高年齢者雇用安定法は意味がない?政府の政策と会社の実態 | シニアド

高年齢者雇用安定法は意味がない?政府の政策と会社の実態
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高年齢者雇用安定法は意味がない?政府の政策と会社の実態

こんにちは!ライターの葵です。

今回は、シニア層と若手層が、同じ職場で働く難しさについて話していきます。

政府の高齢化社会への対策の話から、実際にシニアと一緒に働いている30代知人の話を参考に、会社での実態見ていきましょう。

目次

 

高齢化社会の政府の対策

今の日本は、高齢化社会といわれています。

総務省統計局のデータによると2018年、65歳以上(いわゆる高齢者)の総人口における割合が、28.1%となっています。全人口の4人に1人が65歳以上の高齢者、という状況です。

(参考:総務省統計局のデータ

さらに2020年3月、「高年齢者雇用安定法」の改正が可決・成立しました。
これは、「70歳までの就労機会確保を企業の努力義務とする」ということが中心となっています。要するに、「定年は70歳。それまでしっかり働けるようにしよう」という政策です。

65歳を超えても働くことが当たり前、という社会になってきましたね。

そしてここが一番肝心な部分ですが、「実際の会社で、シニアと若手が全く同じ仕事をすることは可能なのか」という問題です。

いくら政府が対策を推進しても、人を雇用するのは会社ですからね。

そのことについて、僕の知人はシニア層と働いていたので話を聞きました。

結論から言えば、シニア層と若手層が一緒に仕事をするのは難しいようです。

実際の会社では、若手とシニアが分けられている

知人が勤める職場は、通信事業のコールセンター。部署は大きく、100名前後がいくつかのチームに分かれて仕事をしています。

職場全体として見た場合、65歳を超える人は多くはなく、100名中の10名程度と言ったところ。全体の10%ほどです。そしてその10名は、一つのチームに固められています。

つまり、シニア層と若手層、ハッキリと分けられていると言うのです。

なぜこのよう分かれてしまうのでしょうか。

仕事がラクだから

知人の会社で、シニアが配属されているコールセンターのチームは、決まった手順のみで完結する仕事、いわゆる定型業務です。

業務としては、お客様から電話がかかってきたら、手順に沿って話をします。それでOKな場合がほとんどで、非常に例外が起きにくい仕事だそうです。

それだけに変化が少ないので、仕事の内容は退屈に感じるでしょう。

しかし逆に、覚えることが少ないからラクとも言えます。

そして、「ラクだからいいや」と考えるシニアが知人の会社には多いため、結果的に一か所に集中することになっているそうです。

新しい仕事を覚えるのに時間がかかる

上記では、ラクしたいシニア層の話でした。でもそうじゃない人も、もちろんいるそうで。

知人の職場には、研修をしっかり行う難しい業務の部署もあります。その分、時給が良く、それもあってそこでの仕事を希望するシニア層がいるようなのです。

でも知人は、「シニアは難しい」と言います。

「実際さぁ、実務の現場って、研修ばっかやらないじゃん。研修ってお金を生まないから、研修の時間そのものを短くして、会社としては早く現場に入れたいわけ。ある程度やったら、あとは現場で覚えてって感じになるのよ」

「その辺は会社の問題もあると思うけど、仕方ない部分もあるじゃない。そりゃ完璧になってから現場に入る方が、私たち働いている人はいいわよ。でも研修で完璧になるまで待ってたら、特にシニア層は本当に何か月もかかるわけ

「それにそもそも、個人差があるじゃない?覚えるのが早い遅いってさ。研修で完璧になれる人も一定数いるわけ。で、そういう人たちは、みんな若手なのよ」

なるほど、研修はもちろん会社として行う。でも完璧になるには個人差があり、遅い人には合わせられない。結局「あとは現場で」となる。

そして研修で覚えられる層が若手で、時間がかかるのがシニア。こういった図式になっているそうです。

そしてこの状況になると、時間をかけずに覚えられる定型業務を設けることで、会社側と働くシニア側の利害が一致。

結果シニア層には、定型業務をお任せするだけになってしまっているというのです。

過去の自分のスタイルを変えない

「シニアの人たちって、新しい仕事を覚えられないのよ。というか、覚える気がないっていうか……」

こんな話も聞きました。

知人が働いている会社のシニアの中には、仕事の変化を受け入れない人がいるそうです。

事務作業の工程の一つが、今までの手順と変更されることになりました。
さほど複雑ではないのですが、少なくともこれまでとはやり方が変わったということになります。
そのため、若い上司が1人ずつ研修を行いました。

その時に職場にいる60代前半の男性が、このように言ったそうです。

「えー、大して変わらないのに、何でやり方変えちゃうの?また覚えなきゃいけないじゃない。俺、また新しいこと覚えるの嫌だからさぁ、今までのやり方でいい?」

もちろんそれでは困るわけで、上司は今回変更になった理由を懸命に説明。男性もしぶしぶ了承したそうで、一件落着に思えました。

でも、そこからしばらくが大変だったようで。

知人が先ほど指摘していた「そもそも新しい仕事を覚えようとしない」という状態で、簡単なミスが多いとのこと。周りの人たちも、60代男性の気質は知っているので、間違いに気が付けばその都度「そこは違うよ」「やり方が変わったでしょ」、こういう声がけをしていました。

知人は、この出来事をこう話していました。

「上司もどうにか覚えてもらえないと困るでしょ。もう本当に根気よく教えて……っていうか、むしろお願いよ。もう頼むから過去のやり方は忘れて』っていう感じでさぁ。何か月か経って、どうにか全員同じ処理ができるようになったのよ」

世代間のコミュニケーションが難しい

年齢が離れていると、共通の話題が少なくなるのはやむを得ないことですよね。

僕は今まで同僚などから、「あの人年取ってるから話が長いよ」ということも聞きました。

ですが、これはシニアだけの問題ではなく、お互いのこととして考えるのが良いと感じていました。年齢差によるコミュニケーションの問題は、シニアだけでなく若手にも問題があるとも言えますからね。

このようなことを知人に話すと、こう返されました。

「シニアの人が、若手と話が合わないのを気が付いているのかどうかは、ね……。私が見てる限りでは、若い人が気を遣って、ある程度話を合わせるんだけど、しまいにはうんざりしてるのよ。それなのに、シニア層が自分の話をし続けてね。あとで若手が『ああいうときって、私はどうすればいいんでしょうか』と訴えてくることはあるよ」

確かに、どちらかが気を遣わないと成立しないのは、コミュニケーションとして大変です。

ムリは長続きしませんから、若手が「もうあのシニアの人と話したくない」と、近いうちになってしまいます。

「なんかジェネレーションギャップがあるのかな。自然と同年代で固まるようになった気がするかな。私もだけど」

「私のいるコールセンターは100人くらいで大きいけど、チーム分けがあるじゃない。別のチームとは、まず関わらないから、それで余計に話す機会が限られるわ」

シニアと若手が話す機会そのものはあるそうですが、行う業務は別。接点と言えば、「ちょっとした雑談や、休み時間のおしゃべりくらい」と知人は言っています。

実際に知人の職場は、若手チームとシニアチームに分かれています。

業務能力だけではなく、コミュニケーション問題も多分にあるんでしょう。

若手とシニア、お互い避け続けることは困難

冒頭で話した通り、これからの日本は高齢化社会です。若手は、「シニアと関わりたくない」といっても通らない状況になってきています。

もちろんこれは、シニアの人たちにも言えること。

「そうは言ってもさ、若い人と何を話せばいいのかわからないよ」という状態の人も多いはずです。

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