シニアが現金払いを続ける本当の理由は?キャッシュレス決済の利用率や利用シーンも紹介
日本ではクレジットカードやスマホ決済に対応のお店やサービスが増えているなか、現金払いを主に続けるシニアも多いです。
一般的に「スマホやクレジットカードの管理が苦手」というイメージを持たれることが多いシニアですが、シニアが現金払いをメインにする理由は他にもあります。
この理由を把握することで、キャッシュレスサービスの導入をシニアに促進できるほか、現金に特化したサービスを提案するのに役立つかと思います。
本記事では、シニアが現金払いを続ける理由と、キャッシュレス決済を選ぶシーンについて解説します。シニア向けのキャッシュレス決済サービスの導入を考えている人、現金払いがメインのシニアをターゲットにする人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1. シニアが現金払いを続ける理由5つ
1. 現金払いに慣れているから
日本ではクレジットカードが1960年代に普及し始め、交通系ICカードは2001年に登場しました。2024年に80歳を迎えるシニアだと、1960年には16歳、2001年には57歳です。
この世代のシニアは幼少期から現金を使うことに慣れており、お金を使う方法として現金払いが最も馴染み深いです。さらに、シニアの中には長年愛用している財布を持ち歩き、財布を使う買い物に慣れている人も少なくありません。
2. 支出管理が難しいから
シニアの中には「キャッシュレスでは支出管理が難しい」という理由で、現金支払いを続けるシニアも少なくありません。
キャッシュレス決済の場合、実際に現金そのものを手渡す感覚がないので、支出の把握をしにくいです。
たとえばクレジットカードや電子マネーを使った場合、支払金額はレシートや領収書を見ればわかりますが、財布や口座の残高をリアルタイムに把握するのは難しくなります。とくにクレジットカードの場合は、支払額が口座から引き落とされるまでに時間がかかるので、それまでの期間は支出管理が難しくなります。
このようにキャッシュレス決済ではリアルタイムに支出を管理することが難しいことから、正確な残高をすぐに確認できる現金払いを好むシニアが多いです。
3. お金を使った感覚を失うから
キャッシュレス決済は、情報を読み取る専用の機械があれば現金を出さずに物を買えます。しかし、実際に現金を手に取らないので、お金を使った感覚を失いやすいです。
そのことから、お金をうっかり使いすぎてしまうことを恐れるシニアも多く、浪費を防ぐために財布に決まった金額を入れておくシニアも多いです。
スマホアプリの中には、キャッシュレス決済と提携して支出管理できるアプリもありますが、スマホアプリに苦手意識を持つシニアにとって、この方法でお金の管理をするのは難しいといえます。
現金払いの場合は、財布の中のお金が無くなればそれ以上の浪費を防げるので、お金を使った感覚を失いやすいシニアには現金払いが根強く人気なのです。
4. キャッシュレス導入を難しく感じるから
現在、さまざまなクレジットカードや電子マネーが普及しています。しかし、現金払いに慣れているシニアにとって、自分に合ったものを選ぶのは難しいとされます。
たとえば、街中で見かける「クレジットカード入会キャンペーン」の案内をシニアが見ても、「他のお店でも使えるのか」「本当にお得に使えるのか」といった不安を感じるシニアは少なくありません。
さらに、キャッシュレス決済を導入するときには、身分証明書の提出や認証コードの読み取りが必要です。このようなキャッシュレス導入までの過程を煩わしく感じるシニアも多いです。
5. 施設やサービスのほぼ100%が現金対応だから
日本では、キャッシュレス専門のお店を覗き、多くの施設やサービスが現金に対応しています。そのため、どのお店でも使える現金払いを好むシニアが多いです。
たとえば病院や個人経営の飲食店だけでなく、自販機やコインランドリー、駐輪場の精算機では現金のみを扱うところが多いです。これによりシニアは現金があれば、支払いにいつでも困らないという安心感を持っています。
一方、クレジットカードや電子マネー導入のスマホのみを持ち歩いていた場合、現金での急な支払いが発生すると対応に困ることもあります。このようなトラブルを未然に防ぐために、現金を持ち歩くシニアも多いです。
2. シニアのキャッシュレス利用率
現金払いを好むシニアは多いですが、キャッシュレス決済は一定数のシニアに浸透しています。消費者庁のキャッシュレス決済に対する意識調査では、60歳代の57.3%、70歳以上の29.7%がキャッシュレス決済を使っていることがわかりました。
70歳以上のシニアではキャッシュレス決済の利用率が約半分に減ってしまうことから、年齢を重ねるたびにシニアのキャッシュレス決済に対する苦手意識が高く、現金払いにこだわるシニアも多いことが窺えます。
シニア世代にキャッシュレス決済を促進するときは、単に「シニアの苦手意識をなくせばいい」という認識ではなく、昔から慣れ親しんでいる現金払いにこだわる理由を把握することから始めましょう。
また、現金払いにこだわるシニアをターゲットにしたサービスを展開するときは、普段の生活の中でより良く現金が使える商品サービスを考えましょう。
シニア世代のキャッシュレス決済の利用実態や、シニアに合ったキャッシュレス決済の種類について、詳しく知りたい人はこちらの記事も参考にしてみてください。
3. シニアがキャッシュレス決済を使うシーン5つ
ここまで、シニアのキャッシュレス決済の利用率をお伝えしました。シニアはどのようなシーンでキャッシュレス決済を使うのか気になりますよね。
ここでは、シニアがキャッシュレス決済を使うシーンを5つ紹介します。シニア世代がキャッシュレス決済を使う頻度が高いパターンを把握することで、シーンに合わせたキャッシュレス決済サービスを提案しやすくなりますよ。
1. スーパーやデパート
スーパーやデパートでキャッシュレス決済を使うシニアは多いです。これらの店舗と提携しているクレジットカードや電子マネーを使うことで、お店で使えるポイントが溜まってシニアがお得にお買い物できます。
溜まったポイントは普段の買い物で使えるので、ポイントの使い道に困ることもありません。また、キャッシュレス決済で困ったことがあった場合は、店員に気軽に質問できるメリットもあります。
2. 電気代などの光熱費の支払い
電気代などの光熱費の引き落としにキャッシュレス決済を使うシニアも多いです。光熱費の支払いにクレジットカードを登録することで、毎月自動的に利用額がクレジットカードから引き落とされます。
コンビニや銀行に行って振り込むなどの支払いの手間が省けるとして、積極的にキャッシュレス決済を利用するシニアも多いです。
また、使った分の光熱費は、クレジットカードと光熱費の両方の明細も確認できるので、「使った分がわかりにくい」と悩むシニアでも安心して利用しやすいです。
3. 交通機関の利用
バスや電車などの交通機関を利用するときに、交通系ICカードを利用するシニアも多いです。電車では改札を通るときに切符を買う手間がなく、バスでは降車前に運賃代の硬貨を準備する手間がありません。
さらに、新幹線や飛行機など高額なチケットを購入する際にも、手持ちの現金が不足する心配なくキャッシュレスで手軽に支払えます。そのため、多くのシニアにとって交通機関を利用するときにキャッシュレス決済は便利な支払い方法となっています。
4. 高額な買い物
ブランド品や家具家電など高額な買い物において、キャッシュレス決済を利用するシニアも多いです。手持ちの財布に必要な金額を持ち合わせなくても、その場で欲しいものをすぐに買えます。
また、このような大きな買い物を通じて、普段の買い物では貯まりにくいキャッシュレスのポイントを一気に貯められるため、ポイントを効率的に貯めようと考えるシニアも多いです。
5. オンラインでの買い物
ネットショッピングの利用頻度の調査によると、「コロナ前に比べてネットショッピングでの買い物が増えた」と回答した人が、2020年は9.6%だったのに対し、2021年は30.5%となりました。
関連記事:シニア世代のECサイトの利用はコロナの影響で約3倍に増加
買い物のスタイルが大きく変化したことが明らかになりました。ECサイトでは代引きやコンビニ決済も利用できますが、手軽に使いやすい面でクレジットカードの使用頻度が増えています。
4. 8万人が集うシニア専用SNS「おしるこ」でシニア向けサービス展開に役立てよう
キャッシュレス決済を利用するシニアは増えていく中、現金払いにこだわるシニアも多いです。「支出の管理が難しそう」「現金を持っている方が安全」などのような声がありますが、幼いことから慣れ親しんでいた現金所持に安心するシニアも圧倒的に多いです。
シニア対象に現金支払いやキャッシュレス決済に関するサービスを展開するときは、シニアに対するそれぞれのイメージだけでなく、シニアの買い物動向や支出傾向についても把握しましょう。そのためには、会員数8万人以上のシニア専用SNS「おしるこ」の活用がおすすめです。
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