、名簿の作成によって救われる命もあるでしょう。
日本の高齢化の現状
高齢者の避難遅れを減らしましょうとなっても、日本の高齢化の現状を見てみると単純に「みんなで守ろう」ということが難しいのも事実です。早速、日本の高齢化の現状について理解を深めていきましょう。
参照: 令和2年版高齢社会白書(内閣府)
高齢化率は28.4%
2019年10月時点の日本の高齢化率は28.4%となっています。高齢化率とは総人口に占める高齢者(65歳以上)の割合です。日本の人口は1億2,617万人、そのうち高齢者は3,589万人となっています。
簡単に考えると日本の人口の約1/4が高齢者ということになります。75歳以上が総人口に占める割合は14.7 %、65〜74歳が総人口に占める割合よりも多くなっています。
現役世代1.3人で1人の高齢者(65歳以上)を支える未来がやってくる
2019年時点では総人口の約1/4が高齢者となっています。しかし、これはピークではありません。日本の人口は年々減少傾向にあり、このまま減少し続けると2053年には1億人以下になるとされています。
高齢化率は上昇し、2065年には高齢者1人に対して現役世代1.3人という比率になります。2015年時点では高齢者1人に対して現役世代2.3人だったことを考えると、どれほど日本の高齢化が課題となっているかということがわかります。
そのため避難遅れの高齢者を守ろうといってもそう簡単にはいかないことが、人口の面からも理解でききます。
どうしたら高齢者の逃げ遅れを防げるのか?
災害時の高齢者の避難状況や日本の高齢化率を理解した上で、私たちはどうしたら高齢者の逃げ遅れを少しでも防ぐことができるでしょうか?
SNSをより活用する
高齢者の間でもスマホが普及し始めています。SNSをうまく活用できれば、多くの情報を迅速に取得できるようになります。例えば、今まではテレビからの情報が全てだったかもしれませんが、SNSを活用することによってほぼ生放送の状態の情報を簡単に手に入れることができます。
これによって、近くの川の様子や避難所の様子など細かい情報を得やすくなり、避難の有無や家庭での対策などを適切に行えるようになるのではないでしょうか?
避難所を快適にする
高齢者の逃げ遅れを防ぐには、より早い段階で避難所へ避難してもらう必要があります。しかし、避難所はあまり快適ではありません。そのため、なるべく家で過ごし、本当に必要になったら避難所へ行こうと考える人が多いのではないでしょうか?しかし、本当に必要になった時には、すでに手遅れの場合もあります。
だからこそ、避難所を少しでも快適にすれば、ギリギリまで待たずに、早めの避難を行ってくれる高齢者が増える可能性があります。
近所の人で日々コミュニケーションをとる
避難の際に重要となってくるのは近所の人との日々のコミュニケーションです。日々コミュニケーションを取っていれば、避難の際に手助けをしてもらえるかもしれません。
また、日々近所の人とコミュニケーションを取っていれば、地域の避難所に集まる人の多くが知り合いなので、少し快適に過ごすことができるのではないでしょうか。
近くに住んでいない場合でも、家族とは避難計画を少しでも話しておくと安心です。
高齢者の避難遅れを減らそう
高齢者が避難する際に逃げ遅れをなくすことは、かなり難しい課題です。特に高齢化が進む日本においてはどのようにして効率良く多くの高齢者を助け、守るのかということが悩ましいポイントかもしれません。
高齢者の避難遅れを防ぐことは簡単なことではありませんが、1つでも多くの命が守れるよう、スマホを使いこなせるようになることや日々の近所・家族とのコミュニケーションが大事になってくるでしょう。
シニアライフのヒントが欲しいと思ったら、ぜひおしるこアプリを覗いてみてください。とても役立つライフハックに出会えるかもしれません。