コロナ禍で体力不足の高齢者が続出。体の不調に合わせたフィットネスマーケティング
コロナ禍による外出自粛が原因で、体力不足の高齢者が多くなっています。
健康であっても、2週間あまり動かない生活を送ると高齢者の脚の筋肉量は3.9%減少する報告もあります。
参考文献:『コロナで「動かない生活」 体力低下で死亡リスク高く』(日経電子版)
世間では外出自粛の規制緩和を経て、今後高齢者の外出の機会は多くなりますが、足腰が弱くなったと感じ、かかりつけ医に相談される高齢者も多いでしょう。
遠方への外出となれば、体力も必要です。また必要な筋肉量がなければ、転倒や怪我をする可能性があります。
そのため、高齢者の健康づくりへの関心はより高まると考えられます。
現在はネットを利用する高齢者も多く、高齢者ごとの心身の不調や悩みにダイレクトにつながることが可能です。
ぜひ、これまでとは違う高齢者のニーズに合わせたプロモーションをご検討してみてはいかがでしょうか。
目次
1.コロナ禍で体力づくりを模索する高齢者が急増中
最近は、高齢者向けのジムも作られ、健康づくりに関心のある高齢者のニーズに応えています。
高齢者もスポーツクラブにお金をかける方が多く、健康への関心が高いのですが、コロナ禍で感染リスクを抑えるために、どのような健康づくりがよいのか模索しているかと思います。
高齢者の元々の懸念
高齢者は、人それぞれ体の不調を感じているポイントは異なるのではないでしょうか。
例えば、膝が悪かったり高血圧だったりそれぞれ持っている持病は違います。そのため、その持病を改善したり、運動によってかえって持病が悪化しない健康づくりを望んでいます。
高齢者の新たな懸念
コロナの感染者数が低下している時期は、外出をしたり友人と出かけたりする機会は増えるでしょう。しかし、室内で多くの人数と運動することは、高齢者は躊躇するのではないでしょうか。
「密室を避ける」「換気が徹底されている」ことが目で見てわかるなど、感染対策を取りながら運動できる場を探していると思われます。
2.高齢者の体の不調に合わせたプログラムを
これまでは、フィットネスクラブが用意するプログラムを高齢者が選ぶというスタイルが主流だったでしょう。
しかし、ネットによる情報過多により、何が一番自分にあった健康づくりなのか、高齢者は分からなくなっています。そのため、専門的な知識を持つアドバイザーとのコミュニケーションの中で高齢者の体調に合わせた体力づくりを提案してもらった方が、高齢者は安心して運動に取り組めるでしょう。
その他にもどのようなプロモーションがあるのでしょうか。例をあげて、考えていきます。
不調に合わせた「膝が痛い人コース」など
現在、多くのフィットネスクラブなどでは、「エアロビ」「ヨガ」など運動の種類によってコース名がついているでしょう。
今後は既存のコースに加えて、高齢者の体調不良に合わせたコースもご用意してみてはいかがでしょうか。
例えば、「膝が痛い人コース」や「腰が悪い人コース」などです。
運動をすることで、自身の不調が悪くならないか心配している高齢者も多いでしょう。
高齢者は、例えば「膝が痛い人コース」を利用すれば、安心と感じる可能性が高いと思います。
また、自身の不安にフィットネスクラブなどが寄り添ってくれる印象も与えるので、新たな顧客層が開拓できると思います。
食事療法
最近は、宅配用弁当を利用する高齢者も増えています。
一人暮らしの高齢者の食事を心配し、高齢の親のために契約している子ども世代もいます。
しかし、高齢者の中には宅配用弁当を避ける方も多いでしょう。
有名フィットネスクラブの利用者への食事管理が有名ですが、健康に食事は欠かせません。
食事療法や食事に関するセミナーも同時に開催し、高齢者の健康への関心を保つことも、サービスの継続利用につながります。
利用者のためにカスタマイズされたプログラム
今後は、個々の健康状態に合わせてプログラムをカスタマイズするスタイルも多くなっていくでしょう。
しかし、顧客数が多いジムなどでは難しいかと思われます。
自分の体調に合わせてカスタマイズされたプログラムを利用したい高齢者は、フリートレナーへの利用へ移行していくかもしれません。
3.オンラインでの個別ケアは、個人事業主トレーナーに有利
若い世代の間では、SNSのインスタグラムなどから、オンラインダイエットトレーナーを利用している人もいます。
密を避けたい高齢者にとっては、オンラインでのトレーニングが適しているかもしれません。
またオンラインではフリートレーナーが多く、グループでトレーニングをしたり、個別の相談に乗ったり大手ジムにはないサービスを提供できます。
今後は、高齢者向けのオンラインを使ったトレーニングサービスも大きく展開していくのではないでしょうか。
FacebookなどSNSを活用してアプローチ
フィットネスクラブなどに所属していないフリーのトレーナーの方は、今後高齢者向けのサービスを視野にいれてみてはいかがでしょうか。
ビルやマンションの個室を利用して開業している方もいると思いますが、オンラインなら自宅で行うこともできます。
もしくは、狭いスペースで撮影できるので、家賃代の大幅カットが見込まれます。
高齢者のネット利用率は高く、FacebookやTwitterなどのSNSやYouTubeなどのコンテンツも頻繁に使用しています。
高齢者が利用するコンテンツでアプローチしてみてはいかがでしょうか。
スポーツイベントでのアプローチもあり
zoomを使ったオンラインなら、コロナの感染者数など環境に縛られる負担が軽減されます。
オンラインでのサービスなら、利用者はより一層個別ケアを期待する傾向があります。
高齢者向けのイベントを開催し、高齢者のニーズを調査し、サービスを絞っていく方法もあるでしょう。
個人トレーナーや新規で小規模のジムをオープンしたい方には負担が少なく、効果的なマーケティングともなる手法です。
4.高齢者へのアプローチは、ポジティブに
ある学術研究では、若年者と比較したところ、高齢者は「ポジティビティ・バイアス」が強く表れる結果が明らかとなっています。
参考文献:『コロナ禍における健康二次被害対策への行動デザイン活用の可能性について~高齢者の行動変容にはポジティブメッセージを~』(株式会社 NTTデータ経営研究所)
これは、高齢者は情報を得る際に、ネガティブな内容よりもポジティブなメッセージの方に注意を向け、その情報を得る傾向が高いということです。
そのため、高齢者への健康づくりのアプローチは「運動すると、頭も体も若返って毎日が活き活きと過ごせますよ」といった、ポジティブなメッセージが有効です。
5.まとめ
コロナによるネットの利用率の上昇や密を避けたい高齢者の行動変容など、大きな変化を迎えていますが、高齢者の「健康になりたい」という思いは変わっていません。
今後は、さらに高齢者が増えるため、政府の高齢者に対する優遇措置は増加するものと思われます。それは「高齢者雇用安定法」の改正などでも明らかです。
コロナで少しずつ変化していく高齢者の細かいニーズを見つけることで、さらなる事業展開をご検討してみてはいかがでしょうか。
(荒川 あい子)