60代シニアのライフスタイルを徹底解説!マーケティング成功の鍵とは
60代シニアのライフスタイルは、日本の少子高齢化や価値観の多様化により、大きく変化しています。
そのため、シニアをターゲットとしたマーケティングを行う場合、従来のシニア像をアップデートする必要があるでしょう。
本記事では、統計データやアンケート調査データにもとづき、現代の60代シニアのライフスタイルを徹底解説します。
60代シニアの実態を把握し、ビジネスチャンスを掴みたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.データで見る現代の60代のライフスタイル
60代シニアのライフスタイルを、統計データやアンケート調査データをもとに解説します。
人口と世帯構成
日本の少子高齢化は着実に進行しており、65歳以上人口の割合は過去最高を更新し続けています。
総務省統計局によると、2023年10月1日時点で65歳以上人口は全人口の29.1%を占めるに至りました。

引用:人口推計(2023年(令和5年)10月1日現在)‐全国:年齢(各歳)、男女別人口 ・ 都道府県:年齢(5歳階級)、男女別人口‐|総務省統計局
また、世帯構造にも大きな変化が見られます。
昭和55年では三世代が同居する世帯の割合が一番多く、全体の半数を占めていましたが、令和4年には夫婦のみの世帯及び単独世帯が、それぞれ約3割を占めるようになりました。

引用: 令和6年版高齢社会白書|内閣府
三世代で同居する場合と夫婦二人または一人暮らしの場合とでは、生活環境に違いがあるでしょう。
シニア世代のライフスタイルは、年々変化していると考えられます。
就労状況
内閣府が公表している「令和5年版高齢社会白書」によると、60代の男女の就業率は以下のように高く、シニア世代になっても働き続ける人が多いことがわかります。
- 60~64歳男性:83.9%
- 65~69歳男性:61.0%
- 60~64歳女性:62.7%
- 65~69歳女性:41.3%
この背景には「長い老後生活に備え収入を得たい」「健康維持のために働き続けたい」「社会とのつながりを維持したい」といった意識があるようです。
シニア世代の就業に関する意識については、以下の記事でも詳しく紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
生活費の内訳
総務省の「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)」で、65歳以上の生活費の内訳を見ると、単身・夫婦のみの無職世帯は、ともに貯蓄を切り崩して生活をしている世帯が多いと考えられます。
65歳以上の単身無職世帯、夫婦のみ無職世帯の生活費の内訳は、それぞれ以下のとおりです。
項目 | 65歳以上単身無職世帯 | 65歳以上夫婦のみ無職世帯 |
食料費 | 40,103円 | 72,930円 |
教養娯楽費 | 15,277円 | 24,690円 |
交通・通信費 | 15,086円 | 30,729円 |
光熱・水道費 | 14,436円 | 22,422円 |
住居費 | 12,564円 | 16,827円 |
保健医療費 | 7,981円 | 16,879円 |
家具・家事用品 | 5,923円 | 10,477円 |
被服及び履物費 | 3,241円 | 5,159円 |
その他 | 30,821円(うち交際費15,990円) | 50,839円(うち交際費24,230円) |
非消費支出(税・社会保険料など) | 12,243円 | 31,538円 |
※家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)|総務省統計局より
65歳以上単身無職世帯の1ヶ月の平均実収入は12万6,905円、支出は15万7,673円のため月に3万768円の赤字となっています。
また、65歳以上夫婦のみ無職世帯の1ヶ月の平均実収入は24万4,580円、支出は28万2,496円のため月に3万7,916円の赤字です。
このように、無職の場合赤字になってしまうことから、前述の通り働き続けるシニア世代が多くなっていると考えられます。
しかし、収支は赤字ですが、教養娯楽費や交通・通信費、交際費の割合が多く、ゆとりのある生活とはいえないものの比較的アクティブな生活を送っている様子がうかがえます。
時間の使い方
次に、NHKの国民生活時間調査の結果から、60代男女が何にどの程度時間を使っているのかを見てみます。
項目別の1日に使っている平均時間量は、以下のとおりです。
項目 | 60代女性行為者平均時間量(時間:分) | 60代男性行為者平均時間量(時間:分) |
睡眠 | 6:53 | 7:11 |
食事 | 1:44 | 1:38 |
身のまわりの用事 | 1:22 | 1:11 |
療養・静養 | 3:14 | 2:06 |
仕事関連 | 6:08 | 7:50 |
学業 | 0:41 | 0:00 |
家事 | 5:18 | 2:21 |
炊事・掃除・洗濯 | 3:12 | 1:09 |
買い物 | 1:12 | 1:13 |
子どもの世話 | 3:38 | 3:21 |
家庭雑事 | 2:05 | 1:53 |
通勤 | 1:06 | 1:36 |
通学 | 0:38 | 0:30 |
社会参加 | 1:22 | 2:08 |
会話・交際 | 1:11 | 1:15 |
レジャー活動 | 2:18 | 3:18 |
マスメディア接触 | 5:43 | 5:02 |
休息 | 1:03 | 1:01 |
その他・不明 | 1:38 | 1:38 |
時間の使い方には男女で差が見られ、男性は仕事関連の時間が長く、女性は家事に費やす時間が長くなっています。
男女ともに、マスメディア接触の時間が長いのが特徴といえるでしょう。
また、レジャー活動や社会参加にも一定の時間を割いており、このデータからも60代のシニア世代がアクティブな生活を送っている様子がうかがえます。
利用メディア
前述の時間の使い方のデータから、60代のシニアはマスメディアの利用時間が長いことがわかりますが、インターネットの利用率も年々増加しています。
総務省の「令和5年版情報通信白書」によると、60代のインターネット利用率は86.8%となっています。
シニア世代のインターネット利用率は年々増加しているため、シニア向けマーケティングにおいてデジタルメディアの重要度は増していくでしょう。
2.60代シニアが抱える課題やニーズ
60代シニアがどのような課題やニーズを抱えているのかを紹介します。
就労の継続
Indeed Japan株式会社が実施した「シニア世代の就労に関する調査」によると、多くの60代シニアが就労の継続を望んでいるものの、同時に不安も抱えていることがわかります。
調査によると、60代の58.3%が「働きたい」もしくは「働く必要がある」と感じていると回答しています。
しかし、働く意欲や必要性を感じているシニアの92.7%が、就労に関して不安や課題を抱えていると回答。
主な不安として「健康状態の維持」(59.6%)、「働くための気力の維持」(38.5%)、「肉体労働への耐性」(28.1%)を挙げています。
少子高齢化が今後も進んでいくと予測される日本において、シニア世代にいかに働き続けてもらうかは重要な課題です。
企業側も、シニア層の経験や知識を活かせる職場環境の整備が求められています。
シニア世代がセカンドキャリアを求めてどのように仕事探しをしているかについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。
心身の健康
株式会社NTTデータ経営研究所が実施した「100年時代における次世代シニアのニーズ調査」によると、60代の84.8%が自身を健康またはふつうだと認識していることがわかります。

しかし、同時に健康への不安も大きく、健康情報へのニーズは高いことがわかっています。
内閣府の「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」によると、60~64歳男女の「日常生活を送る上でもっと欲しい情報」の上位はそれぞれ以下の通りです。
【60~64歳男性】
・年金:38.2%・医療:28.9%・健康づくり:26.5%
【60~64歳女性】
・年金:33.5%・健康づくり:28.6%・趣味、スポーツ活動、旅行、レジャー:25.8%
この調査では、健康づくりに関する情報のニーズは、年齢が上がるごとに増しています。
60代シニアは健康についての不安はまだ少ないものの、健康維持に関する興味関心は高いことがわかります。
人との関わり
前述の株式会社NTTデータ経営研究所「100年時代における次世代シニアのニーズ調査」によると、60代シニアが人との関わりに期待するのは、「日常的に話をする相手がいる」「困ったときに支えあえる」ことであるとわかります。

引用:人生100年時代における次世代シニアのニーズ調査|株式会社NTTデータ経営研究所
「日常的に話をする相手がいる」「困ったときに支えあえる」の回答の割合は、年齢が上がるほど高くなっています。
シニア世代は年を重ねるに連れ、話し相手や助けてもらえる相手が欲しいと考えるようになるようです。
3.60代シニア層へのマーケティング成功の鍵
ここまで、データから60代シニア全体の傾向を見てきましたが、マーケティング成功には、この世代の人々の多様性を理解し適切なアプローチをとることが重要です。
ライフスタイルの多様性を理解する
60代シニアの価値観やライフスタイルは多様化しており、シニア世代と一括りにして考えないことが大切です。
株式会社ビデオリサーチのひと研究所は、シニア世代を価値観で分類した以下の「シニア価値観セグメント」を発表しています。

引用:多様なシニアを理解するために~価値観で分類した6タイプ~|株式会社ビデオリサーチ
各分類の特徴は、それぞれ以下のとおりです。
分類 | 特徴 |
アクティブトラッド | リタイアして悠々自適に暮らし、時間とお金に余裕がある層 |
ラブ・マイライフ | アンチエイジング意識が強く、新しいものや流行に敏感な層 |
社会派インディペンデント | 人とのつながりを大切にし、社会貢献に意欲的な層 |
セカンドライフモラトリアム | 社会との接点を模索し、第二の人生を探している層 |
身の丈リアリスト | 将来への不安から消費に消極的な層 |
淡々コンサバ | 現在に満足し、日々淡々と平穏な暮らしを送っている層 |
参照:多様なシニアを理解するために~価値観で分類した6タイプ~|株式会社ビデオリサーチ
一般的にシニアは65歳以上と定義されることが多いですが、このセグメントでは55歳以上をシニア世代と定義しています。
これは、仕事の退職や子育ての卒業によって生活にある程度自由が生まれ、価値観がライフスタイルに反映されやすくなる時期が55歳以上となるためでしょう。
セグメントの特徴を見ると、分類ごとに異なるライフスタイルが見えてきます。
たとえば、60代の共通した関心事項として健康がありますが、「ラブ・マイライフ層」には最新のフィットネスガジェット、「セカンドライフモラトリアム層」にはヨガなどの習い事など、ニーズがある商品・サービスは異なると考えられます。
この分類は価値観をもとにしたセグメントであるため、自社のターゲットに当てはめる際は年齢の軸をかけ合わせて考える必要があるでしょう。
たとえば、「社会派インディペンデント層」が急に「淡々コンサバ層」へ変化することは考えにくいですが、年齢を重ねることで活動範囲が狭くなり、行動が控えめになるといった変化は考えられます。
このような分類を参考に、年齢だけではくくれないターゲット層の特徴を深く理解し、それぞれのニーズに合わせたマーケティング戦略を立てることが重要です。
適切な広告媒体の選定
60代シニアへ効率よくアプローチするには、適切な広告媒体の選定が欠かせません。
シニア世代は、テレビ・新聞・雑誌などのアナログ媒体の利用率が依然として高いものの、
60代のインターネット利用率は86.8%にも登ります。
そこで効果的なのが、アナログとデジタル両方の媒体を組み合わせたクロスメディア戦略です。
テレビ・新聞などの媒体は広範囲にアプローチできる強みがあります。
一方、デジタル媒体の強みは特定のターゲットに絞った広告配信ができることで、ターゲットごとに広告の出し分けも可能です。
ライフスタイルが多様化している60代シニアに効率よくアプローチするためには、ターゲットにあった訴求を行うことが大切です。
たとえば、アナログ媒体で接触頻度を増やしブランドを認知させ、デジタル媒体でターゲットに合ったメッセージを訴求するといった使い分けも考えられるでしょう。
60代シニア向けのおすすめ広告媒体については、以下の記事でも紹介していますので、さらに詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
コミュニケーションはメリットの提示と信頼の構築が重要
60代シニア向けのコミュニケーションでは、商品やサービスの具体的なメリットの提示と信頼の構築が重要です。
シニア世代は商品・サービスを購入する際、価格よりも「自身にとって価値があるか」を重視します。
そのため、商品・サービスを購入することで「その後の生活がどう良くなるのか」という点を具体的に示し、消費に納得感を持たせることが大切です。
また、シニア世代は「その商品・サービスが信頼できるか」を大切にし、新しいものより「長く愛用しているもの」を使い続ける傾向があります。
そのため、口コミやレビューなど第三者の意見を活用し信頼度を高める、アフターフォローや継続的な情報提供を通じブランドへの信頼と愛着を育むといった戦略も有効です。
シニア向けマーケティングのポイントについては以下の記事でも詳しく解説していますので、興味のある方はご覧ください。
4.60代シニアのマーケティングならシニア向けSNS「おしるこ」
本記事では、現代の60代シニアのライフスタイルやマーケティングにおける重要ポイントを解説しました。
60代シニア向けのマーケティングを実施する際は、ターゲットの特徴を把握し、適切な媒体を選択しアプローチするのが大切です。
「ターゲット層のニーズや興味関心がわからない」「効率よくシニア世代にアプローチできる媒体を探している」といった方におすすめなのが、シニア向けSNS「おしるこ」です。
おしるこは50歳以上限定のシニア向けSNSで、会員数は8万人以上(2024年3月時点)となっています。
おしるこには、以下のようなシニア世代の生の声を聞ける場があります。
- おしるこユーザーに商品・サービスを利用してもらい、感想をシェアしてもらう
- おしるこユーザーを集めた座談会を開催する
さらに、おしるこ内に広告を掲載することで、マーケティング戦略の効果検証をしたり、効率的にターゲットに商品・サービスを広めたりもできます。
おしるこでは、以下のような広告メニューをご用意しています。
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