高齢になると今まで1人でできていたことが徐々にできなくなっていきます。その1つが通院です。今までは自分で病院へ行き、診察を受けて、治療の判断をできていた場合でも、高齢になるとそれが難しくなっていきます。
実際に高齢者が病院へ行くと、先生や看護師に「家族の方と一緒に来てください」と言われたという話もよく聞きます。しかし、「家族と来てください」と言われても、家族が付き添うことができない時もあるのが事実です。
今回は、病院で言われる「家族と一緒に来てください」が抱える問題について考えていきます。
病院に1人で行けない高齢者の実態
高齢になると1人ではできないことが増えていきます。実際に通院に1人で行けないというのは、どういうことなのでしょうか?これからするお話は、身体が不自由ではなく、1人で外出できる状態の高齢者を想定しています。
物理的には病院へ1人で行ける
病院に行き、診察を受けるだけであれば、1人でできる高齢者も多くいます。自分で運転して行っても良いですし、タクシーやバスなどの公共交通機関を利用してでも可能です。もちろん、身体が不自由でそもそも1人では外出することが難しいという方もいると思いますが、身体に不自由がなければ基本的には自力で通院できるのです。
1人で行っても治療の判断ができない
1人で病院に行くことができても、自分の病気の理解ができなかったり、今後の治療の判断ができなかったりする高齢者は多くいます。この時によく「家族と一緒に来てください」と病院から言われるのです。行くこと自体はできても、今後のことを判断できない場合が多いのです。
実際に私も祖母の通院に付き添いましたが、終わった後に同居家族に自分で説明できるかと聞いたところ、「できない」という回答でした。
加齢に伴う認知機能の低下
年を取ると共に、認知能力は低下します。認知能力の低下とは、理解力や判断力、言語理解能力などの認知機能が低くなることを意味します。つまり、話が理解できなかったり、言語化できなかったりするのです。
認知能力の低下スピードには個人差があり、日々の生活環境や人間関係などが影響を及ぼしていると考えられています。そのため、何歳になるとどれだけ認知能力が低下するという指標はなく、人それぞれなのです。
この認知能力の低下が、物理的には病院へ行けても、高齢者が1人で通院できない大きな理由です。
常に家族が通院に付き添えないという実態
病院で「家族の人と一緒に来てください」と言われて、毎回誰かが対応できれば良いのですが、働いていたり、子育てしていたりするとなかなかそうもいきません。
診察のみの場合は1時間程度で終わるかもしれませんが、検査もするとなると1日かかります。高齢者が1人で動ける場合、検査に家族の付き添いは基本的に必要なく、診察の部分だけとなります。
それでも、診察のタイミングはいつになるのかわからないため、結局1日付き添うこととなるのです。
年に数回なら良いのですが、高齢になると必然的に通院の回数も増え、家族への負担もどうしても大きくなってしまいます。また、近くに住んでいる場合ならまだ良いのですが、少し遠方に住んでいるともなるとその負担は増大します。
通院の付き添いにテクノロジーを生かせないだろうか?
近年急速にテクノロジーが発展しています。そのテクノロジーの力を借りたら高齢者の通院の付き添いもしやすくなるかもしれません。
ボイスレコーダーで先生の話を録音する
病院の先生の話を理解はできるけど、家族に説明するのが難しい状態だったら、ボイスレコーダーを持って病院に行くのはいかがでしょうか?
例えば薬の飲み方の説明や、日々の生活で気をつけることなど、その場で判断する必要がない場合は録音してきてもらって、後ほど録音を聞くというのでも全く問題はありません。
ボイスレコーダーの操作は比較的簡単なため、高齢者でも楽に操作できるはずです。スマホを持っている場合は、スマホで録音しておくのでも良いかもしれません。
テレビ電話形式で診察に参加する
もしどうしても付き添えないが、診察中に今後の治療や方針などを決めなくてはならないという場合は、デレビ電話形式で診察に参加してみるのはいかがでしょうか?これなら付き添いのための移動時間を省くことができ、診察の瞬間だけ対応ができれば問題ありません。
また、先ほどの録音とは違いリアルタイムで対応することができるため、先生に質問することも可能です。
ただし、この方法はスマホを所持することと、高齢者がスマホを使いこなせることの2つの条件が揃わないと実現しません。2つの条件が揃っている場合は、赤ちゃんがいて病院へ付き添えない方や、遠方に住んでいて毎回病院に行けないという家族にはぴったりの方法なのではないでしょうか。
最近ではオンライン面会のシステムを導入している病院もあるので、そのシステムを利用したら、比較的簡単に病院側も導入できるかもしれませんね。いずれにせよ、うまくテクノロジーを活用することで、高齢者の通院に付き添う家族の負担を減らせるかもしれません。
高齢者の通院の付き添いについて考えよう
高齢になると通院は付き物です。1人で通院するのが難しくなった時に、家族とどのように向き合っていくのかというのは、重要なことです。
認知能力の低下は病院以外のシーンでも影響を及ぼしてきます。今すぐという話ではないかもしれませんが、今のうちから少し考えておくといざという時に即座に対応できるでしょう。どうしても誰も付き添ってあげることができない場合は、うまくテクノロジーに頼るのも良いかもしれませんね。
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