周囲との交流の変化 〜終活の流れを受けて
先日、ファーストフード店でポテトを食べていたときのこと。隣に座っていたおばあさんの真剣な眼差しについ惹かれてしまった私。よく見てみると長い手紙を書いているよう。
最近めっきり見る機会が減った光景に、なんだか気持ちがほっこりした瞬間でした。
手紙のあたたかみ
今はメールでもSNSでも瞬時につながれる時代です。手紙を書く機会はどんどん少なくなっているのが現状です。
かつて、アラサーの私が小学生の頃、手紙の交換が大流行しました。毎日のように会っているのに手紙を交換して、時にはわざわざ郵便で送って。あのワクワク感はリアルタイムで繋がれる現代のワクワク感とは、どこか違うものがありました。
手紙は、
- 受け取った相手のことを想像して書く
- 字の特徴や癖でその人らしさが出る
- 何度でも手元で反芻できる
といった良さがありますよね。直接話せばいいことをあえて手紙で残す行為はメールやSNSにはないあたたかみがあると思っています。
メールやSNSにも良さもある
もちろん、メールやSNSにも良さはあります。新型コロナウイルス感染症の影響で、遠方の親族との連絡はめっぽうメールやSNS頼りですし、災害が起きた時に瞬時に連絡が取れるという点でも、メールやSNSはもはや必要なものになりつつあります。
私の周りの高齢者は、孫たちの写真をアプリで共有したり、SNSで連絡を取り合ったり、案外デジタル化に適応していっている人が多いな、と感じています。特に定年退職寸前の50代や定年退職した60代の方々は、仕事でデジタル化に触れてきた人も多いからか、あまり抵抗がなく、どんどん取り入れている印象です。
実際に、LINEは他のSNSに比べて高齢者にも普及してきています。
参考:【シニアのスマホ利用事情】SNSをしている60代以上の9割は「LINE」 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト
年賀状じまいをする人たち
手紙でのやりとりが減って、メールやSNSを取り入れる高齢者が増えている中、新しい動きが出てきました。
終活の一環で「年賀状じまい」をする人が増えているらしいのです。
年賀状じまいとは、「今年で年賀状でのやりとりを終わりにしましょう」と年賀状でご挨拶し、その後は年賀状を送らないようにするというもの。年賀状じまいをしたあとは、メールやSNSで連絡ができるようになった今、それで新年のご挨拶を済ます方もいるそうです。
年賀状じまい、と調べるだけでテンプレートがいくつも出てくるほど注目されている流れです。
参考:年賀状じまい(終活年賀状)とは?書き方のポイントや文例を紹介 – 年賀状日和|年賀状特集|年賀状・無料ダウンロード|年賀状ならブラザー
年賀状じまいをするメリット
年賀状じまいをするメリットとしては、義理でやりとりしていた人間関係を見直せる、年賀状を作る手間や時間、費用の節約などがあげられます。
けれども、1年に1回の年賀状が交流の機会、年賀状があるからこそつながっているという方もいるはず。相手と長年の付き合いの場合、固定電話の番号は知っていても、メールアドレスや携帯電話の番号を知らない、ということも十分にあり得ますよね。
終活という考え方には、メリットももちろんありますが、交流範囲が狭まるかもしれないという懸念点もあります。
また、万が一、亡くなったときに遺族が誰に連絡していいかわからないということも考えられます。年賀状が残っていると、どの人に連絡していいかわかりやすいという面もあります。訃報は基本的に電話でするのがマナー。年賀状があると調べやすいのですが、遺族の立場になったときにパスワードやプライバシーの問題で、携帯から情報を得ることに抵抗がある方もいるのではないでしょうか。
なによりも、手紙というツールがなくなることで、人とのつながりが狭まる……
たしかに、人とのつながりを整理することでわずらわしい人間関係は減るかもしれません。
便利な時代にはなりましたが、限定したつながりしか残らないというのは少し寂しいものではないですか?
交流する楽しさは大切にしたい
年賀状や手紙を書く機会が減ったとしても、友人や親族との交流する楽しさはなくしたくないですよね。春は、家族との関係で引っ越したり、定年退職や再就職で変化も多い時期です。そういう時期だからこそ、周囲とのつながりは大事にしたいところ。
今までのつながりを維持するためには、連絡先の整理や記録をしておくのが重要です。また、メールやSNSではいつでも連絡できる手軽さから、「いつでも連絡できる」と思って、逆に連絡するタイミングを失ってしまうことも。「あとでいいや」と後回しせず、定期的に連絡を取り合うようにするようにしたいですね。