【取材企画】創始者の思い「食を通じて社会に貢献する」が、繋ぐコミュニティマーケティングの根幹

【取材企画】創始者の思い「食を通じて社会に貢献する」が、繋ぐコミュニティマーケティングの根幹
シニアのインサイト 投稿日: 更新日:

【取材企画】創始者の思い「食を通じて社会に貢献する」が、繋ぐコミュニティマーケティングの根幹

キユーピー株式会社は、創業時より受け継がれる「食を通じて社会に貢献する」という精神のもと、顧客との深い信頼関係を築いてきました。特に近年は、コミュニティマーケティングを通じて顧客に寄り添い、彼らの日常に根付いたブランドを目指す取り組みを加速させています。本記事では、インタビューから、生活に役立つ商品や情報を提供することで、顧客の「食」と「健康」に貢献するキユーピーの独自の戦略に迫ります。

キユーピー株式会社

目次

  1. キユーピー マヨネーズの歴史 ー 創始者・中島董一郎氏の思いと使命
  2. 「宣伝は資本である」ー 長期的視点に基づくブランド浸透戦略
  3. コミュニティマーケティングでの顧客との接点作り
  4. キユーピーの継続的な取り組みが築く未来

🎤 創始者の思いと「キユーピー マヨネーズ」について、お聞かせください

1.キユーピー マヨネーズの歴史 ー 創始者・中島董一郎氏の思いと使命

ヒストリー

〜株式会社トウ・アドキユーピー(キユーピーグループの広告宣伝、ブランドマネジメントを行うグループ会社)岩佐様〜

キユーピー マヨネーズのルーツは、創始者・中島董一郎が1910年ごろに米国へ留学していた際、「ポテトサラダで使われていたマヨネーズ」に感銘を受けたことでした。「アメリカの人はこういうものを食べているから、体が大きくて健康なのだ」ということを肌で実感し「いつかこれを日本で発売したい」と思って帰国したと聞いています。

帰国後、日本人の体格向上を願って、卵黄タイプで栄養価の高いマヨネーズを日本で発売しようと考えたのです。当時は、日本では洋食が家庭で提供されることも少なく、マヨネーズという言葉も知られていませんでした。これを日本の食生活に取り入れてもらうためのさまざまな工夫がありました。当時、世界だけでなく、日本でも人気のあったキューピー人形のように誰からも愛される商品にしたいという思いから、「キユーピー」を商品ブランドにすることを、中島はマヨネーズの製造をする数年前から考えていたようです。

2.「宣伝は資本である」ー 長期的視点に基づくブランド浸透戦略

新聞広告
当時の新聞広告

創始者の中島は「宣伝は資本である」と考え、将来に向けた投資として宣伝に力を入れ、ブランドイメージを積み上げてきました。この考えのもと、新聞広告などの定期的な掲載(同じ曜日で同じ掲載場所)を続け、常にお客様の意識に「キユーピー マヨネーズ」という存在を刻んでいきました。発売当初は、売り上げよりも大きい額の広告費用を投入していたと聞いています。そういう思いを持って商品を身近に感じていただくために広告に力を入れていました

1974年から「野菜を見たら、キユーピー マヨネーズを想像してほしい」というブランドコミュニケーションを展開しています。長年継続することで「野菜とキユーピー マヨネーズ」というブランドイメージが定着していると考えています。


🎤 顧客とのつながりとコミュニティマーケティングについて、お聞かせください

3.コミュニティマーケティングでの顧客との接点作り

ファンクラブ

顧客との信頼関係を長期的に築く「キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」

〜株式会社トウ・アドキユーピー 栗原様(キユーピー マヨネーズ ファンクラブ運営担当) 〜

2014年に開設された「キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」は、2025年に発売100周年を迎えるキユーピー マヨネーズのロイヤルユーザーを中心としたコミュニティです。

開設当初、健康意識の高まりでカロリーなどを理由にしたマヨネーズ離れが課題となっており、キユーピー マヨネーズ本来のおいしさと、キユーピー マヨネーズのある毎日を、より楽しんでいただきたいという思いからコミュニティが誕生しました。

今年8月で10周年を迎え、会員数は現在14万人に達しています。特に50代以上のシニア層が多くを占め、男女比は女性が8割と高いのが特徴です。また、マヨネーズ愛好者が互いに交流し、使い方やレシピの共有が行われるなどファン同士の活発なやり取りが見られます。

1. ラウンジとアカデミー

ファンクラブ内には、日常のマヨネーズ活用を共有する「ラウンジ」と、知識を深める「アカデミー」の2つのサークルがあります。

「ラウンジ」では季節ごとのメニューの提案や、キユーピー マヨネーズの魅力に関する話題提供が行われ、会員同士がアイデアを共有し合う場として機能しています。

「アカデミー」は、クイズや授業形式でキユーピー マヨネーズの歴史や調理知識を学ぶサークルです。実習と呼ばれる実際に調理する機会も提供しています。卒業試験に合格するとマヨネーズのコンシェルジュである「マヨシェルジュ」と呼ばれる資格が授与され、マヨシェルジュが新規会員と一緒になってコミュニティを盛り上げてくれることで、ファンクラブがより楽しいものとなっています。

2. リアルイベントと商品開発

今年はキユーピーのグループ企業であるデリア食品と共同で「新商品ポテトサラダ開発会議」を実施しています。ファンからのアイデアを商品に反映し、実際にお惣菜として販売するポテトサラダの商品化をしています。さらに、2025年のキユーピー マヨネーズ発売100周年イベントの企画でも、ファンからの意見を積極的に取り入れ、双方向の交流を通じた企画を進行中です。

ファンクラブは、キユーピー マヨネーズを使ったレシピや豆知識などの単なる情報提供だけではなく、ファンの声をいかしたお惣菜開発やグッズの共創企画などファンとのコミュニケーションの場として重要な役割を果たしています。

ファンクラブは、顧客との信頼関係を長期的に築くコミュニティマーケティングの代表例であると考えます。

体験型マーケティングの実践「マヨテラス」

森川さん

〜キユーピー株式会社 マヨテラス運営チーム 森川様〜

1951〜2011年、この場所にはキユーピー仙川工場があり、小学生や地域の皆さんが体験できる工場見学を行っていました。2011年に仙川工場を閉鎖した際には、お客様からたくさんの「残念」という言葉をいただきました。工場の閉鎖後もお客様との会話の機会を大切にしたいという思いから、見学施設を作ることが決まりました。

そして、2014年6に月仙川キユーポート(東京都調布市)内にオープンしたのが、見学施設「マヨテラス」です。「キユーピー マヨネーズ」の歴史やおいしさの秘密に加え、キユーピーグループのものづくりへの姿勢や思いをお伝えしています。

マヨテラス

「サラダホール」入り口に入ると、丸みのあるデザインがかわいい野菜の形をした椅子と、巨大なマヨネーズキャップに描かれたキユーピーのロゴマークが迎えてくれます。天井を見上げるとランプが目玉焼きに見える演出もあり、ユニークな内装もポイントです。

見学ツアーは以下の内容でお楽しみいただけます。

1.4つの見学コーナー

「キユーピーギャラリー」マヨネーズの歴史やキユーピーについての紹介

「マヨネーズドーム」マヨネーズのおいしさの秘密を紹介

「ファクトリーウォーク」工場での製造工程や品質管理の工夫などを体験

「キユーピーキッチン」試食コーナー/マヨネーズの味比べ

2.マヨネーズ製造の技術紹介

1分間に卵を600個割り、卵黄と卵白に分ける機械のデモ

卵の黄身と白身の使い分けについて、食品や工業製品への再利用方法も説明

3.安全管理と品質確認の取り組み

二次元コードを活用した原材料などの管理システム、徹底したダブルチェック体制を説明

4.ユニークなマヨネーズの活用法

宇宙に行ったマヨネーズの話や、保存方法のアドバイス

来場される方は、今では外国からの観光客も多いです。その他、高齢者施設や企業研修として団体でお申し込みいただくこともあります。案内するコミュニケーターはさまざまな経験があります。マヨネーズの製造現場を経験した者が、実際に見学施設でご案内していることは、このマヨテラスの特徴だと思っています。仙川工場時代に工場見学に来場された方が、娘さんとお孫さんを連れて「マヨテラス」に来場されたことがありました。地域の方と世代を超えて繋がっているという意味で嬉しかったです。


4.キユーピーの継続的な取り組みが築く未来

本記事では、キユーピーのコミュニティを大切にした顧客との接点作りの重要性についてご紹介しました。長年にわたり「食を通じて社会に貢献する」という精神のもと積極的なコミュニティマーケティングを行っているキユーピー。高齢化が進む日本社会において、その継続的な取り組みは今後も注目されるでしょう。

キユーピーが考える「シニア層との接点の重要性」

キユーピーにとってシニア層は、単なる顧客層の一部ではなく、共にブランドを育んできたパートナーと捉えられています。そして、シニア層の健康課題に寄り添った商品ラインナップを充実させること、マヨネーズやドレッシングを活用したレシピ提案を行っています。キユーピーのシニアマーケティングは、単に商品の魅力を伝えるだけでなく、シニア層が生活に取り入れやすいレシピの提案を通して、持続的に価値を提供することを目指しています。日本の高齢化が進む中、こうした取り組みは多くの企業にとって、今後のモデルケースとなり得るでしょう。

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