シニア層はどこで服を買う? いくつになってもおしゃれを楽しみたい
先日、50代後半に差しかかった母がふとぼやいていました。
「どこで服を買ったらいいかわからない……」
80代の祖母の服をどこで買うべきかが、最近の悩みだそうです。
どこで服を買うか、悩む高齢者たち
私の祖母は、要介護で施設に入っています。定期的に服を洗って届けなければならないのですが、「襟がついているものはいやだ」「この色は嫌い」「ズボンはゆるいものがいい」など、かなりこだわりが強い様子。「持っていって、気に入ってくれたらラッキー」なんだそうです。
そして、母自身もおしゃれが大好きで、シンプルな服では物足りないそう。どこで服を買うか毎回悩むそうですが、選択肢が少なく、「ユニクロ」や「しまむら」に行くとのことでした。
50代以上の世代は、仕事をやめるなどのライフスタイルや体型の変化で、今まで着ていた服が似合わなくなり、「そもそも何を着ていいかわからない」となる方もいるようです。
また、私自身もファッションが好き。10年ほど前、アパレルショップでアルバイトしていたことがあります。本来20代向けのブランドにもかかわらず、そのショップには50代の方々がよく来店していました。
そのお客さんたちは、「どこで買っていいかわからないけど、ここのはシンプルだからなんとか着られるのよ」「でも体型目立たないかしら、大丈夫?」とおっしゃっていました。
だいぶ前の話なので今はまた少し変わっているかもしれませんが、ファッションについてひっそりと悩んでいる方はもっといるのではないでしょうか?
高齢者向けのファッション雑誌が増えている
近年、50代〜60代向けのファッション雑誌の創刊が増えています。
メンズでもその動きはあるようです。全体的にダンディーな印象です。
昔と比べて、高齢者のファッションは自由になり、選択肢が増えていることは確かです。
実際に雑誌を見てみたところ、髪の毛が綺麗に真っ白になった女性がさらっとワンピースを着こなしています。かと思えば、デニムとシャツでカジュアルに装う女性も。素敵だなー!と思って、よく見てみると
「ワンピース 49,000円」「デニム 29,000円」の文字が……!!
値段の高さに思わず驚きました。質が良さそうだったのでしょうがないのかもしれませんが、これを真似するにはハードルが高すぎる。けれど、似たようなものを探すのは至難の技でしょう。
また、年を取ると肌が敏感になり化学繊維を避ける人もいます。服選びに「快適」さという要素が重視されます。その中で、固い素材であるデニムを敬遠する方もいそうだなぁ、という感想を持ちました。
理想と現実がズレすぎていないか……?
調べてみると、「しまむら」「ユニクロ」「GU」「ZARA」「無印良品」「ショッピングモール」といった量販店、百貨店、通販といった選択肢が出てきました。
百貨店は、高級品を手に入れるために向かう方が多い様子。
地方の方はよく通販も使っているみたいです。ただ、年齢的に体型が変わってくる時期でもあり、人によっては、試着なしで購入することへの不安は拭えなさそうです。
こうやって調べてみると、シニア向けの手頃なブランドの少なさに驚きます。若者向けの手頃なブランドはたくさんあるのに……
これは確かに母のように悩む人がいるのも納得です。
そして、祖母向けの70代以上の方の服になると、介護用の少しばかりお値段の張る服ばかりが検索にヒット。高齢者が着やすい服の少なさに愕然としました。祖母が納得しないのも無理ないなぁ、と思ってしまいました。
ファッションをずっと楽しめるように
衣食住は生活の基本であり、ライフスタイルが変化する高齢者にとっては数少ない楽しみになり得るものではないでしょうか。
老後もファッションを楽しむために、できることを考えてみました。
高齢者向けの手頃なファッションブランドの普及
「ユニクロ」などの量販店も、工夫次第では装いを楽しめそうですが、満足できない層も一定数いそうだと考えています。今後、高齢者は増えていく見込みですし、高齢者向けの手頃なファッションブランドは需要があるのではないでしょうか。
また、年齢問わず楽しめるようなデザインのものも良いのではないかと思います。
すでに大手のアパレルブランドではそういった動きが出てきているようです。
参考:アダストリアが初の60代向けブランド「ウタオ」を始動、新規顧客開拓へ |FASHIONSNAP.COM
アクセサリーで楽しむ
地方に住んでいてなかなか好みの服が手に入らない、という方におすすめなのは「アクセサリー」を取り入れること!
シンプルなお洋服でも、アクセサリーを加えるだけでガラッとイメージが変わります。老眼鏡用のメガネストラップや杖もおしゃれなものが増えてきているので、高齢者ならではのアイテムで楽しむのも新たな楽しみになりそうですね。
通販でも試着できるシステムを作る
ショップを持たない通販サイトは比較的安くお洋服を手に入れられます。
ただ、通販して一度着てみたら合わなかった、でも返品するのにお金もかかるし面倒……
世代問わず、そういった経験があるのでは?
試着として、一度は返品無料、返品するときは自宅まで荷物を取りに来てもらう手続きなど、試着ができるシステムがあったら、なかなか外出できない高齢者でもおしゃれを楽しめるのではないでしょうか。
おしゃれなユニバーサルデザインの衣服の開発
最近、少しずつ出てきているのが「ユニバーサルデザイン」のお洋服。
「ユニバーサルデザイン」とはより多くの人が使いやすいようにデザインされたもののこと。
「バリアフリー」と混同されがちですが「バリアフリー」は高齢者や障害者がより使いやすいようにしたもので、「ユニバーサルデザイン」は年齢や障害の有無は関係なく、より多くの人に優しい、という違いがあります。
まだまだ手軽なものではないですが、下の記事のように開発に取り組んでいる企業も増えているようです。
参考:誰もがおしゃれを楽しめる!素敵なユニバーサルデザインのファッションを5つご紹介します|soar
介護用の服、となると、機能性が重視されがちです。けれど、デザインと機能性が両立したものなら、気になる着心地もクリアできるので高齢者の方々にも取り入れやすいものになりそうです。
組み合わせを工夫して楽しむ
とはいえ、ユニクロや通販でも組み合わせ次第で、大人のおしゃれは楽しめそうです。
価格帯を抑えたおしゃれをおすすめしている記事や書籍も出ています。
参考:「えっ! それユニクロなの?」と言わせる大人の着こなしのコツ教えます!|枻出版社
参考:プチプラを上手に取り入れて ふだんの服で大人のおしゃれ|朝日新聞出版
こういったものを参考にして、工夫して楽しむのも大人の醍醐味かもしれませんね!
高齢者の服についての記事はこちらも見てみてください。
老若日記-その23-いも色のお婆さんたち|おしるこ の お漬物|note
年齢を重ねても、おしゃれを諦めないで楽しもう
なかなか着目されてこなかった「高齢者のファッション」ですが、近年は年齢にかかわらず、おしゃれを楽しむ動きが増えてきているように思います。
また、組み合わせや高齢者ならではのアイテムで楽しむこともできそうですね。
新しい季節に変わりゆく今の時期、ファッションにも目を向けてみませんか?