シニア世代の理想の一人暮らしとは?マーケティングに活かしたいシニア世代の価値観
高齢化と核家族化が進んだことにより、課題となってきたのがシニア世代の一人暮らしの増加です。健康や経済的な理由から、不安を抱えながらも、家族に頼らず自立して生活したいという思いから一人暮らしを選択するシニア世代も少なくありません。また、その家族も、離れて暮らす高齢の親を心配していながらも、本人の意思や家族の状況により、同居を選択することが最適でないと考える人もいるでしょう。
一人暮らしをするシニア世代やその家族は、どのように暮らし、どのような支援を必要としているのでしょうか。
この記事では、高齢者の一人暮らしを取り巻く社会について考え、一人暮らしを希望するシニア世代がどのような生活を望んでいるのか、また彼らの望む生活を提供するにはどのようなアプローチが必要なのか、考えていきます。
目次
1.一人暮らしの高齢者の割合と社会状況

内閣府が出している「令和5年版高齢社会白書」から、一人暮らしをする高齢者の割合を見てみましょう。
令和2年の時点で、一人暮らしをする高齢者の割合は、男性が15.0%、女性が22.1%となっています。高齢者の2割弱が一人暮らしをしていると考えると、その割合の高さが伺えます。
また、資料によると、今後も一人暮らしをする高齢者の割合は増え続けると予測されており、2040年には男女ともに一人暮らしの高齢者の割合が20%を超えてくるといいます。(参考:令和5年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)3 家族と世帯)
少子高齢化が急進し続けている日本で、不安や課題があったとしても、一人暮らしを選択する高齢者が今後増えていくことは容易に想像できます。我が子に頼らず自力で生活したい、という人から、頼りたくても頼るべき人がいない、という人など、その理由は多岐に渡るでしょう。
しかし、高齢者の一人暮らし、と耳にすると、何となく不安や心配な気持ちが浮かんできますよね。では、高齢者やその家族にとって、一人暮らしをするうえで、具体的にどのような不安、課題を抱えているのでしょうか。
2.一人暮らしの高齢者とその家族が抱える課題

一人暮らしをする高齢者が抱える不安・課題とはどのようなものなのでしょうか。
高齢者の一人暮らしに関する課題は、大きく次の3つが挙げられます。
①病気や怪我など、健康の心配
年齢を重ねると、何かしらの疾病を抱えたり、怪我をするリスクが上がったりする傾向にあります。例えば、身体機能が低下している高齢者が、高いところに置いてある物を取ろうとした際、足を滑らせてしまい怪我をする、というシーンは容易に想像できますよね。
怪我をしたり、体調を崩した際に、近くに頼れる人がいないと、病院に行くのも一苦労。そのうえ、身体的な不自由さを抱えながら、身の回りのことを全て自分一人でしなければならないということは、大きな負担になりえます。
加えて、日常的に一緒に過ごす人がいないことにより、認知症等の病気の発見が遅れる可能性も考えられます。普段一緒に過ごしていれば、本人のちょっとした変化に気づくことができる可能性もありますが、離れて暮らしていると、ある程度症状が進行してからの発見になってしまうことも考えられます。
②経済的な不安
高齢者の一人暮らしの課題として、経済的な不安も挙げられます。現役世代ほど労働時間が長くなく、その分収入が減った、という高齢者もいるでしょう。年金等で月の生活費が十分であったとしても、体調の変化によって働く時間が短くなったり、必要なモノ・サービスが増え出費がかさむ可能性もあります。
例えば、これまで暮らしてきた家が、老後一人暮らしをするには修繕やリフォームが必要な場合、修繕費がかかってきます。それだけでなく、トイレや浴室、キッチンの水回りの修繕が必要になったり、長く使ってきた家電が故障することもあるでしょう。
一人で生活するのに十分な収入があったとしても、予想外の出費が重なることを考えると、ある程度経済的な余裕が求められます。
➂社会との繋がり
勤めてきた会社を定年退職し、外出する機会が減った結果、家の外での人との関わりが減り、社会から孤立してしまうことが懸念されます。
趣味の習い事などで友人と会う機会が定期的にある高齢者もいますが、身体の不自由さや体調の変化を感じ、外に出ることが億劫になってしまうこともあるでしょう。また、これまで趣味は特になく、職場と家の往復ばかりだった、という人もいるかもしれません。
職場に行く、という外出の機会を失ったことにより、社会との繋がりが薄くなり、孤立してしまう可能性が考えられます。
社会との繋がりが希薄になると、犯罪等に巻き込まれやすくなるのもリスクの1つです。高齢者をターゲットにした悪質商法や振り込め詐欺はイメージしやすいかと思いますが、それだけでなく、強盗や殺人に巻き込まれるケースもあり、注意が必要です。
近所づきあいや定期的に会う人がいれば、違和感に気付いてもらえたり、心配事を相談しやすいのですが、コミュニティづくりをどのように行っていくかが1つの課題となっています。
参考:UR都市機構|高齢者の一人暮らしにひそむリスクとは?かかる生活費や物件の探し方も解説|2023.8.24
3.シニアが憧れる理想の一人暮らしとは?

様々な不安がありながらも、一人暮らしをする高齢者が増えた今、自身の一人暮らしをSNS等で発信し注目を集めるシニア世代もいます。
YouTubeやInstagram等で一人での生活の様子や、暮らしのこだわりを配信することで、同じ世代のシニアの共感を得たり、少し年齢層の低いシニア世代から憧れの的となったりと、今注目のシニアインフルエンサーです。
投稿には、お部屋紹介や料理動画、日常の1コマなど生活の1部がシェアされています。コメント欄には、「老後はこんなふうに過ごしたい」「こんなアイデアは今まで知らなかった!」「私もまだまだ頑張らねば」と、その生活に憧れたり、背中を押されたという声が寄せられています。
動画の視聴者が注目しているのは、シニアインフルエンサーの暮らしぶりです。投稿からは、長年の暮らしの知恵や、その中で集めてきたインテリア、料理のコツ、趣味など、投稿者の人生を垣間見ることができます。その生活に派手さはなかったとしても、日常の小さな喜びに目を向け、毎日を楽しむ暮らしぶりなのです。視聴者はその動画を見て、「自分も趣味や好きなもの、自分なりのこだわりを持った暮らしをしたい」と感じているようです。
参考(転載):多良美智子著『88歳ひとり暮らしの 元気をつくる台所』
シニア世代の一人暮らしに対する価値観は、豪華な生活を望む、というよりも、日常を楽しむ、これまで送ってきた生活の中で、心の豊かさや充実を求める、という傾向にあるようです。
シニアマーケティングをする上で、シニアの価値観を捉えることは、商品・サービスや広告の方向性を定める上で重要となるポイントの1つです。SNSの投稿やそのコメント欄は、シニアの価値観を捉えるためのヒントになり得るといえるでしょう。
価値観にはポジティブなものもあれば、ネガティブなものもあります。
ポジティブな価値観とは、先に紹介したように、憧れるものや、理想とするもので、趣味などの日常を楽しむ場面で持たれるものです。
また、ネガティブな価値観とは、高齢者の一人暮らしで感じる不安のように、日常生活の中で不自由さや不便さを感じる場面での感情や考え方、その場面への対処法だといえるでしょう。
ポジティブな価値観、ネガティブな価値観、どちらも、捉えるにはシニア世代の生の声を聴く必要があります。シニア世代の生の声を聴くには、アンケートや調査などの方法がありますが、SNSも活用できる1つのツールです。
4.シニアの声を聴くには「おしるこ」の活用を!
SNSは、マーケティング分析をするうえでヒントになる情報が多く含まれています。そのため、シニアマーケティングをするために、シニア向けのSNSを活用することは有効だといえるでしょう。
50歳以上限定のSNSがあることをご存じですか?
「おしるこ」とは、50歳以上のシニア限定のSNSです。「おしるこ」では、ユーザーが日記機能で日常をシェアするなど、シニアのオンラインでの交流の場となっています。シニア世代の間でどのようなことが流行しており、その流行している事柄についてどのような価値観を持っているのか知ることができますよ。
また、開発した商品・サービスをシニアがお試ししやすいシステムもあり、シニア向けの商品を実際に体験してもらうことができます。
広告媒体としても活用でき、商品PRの動画やコラムを掲載することもできますよ。
「シニアのインサイトを知りたい」「シニアへのアプローチは難しい」と課題をお持ちの方へ、有効なシニア向けSNSがあります。詳しくは以下をダウンロードしてみてください。