高齢者は薬を飲みすぎている? | シニアド

高齢者は薬を飲みすぎている?

高齢者のお薬事情をご存知ですか?高齢になると様々な病気や体の不調が現れ、薬を服用する機会が多くなってきます。持病がある場合には、常に薬を服用しているという高齢者も少なくありません。

しかし、高齢者はしっかりと自分に合った薬を適切な形で服用することはできているのでしょうか?本記事では高齢者のお薬事情に注目し、多剤服用やお薬手帳についても解説します。

目次

  1. 高齢者のお薬事情とは?
  2. 多剤服用の危険性とは?
  3. 高齢者の薬問題を解決する可能性のあるお薬手帳の現状は?
  4. 高齢者の多剤服用を防止するのは難しい
  5. 高齢者が必要な薬を正しく服用できるように

1.高齢者のお薬事情とは?

数十種類の薬

複数の薬を服用している場合が多い高齢者ですが、実際のお薬事情はどのような感じなのでしょうか?まずは、高齢者のお薬事情を深掘っていきます。

参照:処方される薬の3分1は無意味!? 「薬漬け」の原因は日本独特の診療報酬システム、病院と製薬会社の癒着(健活手帖 zakzak by 夕刊フジ)

薬が大好きな傾向にある

日本人は一般的に薬が大好きです。病院へ行ったら薬をもらってくるのが当たり前であり、薬をもらえないと診てもらった気がしないという高齢者が多いのです。そのため、自宅には飲みきれなかった薬が眠っている場合があります。

このように服用されずに廃棄されてしまう薬(残薬)は、年間1,000億円を超えるという説もあるほどです。かなりの量の薬が処方されたにも関わらず、ただ無駄になって捨てられてしまっているのです。

薬をもらわないと診てもらった気がしないという高齢者の意見も理解できますが、必要のない薬をもらうほど無駄なものはないように思えます。

20種類以上の薬を飲んでいる場合もある

高血圧や糖尿病などの基礎疾患がある場合、複数種類の薬を飲んでいることは当たり前です。しかし、薬は多く飲めば良いというものでもありません。薬には必ず副作用があり、飲み過ぎてしまうと、思わぬ弊害を引き起こしてしまうこともあります。

ある患者さんは20種類以上もの薬を服用し、どのように減らしたら良いのかわからないという声がありました。また自分が服用している薬それぞれに、どのような効果があるのか理解していない場合もあります。

2.多剤服用の危険性とは?

体調の悪い高齢女性

多剤服用とは、たくさんの薬を飲むことです。高齢になると薬が手放せなくなる人も多くいるため、多剤服用は当たり前になってしまっている場合もあります。多剤服用にはどのような危険性があるのでしょうか?

参照:くすりの話 「隠れ多剤服用」の危険性(上)(全日本民医連)

多剤服用による副作用がある

多剤服用は、高齢者が6種類以上の薬を服用すると副作用が増えることもわかってきています。そのため、多剤服用を改善するような動きがあり、多剤服用の危険性については、医療従事者をはじめ、多くの人に認知され始めています。

ある高齢者は12種類の薬を服用し、倒れて寝たきりになってしまったり、副作用で認知症と誤診されてしまったりするケースがありました。処方された薬をなんの疑いもなく、服用していることが多いのですが、あまりにも多くの薬を服用していると副作用が増える場合があるのです。

サプリメントとの飲み合わせにも注意が必要

薬以外にも、体にいいからという理由でサプリメントを服用している高齢者も多くいます。しかし、薬との飲み合わせによっては、大変な目に遭うかもしれません。全てのサプリメントがダメというわけではありませんが、薬を服用している場合はかかりつけ医に相談するなどしてから服用すると安心です。

なんとなく調子が悪いからとサプリメントに手を出すのではなく、まずは専門家に相談し、正しい知識を得ることが大切でしょう。

3.高齢者の薬問題を解決する可能性のあるお薬手帳の現状は?

お薬手帳

お薬手帳は、服用している薬や服用方法などの情報や過去のアレルギーや副作用について記録したものです。最近では、スマホで管理できる電子型のお薬手帳も登場しています。

お薬手帳を活用することで、自分が服用している薬について把握できることはもちろん、医師や薬剤師が薬の飲み合わせや、アレルギー、副作用について確認できるようになっています。

お薬手帳は、患者さんが安心して薬を服用するための大事な手帳なのです。しかし、それくらいお薬手帳は普及・浸透しているのでしょうか?

参照:6割超えお薬手帳の所有率でも、活用層は全体の約3割に留まる(マイナビニュース)

お薬手帳の所持率は6割超えだが、活用率は3割程度にとどまる

お薬手帳の所持率は6割を超えているが、実際に活用されているのは3割程度となっています。お薬手帳の認知度は高く、また所持率も高いものの、実際に活用されていることは少ないようです。

特に20代を中心とする若年層は、病院へ行く頻度が低いことから、世代別で見た時のお薬手帳の活用率は19.0%(20代)と低くなっています。

お薬手帳は忘れらてしまう傾向にある

実際にお薬手帳の存在や所持率は比較的高いようですが、なぜ活用率は上がらないのでしょうか?お薬手帳を「お薬手帳を持っているが、あまり使っていない」「お薬手帳を持っていない」と回答した人の理由は以下のようになっています。

  • 持っていくのを忘れることが多いため、自然と活用することがなくなった(22歳/女性/学生)
  • 体調が悪いときにそんなことまで気が回らないので(47歳/女性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
  • あまり薬を飲まない(30歳/男性/フリーター)
  • 面倒だから(43歳/女性/建築・土木/事務・企画・経営関連)
  • そこまで頻繁に病院へ行かないし、常用している薬がないのであまり必要性を感じない(25歳/女性/食品/専門職関連)

引用:6割超えお薬手帳の所有率でも、活用層は全体の約3割に留まる(マイナビニュース)

どうしてもお薬手帳は面倒な存在になっていたり、必要性を感じていなかったりするようです。確かにお薬手帳がないと診察してもらえないわけではないため、保険証や診察券に比べて重要性を感じにくいのかもしれません。

4.高齢者の多剤服用を防止するのは難しい

持病がある高齢者の多剤服用を防止することは、かなり難しいことであるとわかります。しかし、薬の飲み合わせに問題がないようにすることはできます。現在は活用率が低いお薬手帳ですが、これを活用することによって、正しい薬を処方したり、必要最低限の薬を明確にしたりすることはできるでしょう。

高齢になると自然と通院する病院の数が多くなったり、きちんと処方箋通りに薬が服用できなくなったりすることはよくあります。そのため、高齢者が正しい薬をきちんと服用できるようなシステムづくりや周りの助けが必要であると考えます。

5.高齢者が必要な薬を正しく服用できるように

高齢者が必要な薬を正しく服用することは、意外と難易度の高いことです。認知症ではない場合でも、勝手に病院を変えたり、自己判断で薬の服用を突然やめてしまったりすることもあります。また、必要以上に薬をもらってきて、残薬となってしまっているケースもよくあります。

まずは、お薬手帳が診察券や保険証と同じように病院へ行く時に、必ず持参するのもの1つになると良いでしょう。これによって、薬の飲み合わせによる副作用や残薬が減少するきっかけになることが期待できます。

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