シニアが「欲しいものランキング」から見るシニアの世界での流行と買い物事情とは?
いくつになっても、もらって嬉しい「贈り物」。
贈る相手がシニア世代であれば、誕生日だけでなく敬老の日などにも周囲から贈り物を贈る機会がありますね。
しかし、シニア世代がどんなものを欲しいと思っているのか「分からない」と感じている人も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、シニア世代が欲しいと思うものを検証し、ランキング形式でお届けします。
シニア世代の特徴や傾向を理解し、シニアが欲しいと思うものを知ると、シニアが日常生活の中で何を求めているのかが分かるでしょう。
目次
1. シニア世代の欲しいと思うものは何?
一般的に「シニア世代」というと、65歳以上の高齢者を中心とした世代を指しますが、そんなシニア世代は今どんなものを「欲しい」と思っているのでしょうか?
若い頃と比べると、趣味や嗜好も変わり、それに合わせて意欲も関心ごとも変化した「シニア世代」となった今、改めてシニア世代の特徴や傾向を理解することが必要です。
今のシニア世代の特徴や関心ごとはどんなものなのでしょうか?
シニア世代の特徴
シニア世代にはさまざまな特徴がありますが、大きく分けて以下の4つに分類することができます。
- アクティブシニア…健康で意欲に溢れている、お金と時間に余裕のあるシニア
- ディフェンシブシニア…自由で活動に意欲はあるが、消費には消極的なシニア
- ギャップシニア…健康状態や将来に不安を抱えているシニア
- ケアシニア…介護や医療を必要とする、要介護状態にあるシニア
参照:シニアマーケティング研究所「シニアって誰?~図1シニアの市場セグメントと人口ボリューム」
高齢者全体の人口が3626万人いる中で、アクティブシニアが25.2%、ディフェンシブシニアが31.7%いる計算となっています。
つまり、健康状態がひとまず安定しているシニア世代は、65歳以上の高齢者の約半数ということになるのです。
これがどういうことかを考えていくと、何らかの活動に時間を費やす余裕があるシニアが半数の1800万人ほどいる中で、消費に積極的な「アクティブシニア」は1000万人に満たないということになります。
このことを理解しておくと、全シニア世代の中でどのくらいの人々が、何かを「欲しい」という購買意欲が強いということが分かるのです。
シニア世代の流行や関心ごとの傾向
シニア世代に限ったことではありませんが、人は「職業や役割」「情熱を注げるもの」「使命」「天職」という4つの要素があることで「生きがい」を感じます。
つまり、シニア世代の思考の傾向を探るためには、どんなことに関心を持ち、意欲を感じ、何を好むのかを知ることが重要です。
今のシニア世代は、どんなことに意欲や関心を持っているのでしょうか。
また、今シニア世代で流行していることやお金の使い方についても解説していきます。
意欲・関心ごと
シニア世代は、年齢的にも仕事を引退(リタイア)した人が多い世代ですが、意外とシニア世代の方が「働く」ことに対して意欲があるといわれています。
内閣府が行った意識調査によると、60歳以上の人に「今後収入を伴う仕事を続けたいか?」を尋ねたところ、他国に比べて日本は40.2%と最も高い結果が見られました。
参照:令和3年版・高齢社会白書「図1-3-3今後の就労意欲」
また、その理由として最も多かったのは「収入が欲しいから」というものであり、年金制度が厳しい状況にある日本では、まだまだ「元気なうちは働いて収入を得たい」と考えるシニアが多いのが現状のようです。
参照:令和3年版高齢社会白書「図1-3-4就労の継続を希望する主な理由」
更に、今のシニアがどんなことに関心を持っているのかを調べてみると、某生命保険会社のアンケート調査の結果から、以下のことが分かりました。
シニア世代が特に関心を持っていることの1位は「健康」、次いで「旅行」「お金や財産」「グルメ」と続きます。
参照:ソニー生命保険「シニアの生活意識調査2016/図1現在関心があること」
これらの結果を見ると、今のシニア世代は「健康」に強い関心を持っていることは当然ですが「旅行」や「グルメ」などといった楽しみについても関心を持っているようです。
流行
一般的な流行だけでなく、シニア世代独自で流行している物事があれば、それについても知っておくと「シニア世代が欲しいもの」をいち早くキャッチすることができます。
とあるシニア向けコラムの企画より「シニア向け雑誌に掲載される特集から、シニア(特に女性)のトレンドを探る」というものがありました。
それによると、今のシニア世代は「楽しく」「軽やかに」「健やかに」そして「変化を恐れず」生きることに直結することをトレンド=流行とする傾向があります。
参照:ジェイアール東日本企画「【シニアトレンド】雑誌の特集から読み解く4つのキーワード」
先ほどの「意欲・関心ごと」の項目にもあるように、健康維持や楽しみに関することがシニアの世界でもトレンドとなっていますし、旅行などアクティブなことにもトレンドがあることが分かります。
好み
シニア世代になると、それまでの自分の好みとは変化する場合もありますが、比較的以前から好みだったことをそのまま趣味として楽しむ人は少なくありません。
ただ、シニア世代は他の現役世代と比べると時間に余裕があるので、趣味や余暇活動に費やせる時間も長いのが特徴です。
シニアの趣味ランキングを見てみると、1位は「読書」で2位は「映画鑑賞」となっており、時間を費やすものを好む傾向が見られます。
お金の使い方
お金の使い方についても「好み」の項目と同様で、シニア世代は自分のために使えるお金にも余裕があります。
ただし、自分のことよりも「孫」や家族に対してお金を費やす傾向にあり、ソニー生命保険の意識調査を見ても、孫のために使った金額は「5万~10万未満」と、決して少ない額ではない金額が最も多く、平均額は108,134円となっています。
参照:ソニー生命保険「シニアの生活意識調査2023/図6この一年間で孫に使った金額」
こうしたシニア世代の好みや趣味、お金の使い方に関する更に詳しい内容は、下記のページに掲載されていますから一度ご覧ください。
2. シニアの欲しいものランキング
今のシニア世代の特徴や、シニアの好みや趣味、お金の使い方、意欲や関心ごとを詳しく見ていくと、少しずつ「シニアの欲しいもの」が理解できるのではないでしょうか。
そこでここからは、今のシニアの欲しいものをランキング形式でご紹介します。
年齢別や男女別でのランキングをご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
年齢別ランキング
シニア世代を60代・70代・80代とに分けて「欲しいものランキング」をそれぞれ3位までご紹介します。
60代ランキング
60代の人が欲しいものランキングの1位は「食器類」、2位は「メッセージギフト」、3位は「花・フラワーギフト」となっています。
60代最初のお祝いは「還暦」ですが、還暦の頃は夫婦2人ともお元気なので、揃って使えるタンブラーや箸などに人気が集まるようです。
また、4位以下には「ファッション・アクセサリー雑貨」などもあり、60歳を過ぎてもオシャレを楽しみたいという気持ちがあるのが特徴といえます。
メッセージギフトは、似顔絵やポエム入りの額などをお祝いで贈ることがあり、シニア側が求めて贈られるというよりは、周囲から記念に贈られる場合が多いようです。
参照:【2024年】60歳の人が喜ぶプレゼント人気ランキング11選
70代ランキング
70歳は「古稀」、77歳は「喜寿」と、お祝い事も増える70代ですが、70代のランキング1位は「メッセージグッズ」、2位は「グルメギフト」、3位は「花・フラワーギフト」となっています。
特に注目したいのは「グルメギフト」がランキング上位にあることです。
シニア世代の関心ごととして「グルメ」はとても関心が高いものとされています。
そのため、何か贈ってもらえるなら「おいしいものを…」となっても、不思議はないのかも知れません。
参照:【2024年】70歳の人が喜ぶプレゼント人気ランキング11選
80代ランキング
80歳を過ぎると、徐々に外出が減ってきますが、それでも80歳の傘寿や、88歳の米寿など、周囲に長寿を祝ってもらう機会も多い80代。
欲しいものランキングの1位は「傘」、2位は「祝い酒・ドリンク」、3位は「メッセージギフト」となっていました。
1位の「傘」については、80歳のお祝いを「傘寿」と呼ぶことから贈られることが多いのだと考えられます。
他は「祝い酒・ドリンク」と「メッセージギフト」となっており、年齢が上がるにつれて長い人生をゆっくりと振り返りながら自宅で楽しめる品物にシフトしていくのだろうということが推察できます。
参照:【2024年】80歳をお祝いするプレゼント人気ランキングトップ10
男女別ランキング
年齢別ランキングの内容も大変興味深いものでしたが、この「シニア欲しいものランキング」を男女別に見ると、どのような結果になるのでしょうか?
男性ランキング
年齢にもよりますが、60代~80代の男性シニアの欲しいものランキングを確認してみた結果、1位は「グラス・タンブラー」、2位は「ファッション小物」、3位は「日用雑貨」という結果になりました。
やはり男性は、大好きなお酒に関連するものを贈られるのが嬉しいようですね。
その証拠に、ランキング4位には「お酒」が入ってきており、おしゃれなグラスやタンブラーなどとちょっといいお酒を贈るというのが男性には喜ばれているようです。
参照:【2024年】60代の男性が喜ぶプレゼント人気ランキング10選
女性ランキング
シニア女性の欲しいものランキングを見てみると、男性とはまた違った結果となっています。
1位は「ファッション小物」、2位は「花・フラワーギフト」、3位は「スイーツ・お菓子」となっています。
女性は、いくつになってもおしゃれをしたいし、見た目や身だしなみを気にするというところがランキングに現れているのが、とても興味深いですね。
参照:【2024年】70代女性への誕生日プレゼント人気ランキングTOP8
3. シニア世代の買い物事情
シニア世代がどんなものを欲しがっているのかが分かる「欲しいものランキング」を見ていくと、シニア向けの商品を取り扱っている会社などはどんな商品に人気があるのかを知ることができますし、シニア世代にとっても欲しい商品や流行のアイテムなどを知ることができます。
では実際のところ、今のシニア世代の買い物事情はどのようになっているのでしょうか?
消費行動の特徴や、どんなところで商品を探しているのかなどについて解説していきます。
シニア世代の消費行動の特徴
広告やテレビCMを見て「欲しいもの」を探し、スーパーやデパートへ自ら赴いて買い物をする…といった昔のシニアとは異なり、今のシニア世代はインターネットを駆使してネットショッピングなどを利用したり、ネットオークションを活用して不用品を売買することも珍しくありません。
こうした今のシニア世代の消費行動には、どのような特徴があるのでしょうか?
消費は少なめ
時間にもお金にも余裕があり、健康な老後を過ごしている「アクティブシニア」と呼ばれる人々を通してみても、シニア世代の消費は現役世代に比べると多くはありません。
その理由は、やはり「所得の低下」によるところが大きいと考えられます。
内閣府発行の「高齢社会白書」によると、高齢者のみの世帯の所得は332.9万円であるのに対し、その他の世帯の所得は689.5万円と、約半額の差があることが分かります。
参照:令和3年版・高齢社会白書「高齢期の暮らしの動向/表1-2-1-2高齢者世帯の所得」
つまり、欲しいものがあっても衝動買いのような買い物の仕方をするほどの余裕はないということなのです。
シニア世代の消費行動は、欲しいものと所得状況を比べた上での熟慮の結果だといえます。
孫への消費は多め
そのように「消費は少なめ」なところがある一方で、シニア世代にとって消費の「泣き所」となるのが「孫」の存在です。
「孫は目の中に入れても痛くないほど可愛い」というように、孫のためなら10万円という大金も使ってしまうほど、シニア世代の孫への消費は多いのです。
つまり、実際はシニアが使うわけではない商品でも、孫世代に人気のある商品であればシニア世代がターゲットとなり得る商品だと言えます。
健康と趣味には投資
また、シニア世代は「健康維持」と「楽しみ=趣味」に関心を持っており、そこに対する購買意欲を持っているため、健康に関することと趣味に関わることについては投資を惜しまない傾向にあります。
特に趣味については、他の品目に対する消費支出は物価高の影響もあって軒並み減少しているのに対し、「教育娯楽」の項目は実質3.4%の増加となっています。
更に、コロナ禍が過ぎたことで外出の機会が増えたことから「交通・通信」と「被服及び履物」の項目でも増加が見られ、こういった点に焦点を当ててシニア向けの商品を企画しても良いのではないかと考えられます。
参照:参照:令和5年版・総務省家計調査報告「家計収支の概況/(2)解説文より」
シニア世代の心に訴えるには?
このような調査結果を踏まえた上で、シニア世代の心に「欲しい!」という感情を呼び起こすにはどのようなアプローチをしていけばいいのでしょうか?
シニア世代の心に訴える=訴求を効率的に行っていくには、消費行動の特徴をよく理解し、それをターゲットであるシニア世代の目に留まる手法を考えなくてはいけません。
上記で解説した総務省の調査結果にあるように、今のシニア世代は「通信=インターネット」をしっかり使いこなしていることに着目し、SNSでの交流やSNS広告などによって訴えかけることが効果的です。
特に、シニア世代向けのSNSは意外と多く存在していますから、そうしたものを活用してシニア世代の心に訴えかけるアプローチを検討していくと良いでしょう。
このような、シニア世代の消費行動からつなげるアプローチ方法については下記のページに更に詳しい内容が掲載されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
4. まとめ
今回の記事では「シニアの欲しいものランキング」から、今のシニア世代のなかで流行している物事や関心ごとを探り、その買い物事情や消費行動の特徴から「シニア世代の心に訴える方法とは何か」を検討し、解説してきました。
私たちが思っている以上に、現代を生きる今のシニア世代は趣味などに惜しみなく投資をしています。
また、SNSなどを利用して同じ趣味の仲間を作ったりするなど「アクティブシニア」と呼ばれる人たちは特に積極的な活動をしていますから、そこを活用してみてはいかがでしょうか。
実際に欲しいものランキングで挙がった商品はもちろん、シニア向けSNSなどから情報を集めてみても良いですね。
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