「孫育て」が高齢者の消費行動を左右|サポートビジネスに商機あり
共働き家庭の増加に合わせて浮上した、シニアの新たな役割が「孫育て」。
高齢者の消費行動を調査したデータでも、お金の使い道の上位に孫への支出が挙げられています。
ただ、かわいいとはいえ、孫の相手は高齢者にとって負担に感じることも多いようです。
そこで今回は、シニアと孫の関係性と孫育てに関わるニーズをリサーチ。高齢者の孫育ての実態から、新たなビジネスの可能性も見えてきました。
目次
- 孫消費は高齢者が積極的にお金を使う項目第4位
- 本音は「かわいいけど疲れる…」高齢者の孫育て
- 高齢者の孫育てサポートビジネスの事例4選
- LINEの利用が急増!高齢者と孫のコミュニケーションもDX化
- 高齢者の孫消費もビジネス戦略にデジタル活用は外せない
- まとめ
1. 孫消費は高齢者が積極的にお金を使う項目第4位
内閣府による高齢者の消費行動をたずねたアンケートによると、「今後積極的にお金を使いたい項目(今後、優先的に使いたい支出項目)」上位5項目は以下の通りでした。
- 1位 趣味やレジャー(40.4%)
- 2位 食費(31.3%)
- 3位 保健・医療関係(20.5%)
- 4位 学費を含む子や孫のための支出(19.1%)
- 5位 友人等の交際費(12.8%)
アクティブシニアと呼ばれる高齢者の消費が最も活発な項目は趣味やレジャーですが、それ以降の年齢では、体力の低下とともに消費意欲は低下します。
60代では過半数を超えるものの、70代後半では2ポイント程度の減少。一方、孫や子どものための支出は、横ばいに近い状態で推移しています。
高齢者の孫消費ベスト5
ソニー生命の調査によると、高齢者が孫のために使った金額の平均は、年間119,413円(2022年)。1年前の調査と比べて14,731円増加しているとのことでした。
高齢者が孫のために使った消費項目
1位 おこづかい・祝い金
2位 一緒に外食
3位 おもちゃ・ゲーム
4位 衣類などファッション用品
5位 本・絵本
なお、コロナ禍の2021年の調査と比べて増えた項目は、外食とレジャー。まだ感染の余波の残る2022年の調査結果ということを考慮すれば、今後これらの消費支出の上昇も予想されます。
孫や子どもとの交流は高齢者の生きがい
高齢者に「生きがいを感じる時」をたずねたところ、第1位は「孫や子どもの家族との団らん」。アメリカ・ドイツ・スウェーデンでの調査でも同様の結果となっています。
孫とのコミュニケーションに生きがいを感じるのは、国籍や時代を超えた高齢者の共通認識と言えるでしょう。
生きがいは高齢者の健康を左右する
シニアの生きがいは、高齢者の健康状態とも密接にかかわっています。
「健康状態が良い」と答えた高齢者は、7割以上の人が「生きがいや人生の楽しみがある」と答えているのに対して、「健康状態が良くない」と答えた人で生きがいを感じる人は3割程度にとどまっていました。
健康状態の良し悪しは、高齢者の消費意欲にも反映されるため、生きがいを感じている人ほど消費も活発ではないかと考えられます。
参考:令和5年版高齢社会白書「第3節 〈特集〉高齢者の健康をめぐる動向について」 内閣府
子や孫がいる高齢者は貯蓄額が高め
経済的な視点で高齢者と孫との関連を調べたところ、子供がいる高齢者は、いない人と比べて貯蓄額が高いというデータも出ています。
高齢者の孫消費は、彼らの生きがいと貯蓄に支えられたビジネスとも言えるでしょう。
孫ビジネスのメインターゲットは、時間とお金に余裕があり、消費が活発なアクティブシニアになるのではないかと考えられます。
参考:高齢者の貯蓄と資産の実態『全国消費実態調査』の個票による分析 京都大学経済研究所
2. 本音は「かわいいけど疲れる…」高齢者の孫育て
高齢者の育児参加が進んだ背景には、共働き世帯の増加が考えられます。
シニアの生きがいだけでなく、必要に迫られて孫を預かっている人も多いのではないかと見られます。
待機児童など社会資源の穴を埋めるような側面もあるため、育児疲れを感じる高齢者も少なくありません。
「孫がかわいいと思うものの、自分の時間や楽しみのお金も確保したい」というのが、高齢者の本音でしょう。
参考:令和4年版 男女共同参画白書 主婦の友社「『孫育て』をしている女性の意識調査」結果 PRESIDENT WOMAN日本の女性は「子育て」で幸福度が低下し「孫育て」でさらに幸福度が下がる…少子化対策が効かない本当の理由
高齢者が望む孫との関係は近すぎず遠すぎない距離感
高齢者に、孫との関係で理想的な距離感をたずねたところ、多かった答えは「週1日~月数回程度の交流」。
子や孫との同居より、ときどき顔を合わせるのが望ましいと考える高齢者が多いようです。
高齢者が孫育てを頑張ってしまう理由
大変だと感じつつ高齢者が孫育てやそれに関わる消費を担ってしまう理由は、時代の変化と従来の価値観とのせめぎ合い。
「子ども世代の共働き率の上昇」という時代の変化と「家族のめんどうを見るのは家族」という、高齢者の価値観がそうさせているのではないかとも考えられます。
参考:第一生命経済研究所 祖父母による子育ての手助け 祖父母による孫育て支援の実態と意識
孫ビジネスは高齢者だけでなく子ども世代へのアプローチも有効
子や孫のサポートも自らの役割と自負する高齢者は、「社会に迷惑をかけたくない」と考える人が多いようです。
自らサポートを求めるのに抵抗感がある高齢者も珍しくないため、子どもの提案でサービスを利用するケースも考えられます。
孫育てに関わるビジネスでは、子どもへのアプローチを視野に入れた戦略も検討すべきでしょう。
参考:孫世代がシニアの暮らしの相棒に、“孫オンデマンドサービス”「もっとメイト」運営が6000万円調達 子どもや孫の消費を祖父母世代が支え親の消費に子どもが助言する「つながり消費」の時代へ
3. 高齢者の孫育てサポートビジネスの事例4選
高齢者の孫育てに関わる消費が見込める事例を考えたところ
- 外食・フードデリバリー
- 高齢者と孫が一緒に楽しめる宿泊プラン
- 高齢者向けの家事支援
- 孫の教育費をふまえた高齢者のマネー相談
など、家事負担の軽減や、教育費など困りごとを解決するサービスにビジネスチャンスが見込めます。
また、必要に応じて高齢者割引などとセットで孫や子ども家族を取り込むビジネス戦略も有効でしょう。
外食やデリバリーで高齢者の家事と孫育ての負担を軽減
孫が遊びに来ると、食事の準備など高齢者の家事負担は一気に増えます。
子どもが手伝ってくれる場合もありますが、高齢者だけの生活と比べて仕事が増えるのは明らか。
高齢者の意識の調査でも、「外食」が孫育て消費の上位に入るのは、納得の結果でしょう。
子どもがフードデリバリーを利用するなど、高齢者以外からのアプローチも考えられます。
参考:日本最大級のフードデリバリーの総合モール「ごちクル」、地元で愛される洋食レストラン「ハンバーグレストランHACHI 」のお弁当を宮城エリアでデリバリー開始
高齢者割引を活用して孫と一緒に楽しむレジャープラン
高齢者の中には、旅行やレジャーの消費に積極的な人が多くいます。
孫と一緒にレジャーを楽しみながら、食事の準備などの負担を減らす方法の一つに、三世代で楽しめるレジャープランなども考えられます。
本格キャンプより体力的な負担の少ないグランピングや、三世代向けの宿泊プランなども孫育て消費が見込めます。
上げ全据え膳で孫育てができるなど、高齢者に訴求できる点も多いビジネスプランです。
参考:リゾートグランピング ドットコム 3世代の旅行におすすめのホテル・旅館・宿
孫の相手で疲れたら高齢者向けの家事代行でリフレッシュ
孫が来たら張り切ってもてなすものの、子ども家族が帰った後は、どっと疲れてしまう高齢者は多いでしょう。
孫育てで疲れた時は、家事支援など第三者のサポートを利用するのもよいものです。
シルバー人材センターや民間の家事代行サービスなど、さまざまな選択肢があります。
ニーズに応じて複数のサービスを使い分けて、上手に手を抜くことが孫育てのコツ。
ただ、「迷惑をかけてはいけない」と考える高齢者も少なくないため、「親が疲れているな…」と感じたら、子どもから利用を促す戦略も効果的でしょう。
参考:高齢者の家事支援、人気は「外出の付き添い」「配食」「ゴミ出し」。要介護でなくても利用できるサービスも。自分にあったものを探すには シニアライフサービス
どうする?孫の教育資金:高齢者向けのマネープラン
高齢者の孫育て消費で大きな金額を占めるものの一つに、「教育費」があげられます。
その一例として、大学の入学年度授業料(円)の推移を見たところ
昭和50年 国公立大学:36,000 私立大学:182,677(平均)/平成16年 国公立大学:520,800 私立大学:817,952(平均)
と大幅な値上がり。
加えて孫が大きくなれば、塾代に加えてスマホの利用料など、高齢者が子育てをしていた時代と比べて、子育てにかかる費用が増えているようです。
加えて、物価上昇や年功序列が崩れつつあることを考えると、子供が担い切れない教育費を高齢者が肩代わりする状況も考えられます。
教育費の捻出をふまえた高齢者向けのマネー相談や資産形成なども、孫育てビジネスとして有望でしょう。
参考:国立大学と私立大学の授業料等の推移 家計見直し相談 教育贈与信託
高齢者の孫育て消費を促すビジネス戦略のコツ
家族を大切に思う高齢者の中には、共働きの子どもを助けるために孫の面倒を見ている人も多いようです。
「自分がやらなくては」と思う反面、孫が帰った後でどっと疲れてしまうのが、多くの高齢者の本音でしょう。
とは言え、高齢者のキャパ―シティーを超えた状態では、孫に優しく接することはできません。
孫にイライラをぶつけて自己嫌悪になる前に、様々なサービスを利用して上手に手を抜くことが肝心です。
高齢者の孫育てに関わるビジネスでは、本人や子ども家族のリフレッシュを促すような訴求が効果的ではないかと考えられます。
4. LINEの利用が急増!高齢者と孫のコミュニケーションもDX化
少し前までは、デジタルに弱いと見られていた高齢者ですが、令和に入りスマホやインターネットの利用が急増。現在では、半数以上の高齢者がスマホを利用しています。
子どもとLINEやメールで孫の送り迎えの連絡を取り合う高齢者も多いようです。
高齢者が孫育てで教えられるデジタルツールの使い方
「子育ては親も育てられる」という話を聞きますが、それは孫育てにも当てはまります。
人生経験を経た高齢者だからこそ教えられることがある一方、デジタルツールの使い方を孫から教わるケースも多いようです。
LINEやSNSの使い方を教わったことをきっかけに、孫とスマホでやり取りを始める高齢者も増えているのでしょう。
高齢者向けのデジタルツールや通信サービスなども、孫育てがきっかけで消費につながる可能性が考えられます。
加えて以下の記事では、シニアのデジタル利用をより詳しく解説。孫消費のビジネスプランを考えるうえでも参考になりますので、ぜひご一読ください。
5. 高齢者の孫消費もビジネス戦略にデジタル活用は外せない
孫育てに関わる高齢者の中には、消費に意欲的でデジタルにも抵抗感の少ない「アクティブシニア」と呼ばれる人が少なくありません。
新しい高齢者像とも言える彼らにアプローチする手段は、テレビCMも有効ですがデジタル広告も効果的です。
テレビCMと比べて安価で狙ったターゲットにアプローチできるため、デジタル広告はコストパフォーマンスが高い手法でもあります。
孫育ての相談も…高齢者向けSNSの可能性とビジネス活用
孫育てについては、高齢者が子育てをしていた時代の常識が変わっているケースも見受けられます。
子ども世代の教育方針と高齢者の知見がかみ合わず、孫育てで戸惑う人も少なくありません。
そのような孫育ての悩みを同世代で話し合うのも、高齢者のストレス解消になるでしょう。
「おしるこ」はシニアの方々が共通の話題や趣味をもとに新たなつながりを見つけ、楽しむことを目指したSNS。
日記投稿や仲間検索をはじめ、全国のお取り寄せグルメやトレンド商品など高齢者向けのサービスが充実しています。
会員登録で本人確認の書類提出を義務付けているため、コミュニティとしての安全性も確保。
高齢者の孫消費ビジネスにおいても、「おしるこ」のコミュニティを活用したアプローチは効果が見込めます。
シニア向けのSNSマーケティングについては、以下の記事もご参照ください。
6. まとめ
「孫が生きがい」と感じる高齢者は、今も昔も多いのではないでしょうか。
共働き家庭の増加とともに孫育てに関わる高齢者が増えているため、シニアの消費行動にも影響が表れているようです。
かわいいと思っていても、毎日のように孫の面倒を見るのは、高齢者にとって負担が大きいのも事実。
孫育ての負担を軽減するような商品やサービスに、ビジネスの可能性が考えられます。
加えて、子ども世代の給料が上がりづらいにもかかわらず、教育費が上がり続けている状況を考えると、高齢者の教育費負担を見据えたマネープランなども需要が見込まれます。
また、デジタルに縁遠いと言われていた高齢者も、孫育てを通じてLINEやメールの使い方を教わるケースが多いようです。
孫ビジネスにおいても、デジタルを活用したマーケティング戦略が欠かせないものとなっています。
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