メールアドレスもパスワードもわからない!?それってプライバシーは大丈夫?
ここ数年でお店や公共施設で、スマートフォンでのアプリや電子システムを導入する例が増えてきましたね。電子マネーも浸透して、みなさんSuicaのようなICカードも使いこなしていると思います。最近はSNSを使いこなす高齢者も出てきています。
その一方で、なぜか「メールアドレスを登録できないから一緒にやってもらえる?」「パスワードを忘れちゃうからみんな同じものにしてるのよ」なんて高齢者もチラホラ……。マナーモードにする方法がわからず、電車で着信音が響く、なんてことも珍しくないですよね。
仕事でそういった高齢者に対応する私たちも、「プライバシーの観点ではどうなんだろう」と思いつつ、わからないなら対応するしかないので、見て見ぬふりをしてやり過ごしていますがモヤモヤしてしまうところです。
今回は、デジタル化についていけない原因をふまえつつ、プライバシーを守るためにできることも考えてみたいと思います。
高齢者がデジタル化についていけない理由
デジタル・ディバイド(デジタル格差)を埋めようとする動きもあり、デジタル庁がインスタグラムを始めたり、企業も積極的に情報発信したりするなど、各所で取り組みが見られるようになりました。
参考:内閣官房デジタル改革担当 (@digital_jpn) (デジタル庁インスタグラム)
高齢者のデジタルデバイド “取り残さない”デジタル社会の実現に向けて(HUAWEI HP)
けれど、デジタル化の波にすでに乗れていない人に対してのアプローチが案外少ないのでは?と思う今日この頃です。なぜこんなことになってしまったのでしょう?
もちろん、高齢者が情報のスピードに追いつけていないということもあります。ですが、テレビやラジオ、新聞などの違うメディアに対しては敏感で、若者が知らない情報を把握している高齢者がいるのも事実。なので、情報スピードの速さだけが問題というわけではないと思われます。
まずは、デジタル化についていけない理由を考えてみましょう。
わからないことだらけで他の方にお任せしている
ほとんどの家電量販店や携帯ショップでは、パソコンや携帯電話を購入するとセットアップまで全部やってくれるはずです。店員さんの話を聞いていると「アカウントってなに?」「グーグル?」「アップデート?」「クラウド?」と専門用語がたくさん並んで理解できないことだらけになるはず。すると、「とりあえず従ってれば使えるようになる」とだんだん思考停止してしまうのではないか、と思うのです。説明書も電子化していたり、見てもちんぷんかんぷんだったりで、気づいたら棚の奥底にしまわれてしまいます。
同様に、自宅で子どもに使い方を教えてもらいますが、それも操作方法を覚えるので精一杯。使い方はわかっても、その操作がどんな意味を持つのかわかってない方も多そうです。「わかんないことは任せちゃおう」となりがちですよね。
結果、「メールアドレスはなんだっけ?」「パスワード、わからなくなっちゃうからみんな同じにしてるわよ」なんて、ちょっと危ない状況が生まれてしまうのではないでしょうか。
情報漏洩への危機感が薄い
振り込め詐欺のような犯罪はさすがに心配で、電話の音声を録音している方もいるようですが、情報漏洩についての対策はどうでしょう?
パスワードは、本来自分の個人情報を守るために使用するもの。パスワードを全て同じものにしている時点で、その意識が薄いのではないかと思います。公共の場でのWi-Fiの使用も、個人情報をやり取りする場合はリスクが伴います。ですが、お店ではパスワードやWi-Fiに関してのリスクを説明してくれることはほぼないので、情報漏洩については理解を深める必要があるのではないでしょうか。「パスワードの必要性」や「情報の取り扱い方」についての知識を教えてもらえる場所があるといいですよね……。
アプリの登場でメールを使うことが少ない
これはメールアドレスに限った話ですが、LINEのようなアプリを使うことで、メールアドレスを知ることなく連絡が取れるようになりましたよね。
その結果、メールアドレスはおろか、メールアプリを知らない方がいるんです。
一度、職場で出会った方で、「メールアドレスは持っているけどメールが届かない、でも迷惑メールの登録はしていない」という方がいました。なんでだろう?と思ったら、なんとスマートフォンにメールのアプリが入っていなかったのです。
インターネット上でメールを見ることは確かに可能ですが、スマートフォンではメールを見るためのアプリを使うことがほとんど。そして、アプリにメールのアカウント登録をあらかじめしておくことが必要です。
例えば、Gmailのアカウントを持っているなら、スマートフォンの既存のアプリにアカウントを登録してもいいですし、それとは別にGmailのアプリを入れる方法もあります。でもその手順は、使い慣れている若者でも検索して調べるぐらい面倒なもの。初歩から理解できていない高齢者がメールのアプリを入れて、登録してという作業をするのは至難の技でしょう。
デジタル化を進めるという流れがありながら、わからないことだらけの高齢者に対して寄り添ったシステムと対応が少ないですよね。高齢者が直感的に使えるようにするのも大事ですが、もっと基本的なことを1つ1つ知る機会が必要なのではないでしょうか?
プライバシーを守るために、今できること
とはいっても、今挙げたことはすぐに改善できるものでもありません。特にシステム的な部分は長い時間がかかります。今回は、まず今の段階でできることを考えてみました。
パスワードの重要性を教えてもらう
操作方法を聞くとき「パスワードの利用の仕方」についても一緒に知ることができるといいですよね。操作の1つ1つの意味を理解して使うようにしていきたいものです。パスワードは個人情報と結びつかないわかりにくいものにする、できる限り同じものを使わない、など、基本的なことですが理解する必要性があります。
逆に、若い方々で知識のある方は、ぜひ積極的に伝えてほしいです。
わからない用語や理解できないことは聞く
最初はネット用語に戸惑うでしょうし、わからないことがわからない方もいると思います。1つ1つ質問することに引け目を感じてしまうかもしれませんが、わからないまま話が進むと、さらに自分が混乱するばかりです。遠慮せずにどんどん聞いてみてください。
基礎的な知識を身につける場を作る
書店に行ってみるとわかると思うのですが、最近は、携帯電話やパソコン、SNSなどの高齢者向けの入門書が充実しているんです。
そういった書籍から学ぶも良し、パソコン教室や携帯ショップのスクールを利用するも良し。
待つだけではなく、ぜひ学ぶ場を増やしてみてはいかがでしょうか。
情報を安心して使えるようになろう!
情報漏洩や迷惑メールなど、情報の波の中で怖い目に遭わないためにも今からでも知識をぜひ身につけてみてください。
情報は、きちんと安全に利用できれば有益なものにもなりますが、危ない使い方をすれば詐欺や事件に巻き込まれてしまうことも。ぜひ一度見直してみましょう。
正しく情報を取り扱えるようになると、世界が広がりますよ!