60代一人暮らしの生活費とは?マーケティング担当者が知るべき老後の暮らしの実態

60代一人暮らしの生活費とは?マーケティング担当者が知るべき老後の暮らしの実態
シニアのインサイト 投稿日: 更新日:

60代一人暮らしの生活費とは?マーケティング担当者が知るべき老後の暮らしの実態

60代一人暮らしのシニアは今後ますます増加すると予測されており、マーケティング担当者にとって見逃せないターゲットとなっています。

この記事では、そんな一人暮らしのシニアを理解するために、生活費の実態や抱える不安・生活で意識していることを解説します。

また、このターゲット層に向けた商品・サービスの事例を紹介しますので、マーケティング戦略の参考にしてください。

目次

  1. 65歳以上の一人暮らし世帯数は増加傾向
  2. 60代一人暮らしの生活費の実態とは
  3. 60代一人暮らしが抱える不安や意識していること
  4. 60代一人暮らしのシニアをターゲットにした商品・サービスの事例
  5. 60代一人暮らしに向けたマーケティングならシニア向けSNS「おしるこ」

1.65歳以上の一人暮らし世帯数は増加傾向

シニア関連市場は急速に拡大しており、みずほ銀行産業調査部によると2040年度には115兆円に拡大すると予測されています。

そんな中、注目したいのが65歳以上の一人暮らしの割合が右肩上がりで増加している点です。

令和6年版高齢社会白書(内閣府)によると、65歳以上の一人暮らしの割合は令和2年時点で男性15.0%、女性22.1%となっており、令和32年には男性26.1%、女性29.3%まで上昇すると見込まれています。

よって、一人暮らしのシニア向け商品・サービスの需要は、今後さらに高まると考えられます。

たとえば、安全や健康、生活支援に関連する商品・サービスのニーズが高まるかもしれません。

シニア向け商品・サービスのマーケティング担当者は、この成長市場に向けた戦略を練る必要があるでしょう。

2.60代一人暮らしの生活費の実態とは

一人暮らし60代のシニアがどのような生活をしているのか理解するために、生活費の内訳や金銭的なゆとりをみていきましょう。

60代一人暮らしの生活費の内訳

総務省の2023年家計調査によると、65歳以上単身無職世帯の1ヶ月の支出は合計15万7,673円となっており、内訳は以下の通りです。

項目金額
食料費40,103円
教養娯楽費15,277円
交通・通信費15,086円
光熱・水道費14,436円
住居費12,564円
保健医療費7,981円
家具・家事用品5,923円
被服及び履物費3,241円
その他30,821円(うち交際費15,990円)
非消費支出(税・社会保険料など)12,243円

引用:家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)|総務省統計局

食料品費が一番多く、一人暮らしのシニアは、健康維持のため食事の質や栄養バランスに気を配っているのかもしれません。

また、教養娯楽費や交通・通信費、交際費の割合も高いことから、年齢を重ねても活動的な生活を送っていることがうかがえます。

シニア世代がどのような一人暮らしの生活を送りたいと考えているのかについては、以下の記事でも詳しく紹介しているため、興味のある方はご覧ください。

60代一人暮らしの生活にゆとりはあるか

総務省の2023年家計調査によると、65歳以上単身無職世帯の1ヶ月の平均実収入は12万6,905円です。

その大部分は社会保障給付(主に年金)で11万8,230円、残りの8,675円がその他の収入となっています。

前述の通り、支出は15万7,673円のため、月に3万768円の赤字となり、貯蓄を切り崩して生活していると推測されます。

そのため、一人暮らしのシニアの多くは、生活にゆとりがあるとは言い難い状況でしょう。

シニアをターゲットとしたマーケティングを実施するにあたっては、このようなシニアの経済状況と生活スタイルの変化を理解し、コストパフォーマンスの高い商品やサービスの開発、あるいは既存製品の価格戦略の見直しなどを検討する必要があるでしょう。

実際、老後の生活費への不安から、今までの暮らし方や支出を見直し必要なものだけにする「ダウンサイジング」を行うシニアも増加しています。

老後のダウンサイジングやそれに伴うビジネスチャンスについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

3.60代一人暮らしが抱える不安や意識していること

次に、60代一人暮らしのシニアが抱える不安や生活で意識していることは何かをみていきましょう。

頼れる人がいなくなることや生活のための収入が不安

内閣府の「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」によると、未既婚の一人暮らしのシニアの34.7%が「頼れる人がいなくなり一人きりの暮らしになること」が不安であると回答しています。

また、配偶者あるいはパートナーと離別しているシニアは「生活のための収入のこと」を最大の不安要素として挙げています。

一方、配偶者と同居するシニアは「自分や配偶者の健康や病気のこと」(84.0%)、「自分や配偶者が寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること」(70.5%)を不安に感じているようです。

配偶者と同居している場合は健康に目が向いているようですが、一人暮らしの場合は孤独や経済状況に不安を抱えている様子が見受けられます。

一人暮らしのシニアをターゲットとする場合、たとえばコミュニティ形成を支援するサービスや、副収入を得られる機会を提供するサービスなどが需要があるかもしれません。

日ごろ特に心がけているのは食事や人との付き合い

内閣府の調査によると「日ごろ特に心がけていること」も、配偶者と同居するシニアと一人暮らしのシニアとで違いがあるようです。

配偶者と同居するシニアは「健康管理」(72.7%)、「食事」(71.8%)を重視していると回答しています。

一方、一人暮らしで未既婚のシニアは、「食事」(67.3%)を重視。

配偶者あるいはパートナーと離別しているシニアは、「家事」(63.9%)、「家族・親戚との付き合い」(48.9%)、「近隣、友人、仲間との付き合い」(47.3%)を重視していると回答しています。

健康状態や所得額によっても異なると考えられますが、自分の生活を大切にしたり他者との付き合いを重視したりする傾向があるのが、一人暮らしの特徴といえるでしょう。

他者との付き合いを心がけているという点について、特に注目したいのがコミュニケーションの手段です。NTTドコモ モバイル社会研究所の調査によると、60代シニアの別居家族との連絡方法は以下の通り、年々「LINEメッセージ」の割合が増加しています。

別居家族との連絡方法
引用:シニアの別居家族との連絡方法経年推移(60代)|NTTドコモ モバイル社会研究所

「携帯電話を用いたメール」の割合は減少していることから、利便性の高いLINEに移行していると推察できます。

シニア世代はデジタルに弱くSNSは苦手といったイメージを持っている方は、認識を改める必要があるでしょう。

他者との付き合いを重視しているシニアは、使い勝手さえ良ければ、SNSなどデジタル機器を活用したコミュニケーション手段を積極的に活用するということです。

4.60代一人暮らしのシニアをターゲットにした商品・サービスの事例

一人暮らしのシニアをターゲットにした商品やサービスの事例をいくつか紹介します。

見守りサービス

一人暮らしのシニアの安全を確保し、離れて暮らす家族に安心を提供するサービスが見守りサービスです。

さまざまな企業が、自社の強みを活かした以下のような見守りサービスを提供しています。

サービス名称特徴
セコムみまもりホン2(セコム株式会社)専用の見守り機能付きスマートフォンを利用できるサービス。「緊急ブザーでセコムに通報」「看護師への電話相談」といった機能がある。離れて暮らす家族は「安否確認」「位置情報検索」などの機能が利用可能。
みまもりほっとライン(象印マホービン株式会社)通信機能を持つ電気ポットの使用状況で、離れて暮らすシニアの安否を確認できるサービス。シニア側は監視されているという感覚が少なく利用でき、家族側は安否確認の電話などの手間が省ける点が人気。
郵便局のみまもりサービス(日本郵便株式会社)郵便局員がシニア宅に訪問し安否確認・写真撮影を行い家族に安否を伝えるサービス。実際に人が訪問することで、センサー機器などでは感知できない顔色や会話の受け答えなども確認できる。

見守りサービスはすでに多くの企業が提供しているため、新規参入の場合は自社の強みを活かした他企業にはできない付加価値を付けられるかが重要になるでしょう。

生活支援サービス

日常生活の負担を軽減し、シニアの生活の質向上につながるのが生活支援サービスです。

たとえば、以下のようなサービスがあります。

サービス名称特徴
ダスキン ライフケア(株式会社ダスキン)シニアが住み慣れた自宅で生活ができるよう「家事」「通院の付き添い」「介護」といったサービスを24時間365日受けられるサービス。
まごころサポート(MIKAWAYA21株式会社)シニアの生活の中で発生する「ちょっと困った」ことの手伝いを依頼できるサービス。電球交換や掃除など簡単なものから、孫のプレゼント選びといったものまで「コンシェルジュ」と呼ばれるスタッフが対応。

厚生労働省によると、シニアは生活支援サービスについて「公的なサービスだけではなく、民間事業者等が提供するサービスを使いたい」という意向があるようです。

しかし、事業者がサービスを提供するにあたっては「地域や関係者からの信頼獲得が難しい」「採算性や人員確保の問題で事業持続が難しい」「情報やノウハウが不足している」といった課題があります。

参入にあたっては、まずこれらの課題をどうクリアするか検討する必要があるでしょう。

シニア世代に注目されている家事代行サービスについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。

https://seniorad-marketing.com/senior-insight/housekeeping-service

参考:高齢者の生活支援サービスの充実に向けた、民間事業者等の参入を促進する取組のヒント|厚生労働省

食事配達サービス

栄養バランスの取れた食事を提供し、シニアの健康維持をサポートするのが食事宅配サービスです。

サービス名称特徴
ワタミの宅食(ワタミ株式会社)管理栄養士監修のお弁当やお惣菜を届けてもらえるサービス。宅配と同時に家族の見守りを行うサービスも提供している。
まごころケア食(株式会社シルバーライフ)高齢者向け配食サービスを運営する株式会社シルバーライフが運営する宅食サービス。1食あたりの価格が安価なことが人気。

各社、食事を届けるだけでなく、見守りサービスも提供する、低塩分・低カロリーなど特徴のある食事を提供するなど、さまざまな工夫をしています。

シニアといっても、年齢・健康状態・食生活の習慣・経済状況などはさまざまです。

シニア向けサービスを提供する際は、ターゲットとする顧客層を明確にし、そのニーズを深く理解することが重要です。

シニア向けSNS

SNSは、一人暮らしで孤独になりがちなシニアが人とコミュニケーションを取るための有効なツールです。

以下のような、シニアが安心して使える仕組みや利用しやすいユーザーインターフェースを提供するシニア向けSNSが人気となっています。

サービス名称特徴
らくらくコミュニティ(FCNT合同会社)趣味や話題を通じて会員同士が交流できるシニア向けSNS。専門スタッフが投稿内容をチェックし、個人情報の漏洩や誹謗中傷などを防ぐ仕組みがある。
おしるこ(カイト株式会社)50歳以上限定のSNSで、会員数は8万人以上(2024年3月時点)。日記や他ユーザーと交流できるグループ機能、オンラインレッスンなどさまざまな機能がある。

総務省の「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、60代シニアのSNS利用率は73.4%となっており、年々増加しています。

そのため、シニア向けSNSを自社で提供しない場合でも、商品・サービスをPRする際にシニア向けSNSを利用するのがおすすめです。

シニアのSNS利用状況については、以下の記事でも詳しく紹介していますので、興味のある方はご覧ください。

5.60代一人暮らしに向けたマーケティングならシニア向けSNS「おしるこ」

一人暮らしのシニアは年々増加しており、シニアをターゲットとしたマーケティングを行う場合、見逃せないターゲットといえます。

60代一人暮らしの1ヶ月の平均支出は収入を上回っており、その多くは余裕のある生活を送っているとはいえません。

よって、このターゲットに向けた商品・サービスを提供する場合は、いかにその商品・サービスが「ターゲットの不安や課題を解決するか」「暮らしを豊かにするか」を訴求するのが大切でしょう。

シニアが「どのような不安や課題を抱えているか」「何に興味関心を持っているか」が知りたいという方におすすめなのが、シニア向けSNS「おしるこ」です。

おしるこでは、50歳以上のシニア世代が日常をシェアしたりコミュニティで仲間との交流を行ったりしています。

おしるこには、以下のようなシニア世代の生の声を聞ける場があります。

  • おしるこユーザーに商品・サービスを利用してもらい、感想をシェアしてもらう
  • おしるこユーザーを集めた座談会を開催する

さらに、おしるこ内に広告を掲載することで、マーケティング戦略の効果検証をしたり、効率的にターゲット世代に商品・サービスを広めたりもできます。

「シニアのインサイトを知りたい」「シニアへのアプローチは難しい」と課題をお持ちの方へ、有効なシニア向けSNSがあります。詳しくは以下をダウンロードしてみてください。

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