パワーカップルが年金世代になると老後の消費はどう変わる?
夫婦共働きで高収入を得るパワーカップルは、高い購買力を持つため様々な企業からマーケティングのターゲットとして注目を集めています。
定年を迎え収入が年金中心となる「元パワーカップル」は、平均的な収入の世帯より多くの年金を受給することで、経済的に余裕のある老後をおくることが想定されます。
老後も豊かな生活を送ると考えられる元パワーカップルは、シニア向けの商品やサービスを提供する企業にとって、今後重要なターゲット層となるでしょう。
この記事では、定年を迎える元パワーカップルの実態や、ターゲットとする場合のアプローチ方法について詳しく紹介します。
目次
- そもそもパワーカップルとは?
- 定年後それぞれが厚生年金を受給する夫婦が登場
- 夫婦ともに厚生年金を受給すれば豊かな暮らしができる可能性も
- 元パワーカップルはアクティブシニア化の可能性あり
- アクティブシニアへの効果的なアプローチ方法とは?
1.そもそもパワーカップルとは?

パワーカップルとは、夫婦ともに高収入を得る共働き世帯を指します。
世帯収入が高くても、夫婦の片方しか収入を得ていない場合はパワーカップルには当てはまりません。
明確な定義はありませんが、例えばニッセイ基礎研究所では、夫婦ともに年収700万円以上の世帯をパワーカップルと定義しています。
経済的な余裕があり高い購買力と旺盛な消費欲を持つパワーカップルは、様々な企業からマーケティングのターゲットとして注目を集めているのです。
2.定年後それぞれが厚生年金を受給する夫婦が登場
夫婦共働きの世帯は年々増加しており、夫婦ともに厚生年金を受給する世帯が増えていくと考えられます。
日本では1986年の男女雇用機会均等法施行以降、女性の社会進出が進みました。
以下の通り、1991年には共働き世帯が専業主婦世帯を上回り、その差は年々拡大しています。

引用:厚生労働省|令和5年版 厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会- 図表1-1-3 共働き等世帯数の年次推移
男女雇用機会均等法が施行された年に大学を卒業し就職した新入社員も、現在は61歳となっており、年金を受給する世代になっていきます。
これまで日本の夫婦の年金受給の一般的な形は、男性は国民年金と厚生年金、女性は国民年金のみを受け取るというものでした。
「国民年金」は日本に住む20〜60歳未満の全ての人が受給対象で、「厚生年金」は会社員や公務員として働き厚生年金保険に加入していた人が受給対象のため、専業主婦やパートタイムで勤務していた女性は国民年金のみを受け取ることになるからです。
しかし、共働き世帯が増加しているため、女性も厚生年金を受け取る世帯が増加すると考えられます。
特に、現役時代に高年収を得ていた元パワーカップルの多くは、夫婦ともに国民年金と厚生年金を受給する可能性が高いといえます。
以下は、パワーカップル(夫婦ともに年収700万円以上)の世帯数の推移を表したグラフです。

引用:ニッセイ基礎研究所|パワーカップル世帯の動向-2023年で40万世帯、10年で2倍へ増加、子育て世帯が6割
2023年にはパワーカップルの世帯数は約40万世帯となっており、その数は2013年の約2倍にのぼります。
パワーカップルの増加に伴い、夫婦ともに国民年金と厚生年金を受け取る元パワーカップルの数は、今後増加していくと考えられるのです。
3.夫婦ともに厚生年金を受給すれば豊かな暮らしができる可能性も
実際に元パワーカップルが受け取る年金額の想定と、一般の夫婦が受け取る年金額の違いを紹介します。
世帯年収1,400万円だった場合に受け取る年金額とは?
厚生年金の受給額は、納付済の保険料や年金加入期間によって決定されます。
「多く稼いだ人」「長く働いた人」ほど受給額が多くなる仕組みです。
世帯年収1,400万円(夫婦それぞれ年収700万円)の元パワーカップルが受け取る年金額を、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」を用いて、シミュレーションしました。
条件は以下のように設定しています。
【条件】
年齢:61歳
勤務年数:22歳~60歳
38年間の年収の平均:1人700万円
年金受給開始年齢:65歳
未納期間:20歳~22歳の国民年金も含め、40年間未納期間なし
この条件では、一人あたりの年金受給額は年額で214万円です。
夫婦ともに同じ条件であれば、合計で年間428万円、月額約35.6万円の年金を受け取る計算になります。
平均的な世帯より月10万以上多く年金を受け取る可能性も
平均的な収入の世帯と比較すると、元パワーカップルの年金受給額の多さは明確です。
日本年金機構によると、平均的な夫婦が受け取る月の年金額(厚生年金1人分と国民年金2人分の合計)は、月額22万4,482円です。
※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した人が、令和6年から受け取り始める金額。
前述の通り、世帯年収1,400万円の元パワーカップルの年金受給額は月額約35.6万円のため、平均的な世帯より約13.2万円多く年金を受け取る計算になります。
総務省の2023年家計調査報告によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は月額25万959円です。
受け取る年金額から見ると、平均的な世帯は年金を受け取っても家計が赤字になりますが、世帯年収1,400万円だった元パワーカップルは年金だけでも生活費を賄える可能性が高いといえます。
加えて、元パワーカップルは現役時代に高収入であったことから、退職金も相応の額を受け取ると考えられるため、老後は豊かな生活を送ることができる可能性が高いでしょう。
4.元パワーカップルはアクティブシニア化の可能性あり
平均的な世帯よりも多くの年金を受け取る元パワーカップルは「アクティブシニア」と呼ばれる層になる可能性が高いといえます。
シニアマーケティングにおいて、シニア層は大きく以下の4タイプに分類されます。
アクティブシニア:意欲的かつ活動的で金銭的にも比較的余裕があるシニア層
ディフェンシブシニア:健康に問題はないが消費活動に消極的な傾向のあるシニア層
ギャップシニア:やりたいこととできることにギャップを感じるなど余生に不安を持つシニア層
ケアシニア:介護を必要としており収入は年金のみであることが多いシニア層
定年を迎えた元パワーカップルの多くは経済的な余裕があることで、健康維持や趣味活動に積極的に投資するアクティブシニア化すると考えられるのです。
総務省の調査によると、2030年には高齢者の約8割がアクティブシニアになると予測されています。
そのため、シニア向けビジネスを展開するにあたってアクティブシニア層は無視できないターゲットです。
その中でも特に、元パワーカップル層は消費ポテンシャルが高く、シニア向けビジネスで商機を掴むために注目すべきターゲットといえるでしょう。
「アクティブシニア」「ディフェンシブシニア」「ギャップシニア」「ケアシニア」については、それぞれ以下の記事で詳しく紹介していますので、興味のある方はご参照ください。
5.アクティブシニアへの効果的なアプローチ方法とは?
アクティブシニアをターゲットにしたいけれど、どのようにアプローチしたらいいかわからないという方のために、効果的なアプローチ方法を紹介します。
アクティブシニアへアプローチするための3つのポイント
アクティブシニアへアプローチするためには、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
- ペルソナを明確に設定する
- ターゲットの興味・関心を理解する
- ターゲットにリーチできる媒体を選択する
まず、アクティブシニアに効果的にアプローチするためには、ペルソナを明確にすることが大切です。
ペルソナとは、商品やサービスのターゲットとなる具体的なユーザー像のことを指します。
ペルソナを明確にすることで、実際の顧客が何を感じて何を考え、どのように行動するのかがイメージしやすくなり適切なアプローチ方法を検討しやすくなります。
ペルソナを明確にしたあとは、ターゲットが何に興味・関心を持っているかを理解することが重要です。
興味・関心を理解することで、商品やサービスのどこをどのように訴求するとよいのかが見えてきます。
現役世代のパワーカップルは、経済的な余裕はあるものの「時間がない」ことが生活の課題で、家事代行・ベビーシッター・時短家電など時間を生み出すための消費が活発な傾向があります。
しかし、老後は現役時代よりも時間の余裕が生まれることから、他のアクティブシニアと同様に自身の健康や趣味へ消費の対象が移っていくことが想定されます。
ターゲットにする元パワーカップルが、何に興味・関心を持つかは特に注目したいポイントです。
最後のポイントは、ターゲットに効率的にアプローチできる媒体を選ぶことです。
どんなに優れた広告を出しても、ターゲットがその媒体を利用していなければターゲットにリーチすることはできません。
「アクティブシニア」「元パワーカップル」といっても、年齢・趣味・ライフスタイルなどによって興味や関心は異なります。
上記のポイントを踏まえ、ターゲットの特性を理解し、自社の商品やサービスにあったアプローチ方法を選択することが大切です。
アクティブシニアへのアプローチはデジタルメディアの活用が鍵
シニアというと、デジタルは苦手でメインの情報収集媒体はテレビや新聞といったイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、シニア世代のインターネット利用率は年々増加しており、アクティブシニアに効率的にアプローチするにはデジタルメディアを活用することが重要になってきています。
以下は、総務省が公表している年代別のインターネット利用率のデータです。
60〜69歳では90.2%、70〜79歳では67.0%と多くのシニア世代がインターネットを利用していることがわかります。
シニア世代が情報収集する媒体は、紙やテレビからインターネットへと変わってきています。
CCCMKホールディングス株式会社が公表している50歳以上の人々の情報収集源についての調査結果からも、その傾向が見て取れます。以下の通り、よく見ている情報源の上位10位までの中の4つがインターネットメディアとなっているのです。

「折込チラシ」よりも「インターネットの広告・SNS上の広告」が1.4ポイント上回っており、インターネットからの情報収集が増加してきていることが伺えます。
引用:CCCMKホールディングス株式会社|性年代別意識調査(2022年6月)
特に、興味関心の感度が高いアクティブシニアは、最新のテクノロジーを積極的に生活に取り入れる傾向があります。
今後アクティブシニアへ効果的にアプローチするには、デジタルメディアを上手く活用することがさらに重要となっていくでしょう。
アクティブシニアへアプローチするならシニア向けSNS「おしるこ」がおすすめ
アクティブシニアの悩みや課題のリサーチ、商品やサービスのプロモーションに役立つのが、シニア向けSNS「おしるこ」です。
「おしるこ」は、シニア世代の特性に合わせた機能や使いやすさを追求しており、約8万人(2024年3月末時点)の会員がコミュニティを築き、情報交換や交流を楽しんでいます。
「おしるこ会員」の多くが、体力的・精神的に元気で時間とお金に余裕があるアクティブシニア層です。
特におしるこ会員は、ITリテラシーが高くインターネットの利用に積極的なことから、アクティブシニア層の中でもアーリーアダプターの集まりであるといえます。
アーリーアダプターである「おしるこ会員」に対してテストマーケティングを実施することで、アクティブシニアへの効果的なアプローチ手法を探ることが可能です。
おしるこでは、以下のような広告サービスを提供しています。
- ポップアップバナー広告:アプリ起動時に広告を表示
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その他にも、訴求方法の異なるさまざまな広告サービスを提供しています。
どのような手段が効果的かわからないという場合には、目的に合った広告を提案することも可能です。
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