「物が捨てられない……」ー高齢者が物を整理するコツ
突然ですが、私の祖母は物を片付けることがとても苦手な人でした。
時々祖母の家に遊びに行くと、掃除こそしているものの、2部屋を物が占めている状態。家中に物があふれかえっていました。使わない物をたまにくれることもあったのですが、実際もらってみると壊れていたり、かなり汚れていたり。
当時はそれが普通だと思っていて、気にもとめていなかったのですが……。
大人になってから振り返ると、物が捨てられなくて、整頓が苦手だったのだろうな、と思います。
高齢者が物を捨てられないというのはよくあることなのでしょうか?
今回は「片付け」についてのお話です。
年を取ると片付けができなくなるって本当?
物が捨てられない事例は珍しいことではないようです。
参照:部屋が散乱 物が捨てられない老親、子はどう対処(NIKKEI STYLE)
なぜ捨てられなくなってしまうのでしょう?
まず、加齢や病気に伴う変化が理由の1つ。
- 気力の低下
- 体力の低下
- 記憶力の低下
- 判断力の低下
こういったことが引き金となり、物を捨てることへのハードルが上がってしまうとのことです。
それだけでなく、心理的な理由もあります。
- 物を大切にする文化
- 物が与える充足感
- 思い入れが強い(思い出の品など)
- 処分方法がわからない
今の高齢者世代が物を捨てられないのは、加齢だけでなく心理的な理由が大きいと思われます。
また、70代〜80代の世代は戦争体験のある方で、高度経済成長の前に生まれています。物に困った経験がある方がほとんど。若者世代に比べると「もったいない」という意識が強いと感じます。
そういった背景もあり、物を捨てることに抵抗がある方も多いようです。
物を片付けることへの抵抗を減らしていこう
高齢者本人が物を捨てることに抵抗感を感じている場合、片付けを勧めたくてもそう簡単にはいきません。
若い世代がやみくもに説得しても、物を捨てることを嫌がって片付けにさらに消極的になってしまうことも。
まずは、物を整理することのメリットをきちんと伝えることが大事です。
物を整理するメリットは主に下記のようなことではないでしょうか。
亡くなったときの対応がしやすくなる
亡くなったとき、誰に連絡してほしいか、どんな手続きをしてほしいか、そういった情報の整理は重要です。誰かに見られて嫌なプライベートな物(日記や手紙など)はある程度整理しておくと安心です。
物がどこにあるか見つけやすくなる
物がどこにあるかわからなくなってしまうと、探すのが面倒くさくなって結局同じ物を複数買うことになりかねません。物の置き場所をきちんと決めて、そこに戻す習慣をつけることで、物の管理が楽になります。忘れっぽい方や物を戻すのが苦手な方は、引き出しにラベリングするとよりわかりやすくなるはず。
人を家に招きやすくなる
家に物が散乱していると人を招くのもだんだん億劫になってくるものです。
外で友人と会うのも良いですが、ゆっくりしたいときは家に来てもらうこともありますよね。家がスッキリ整頓されていれば友人を呼びやすくなります。
逆に、定期的に人を家に招くことで片付けのモチベーションを維持するのも1つの手かもしれません。
災害のとき安全を確保できる
火事や地震のとき、物の下敷きになる、火が物に燃え移って火が大きくなる、といった被害が予想されます。安全の確保という面でも片付けることは大切です。
同時に、家具の固定、災害バッグの用意もすることで身の安全を守ることにつながります。
物を片付けるメリットをわかりやすく伝えてみることで、片付けへの抵抗感は減るのではないでしょうか。
物を片付ける方法は様々
近年、断捨離という言葉があるように、「片付け=捨てる」が一般的ではあります。ただ、「捨てる」という言葉が逆効果になってしまうこともあります。
そんな時は、「それ懐かしいね。ちょうだい」というふうに、「捨てる」という言葉を使わずに片付けを促すとスムーズです。
参照:「それちょうだい!」 愛あるウソで捨てさせる(朝日新聞Reライフnet)
物を手放す際、物を捨てるだけでなく様々な方法があります。方法を知っているとその分選択肢が広がり、それぞれにあったやり方が見つかるはず。
例えば、
- 友人にあげる
- フリマアプリで売る
- リサイクルショップで買い取ってもらう
- 衣料品メーカーに引き取ってもらう(ユニクロや無印良品など一部の企業では、不要になった服の回収もしています)
といった手立てがあります。
こういった方法だと、使ってくれる人に譲れるので、ただ捨てるよりも抵抗が少ないですよね。
リサイクルショップやフリマアプリの利用は少し手間がかかるのがデメリットではありますが、買い取ってもらえるのがポイント。
衣料品メーカーにひきとってもらう場合は、社会貢献に繋がることが多いです。発展途上国に服を送ったり、リサイクルをしたりしている企業も。
参照:RE.UNIQLO:あなたのユニクロ、次に生かそう(UNIQLO)
また、物を処分するだけではなく、物を整理することも大事です。
- 使いやすい導線を考えて物を配置・収納する
- 床に直置きを避ける
- 日用品のストックを必要最小限にする
- 写真をデジタル化する
物を使いやすいように工夫することで、物を捨てることなく、家をスッキリさせられます。
日用品のストックは意外にスペースをとります。買いだめしすぎず適度な量を保つ方がスッキリする上に在庫の量がわかりやすいはず。
写真のアルバムもかさばりやすい物の1つ。たまにしか見ないのならデータ化するのも良いと思います。
カメラ屋さんに写真を持ち込むとCDにデータを入れてくれます。
参照:【カメラのキタムラ】紙・写真をCDにデータ保存|写真プリント・ネットプリントサービス
本も電子書籍や図書館を利用することで省スペース化できますね。
ちなみに、物を整理するとき、1人で行うと客観的な判断ができず、結局何も片付けられなかった……ということにもなりかねないので、複数人で行うのがおすすめです。
スッキリ片付けて気持ち良い毎日を
片付けをすると何だかスッキリした前向きな気持ちになりませんか?
片付けすることは心理状態にも影響するようです。
参照:部屋の状態はあなたの心理。片づけが及ぼす効果を検証する。 | くらしにいいこと(クロワッサンONLINE)
一気に片付けるのは大変なので、「1日1カ所片付ける」と決めて、徐々に片付けると達成感も得られます。少しずつ片付けに取り組んでみるのはいかがでしょうか。
片付けすることを周りの人やこういったアプリで宣言するのもおすすめ。宣言することで実行に移すモチベーションを維持できます。