ペルソナ設定のユニークなアドバイス。「6次の隔たり」理論
当メディア「シニアド 」でも紹介しているペルソナ設定の立て方で、ペルソナがどんなものか、設定の仕方はご理解いただいている方も多いと思います。
しかし、「方法は分かったけど、なかな具体的な人物像がイメージできないな」「統計で数字を見ても、ステレオタイプのペルソナしか立てられないぞ」といったお悩みを抱えているかもしれません。ステレオタイプのペルソナばかりですと、いまいち人間味が湧かない印象もあります。
そんな疑問や不安に向けて、少々ユニークなペルソナ設定のアドバイスをご提案したいと思います。
「6人の繋がりを辿ると、誰でも世界中の誰かと繋がることができる」というお話をご存知でしょうか。
その理論から、身近な友人や知人を使って、具体的なペルソナ設定をしてみてはいかがでしょうか。
目次
1.「6次の隔たり」理論とは
「6次の隔たり」とは、約6人の隔たりを介すると、世界中の誰とでも繋がることができるという社会的ネットワーク理論(分析)のひとつです。
この法則は、イェール大学の社会心理学者であったスタンレー・ミルグラムが1967年に実験によって実証しております。
「どこで誰(知り合い)が見ているか分からないよね」「世間って狭いよね」と、よくいわれるような感覚が、実験によって証明されているのです。
さらに、Facebookでは、6人どころか4人のユーザーを辿れば、全てのユーザーと繋がることができると仮説を立てています。
参考:「自分の友達を6人たどっていくと、全世界の人と知り合いになれるかも!?」(進路のミカタ)
しかしここでは、学者によって証明されている「6人の隔たり」理論でまずは考えていきましょう。
この理論から、「友人や知人、友人の知人なども含め6人の人物を例にあげれば、世間の大体の構図が見えてくるのではないか」と仮説を立て、本記事ではペルソナ設定にも役立てたいと考えております。
2.6次の隔たり理論から、ペルソナ設定をしてみる
では、具体的にペルソナ設定をしてみましょう。
ペルソナの立て方は、こちらの記事をご参考ください。
上記の記事でも示しているとおり、ペルソナ設定には詳細さが必要です。
ここで、「6次の隔たり理論」を応用して活用していきます。具体的な手順は、以下のとおりです。
(1)ターゲット層が絞られたら、ターゲット層である友人、知人を思い浮かべる
例えば、「65歳のアクティブシニアで、かつ〇〇に関心がある」というターゲット層であれば、それに該当する友人を思い浮かべてみましょう。
ここで、ピンときた人物がいたら、その人をペルソナ設定のヒントにすれば、楽に、そして具体的なペルソナ設定ができます。
さらに、該当する人物が普段どんな生活をしているか、思い出しペルソナの詳細、要素を編み出しましょう。
詳細は、その人の経済状況、普段どんな媒体を見ているかなど、その人との交流から大体ご存知かと思います。もし分からない箇所があるなら、友人・知人なら直接聞くことができるでしょう。
どんな詳細が必要か、例を以下にまとめております。
- 基本情報(年齢、性別、居住地など)
- 職歴
- 生活サイクル(平日、休日の過ごしかた。食事方法)
- 性格(価値観、興味関心ごと)
- 人間関係(家族関係、友人の数やタイプ)
- 収入、貯蓄額
- 趣味関心(習い事やボランティアなども)
- インターネット利用状況、利用時間
- どんなデバイスを持っているか
友人、知人からヒントを得たペルソナであれば、人物像に人間味を感じ、ペルソナから集客設定までのイメージも具体的に湧くのではでないでしょうか。
これで、一つのペルソナが出来上がります。これでペルソナ設定を完了してもよいのですが、できればペルソナを一つの案で最初から絞ってしまうより、複数設定した方がよいでしょう。
それは、(3)で後述していきます。
(2)友人・知人に該当する人がいない場合、該当する人を知っている人を探す
もし、ターゲット層に該当するような友人・知人がいなければ、友人、知人、家族に、ターゲット層に該当する人を探してもらうのです。
例えば、友人→友人の知人→友人の知人の家族…といったフローを6回繰り返すと、「6次の隔たり理論」どおり、必ずターゲット層に繋がるはずです。
ターゲット層を見つけたら、その人の情報を集めます。該当する人物がどんな人か、知っている人に聞いたり、ご本人のSNSをチェックするのもよいでしょう。
もし可能であれば、ご本人に会って話を聞いてみると、より具体的なペルソナ設定ができるのではないでしょうか。ご本人に会うことが可能であれば、より詳細で人間味を感じるペルソナ設定が可能となります。
(3)ペルソナを6つ作れば、本格的なペルソナ設定に大いに役立つはず
(1)(2)の方法で、ペルソナ設定が確実にできるはずです。
しかし、「これで大丈夫なのかな。知人が具体例だと、ペルソナが偏りすぎてないだろうか」と不安になるかもしれません。
統計や分析は高度な技術のイメージがあるので、知人からペルソナを作るという方法では「安易なのでは?」という疑問を抱くかもしれません。
そこで、この疑念においても「6次の隔たり理論」を活用していきます。
(1)(2)の方法で作成するペルソナを、6つ作るのです。
チームで作れば、6つのペルソナ案を作成するのは、それほど難しくないでしょう。
6つのペルソナ案が出たら、その中からペルソナを一つ選択して決めるのもよいでしょう。また、それぞれのペルソナ設定の詳細を洗い出し、統合したペルソナを新たに作り出してもみるのもよいかと思います。
「6人の隔たり理論」を応用して、「6人は世界(世間)の縮図」と仮定すれば、ターゲット層の縮図も見えてくるでしょう。
「どうしても6つは無理!」というのであれば、Facebookの「4人のユーザーと繋がれば世界のユーザーと繋がる」理論を使い、4つのペルソナを作ってみましょう。
4つであっても、ペルソナが1つしかないより、十分なペルソナ設定ができるのではないでしょうか。複数のペルソナから選択、もしくはミックスさせることで、より集客に特化したペルソナ設定ができるでしょう。
3.ペルソナ設定で、集客力をあげるためには
上述したとおり、ペルソナ設定が具体的にする必要がある理由は、その人物に人間味を感じるからです。
ペルソナである架空の人物が、何によって心を動かされ商品やサービスに興味関心を持ち購入するのか、その具体的なイメージは、ペルソナを一人の人間として企業が捉えられるかどうかでしょう。
また、ペルソナ設定が具体的なことで、企業間でのペルソナに対する認識にもズレが生じにくくなります。ましてや、自分の知人がペルソナ設定に関わっていると思えば、なおさらではないでしょうか。
ぜひ、ペルソナ設定で集客力の向上をお考えであれば、このユニークな提案をご検討ください。
(荒川 あい子)