新型コロナウイルスが高齢者に与える感染以外の恐怖
新型コロナウイルス収束の目処は立たず、最初の緊急事態宣言が発令されてから2年が経とうとしています。新型コロナウイルスの長期化によって、高齢者は感染以外の新たな恐怖に晒されているようです。
本記事では、新型コロナウイルスが高齢者に与える影響に注目しながら、コロナフレイルにも触れていきます。
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誰しもきっと一度は悩んだことがあるであろう「人間関係」。老人ホームでも人間関係トラブルはあるのでしょうか?最近では老人ホームで起きる悲しい事件がニュースで報道されていることもよくあります。
老人ホームでの人間関係事情と、その人間関係がうまくいかない原因について解説していきます。せっかく老人ホームに通うなら、みんな楽しく過ごせると良いものです。
目次
1.新型コロナウイルスによって高齢者の生活は変化した?
新型コロナウイルスによって高齢者の生活はどれほど変化したのでしょうか?高齢者の恐怖感や外出の傾向に注目していきます。
参照:COVID-19による高齢者の活動への影響と社会参加(健康長寿ネット)
参照:コロナフレイル~高齢者を襲う第二の禍~(NHK政治マガジン)
感染に対する恐怖感
高齢者は感染した場合の重篤化リスクが高いと言われ、基礎疾患を持っている人も多いことから、自粛生活を余儀なくされました。ニュースで連日、高齢者の重篤化リスクが報道されたことにより、新型コロナウイルスの感染者数やワクチン摂取に過剰なまでに反応するようになってしまった高齢者もいます。
実際に私の祖父母も毎日ニュースや新聞をチェックして、「今日の感染者数は何人だ」「あそこのスーパーは駅前だから東京に行ってきた人がいるかもしれないから、行かない」と過剰なまでに反応し、ストレスを抱えていました。
もちろん、感染対策の徹底は必要ですが、それが過剰になり、ストレスにまでつながってしまっているのです。
外出機会の減少
新型コロナウイルスは、高齢者の外出機会の減少にも大きく影響しました。調査によると、新型コロナウイルス蔓延によって、高齢者の活動量は3割程度減少したことがわかりました。2020年1月時点(COVID-19感染拡大前)の1週間当たりの身体活動時間(中央値)は245分、2020年4月時点(緊急事態宣言中)には180分にまで減少していたのです。これは全世代で行なった調査においても、身体活動時間の3割減は明らかになっており、高齢者が突出して減少したというものではありませんでした。
2020年6月の調査を見てみると、ほぼ全ての人の身体活動時間は緊急事態宣言前の状態まで回復しました。しかし、独居かつ社会参加なしの場合は身体活動時間が緊急事態宣言前まで戻っていないことが明らかになりました。
もともとあまり社会との関わりがなく、独居の場合、緊急事態宣言を経て、より一層社会との関わりが薄れたと理解できます。
2.コロナフレイルという危険が高齢者に迫っている?
新型コロナウイルスに感染する以外にも、コロナフレイルという危険が高齢者に迫ってきているとされています。
フレイルとは、日本語で虚弱を意味し、健康と要介護状態の「中間的段階」のことです。新型コロナウイルスの感染対策で、外出機会が減少し、運動をしない、食事が偏る、人とのコミュニケーションが減っています。これによって、身体や認知機能に悪影響が出ている高齢者が増加していることから、コロナフレイルという言葉が注目されてます。
つまり新型コロナウイルスが蔓延し、長期化していることから、高齢者は自宅へ引きこもりがちになり、フレイル(虚弱)の脅威に晒されているのです。
身体的な影響が出始めている
ある日突然、身体に異変を感じたという高齢者が出てきています。今までは普通に歩けていたのでにも関わらず、ある日足が痛むようになったという声もあります。
病院での診断の結果、足が痛む原因は、運動不足と判明しました。新型コロナウイルスが蔓延する前までは、地域の活動に参加することで定期的に外出していましたが、自粛生活によって生活が一変、外出機会が減ってしまったのです。
認知機能低下に伴う物忘れも
身体的な影響だけではありません。もの忘れをはじめとする認知機能低下にも新型コロナウイルスによる外出自粛は大きな影響を及ぼしています。以前は趣味や近所づきあいなどで外へ出ていた人でも、自然と自宅で過ごすことが多くなり、テレビを見ながら趣味をして、座っていたら1日が終了してしまうということもあるようです。
高齢になると身体的な運動機能や認知機能の低下は自然なことですが、現在の健康状態の悪化は、加齢では説明できないとしています。
3.感染予防と並行して健康的な生活ができるような取り組みが必要
新型コロナウイルスの蔓延が長期化する中で、感染予防と並行して健康的な生活ができるような取り組みが必要であると考えられています。実際に、地方自治体も取り組みを始めています。
参照:新型コロナ フレイル予防にハレハレ体操を みやま市など考案 /福岡(毎日新聞)
参照:介護予防体操~ハレハレみやま体操~【高齢者向け】(みやま市)
地方自治体の体操教室の実施
コロナフレイルは地方自治体でも危険視され、対策が始まっています。香川県高松市では、筋力維持のための体操教室を開催しています。70代、80代の参加者が教室に集まり、オンラインで講師から体操方法を教えてもらっていました。
普段自宅に引きこもりがちの高齢者も地域でこのような教室が開催されることで、外出のきっかけとなり、社会とのつながりを実感する機会につながります。また体操方法を習うことができるため、自分でも自宅で気軽に体操に取り組めるようになるでしょう。
誰でも自宅でできる体操を考案
リアルでの体操教室が開催されている一方で、オンラインで楽しめる体操を考案した地方自治体もあります。福岡県みやま市では、誰でも取り組みやすい介護予防体操「ハレハレみやま体操」を作りました。これをYouTubeで配信することで、どこでも簡単に体操に取り組めるようにしたのです。
最近ではYouTubeを日常的に利用する高齢者も増えてきているため、気軽に運動する機会を創出するにはぴったりの方法でしょう。
コロナフレイルの予防は大きな課題となっている
高齢者にとって、新型コロナウイルスへの感染はもちろん、外出自粛に伴うコロナフレイルも新たな脅威となっています。このコロナフレイルに企業がどのようにアプローチするのかによって、ビジネスチャンスが生まれることが考えられます。
例えば、高齢者のスマホ利用も増えてきていることから、オンラインで運動が楽しめるようなコンテンツ作りは、その手軽さや安全性から好まれそうです。しかし、オフラインでのコミュニケーションを取ることも生活においては非常に大切なことです。感染予防対策の徹底をしながら取り組めるようなイベントを行えると高齢者の健康につながるでしょう。
高齢者のニーズを理解しつつ、感染予防ができるコンテンツが新たなビジネスチャンスとなるはずです。