トキ消費とは?シニアの消費を引き出すポイント
「トキ消費」とは「今そこでしか体験できないトキ」を楽しむことに重きを置く消費行動です。
世の中の人々の消費行動は常に変化しており、トキ消費の意味を正しく把握していないという方も多いかもしれません。
この記事では、トキ消費とはなにか、他の消費行動との違い、シニアマーケティングにおいてトキ消費に注目するべき理由などをご紹介します。
目次
1.トキ消費とは?
「トキ消費」とは、今だけ・ここだけでしかできない体験や経験に重きを置く消費行動を指します。
2017年に、博報堂生活総合研究所が提唱したことで広まった概念です。
トキ消費は、下記の3点の性質があるとされています。
- 非再現性:時間・場所の制限があり、同様のものは二度と味わえない
- 参加性:不特定多数の人々と、同様の体験・経験を共有する
- 貢献性:自身が盛り上がりに寄与していると実感できる
たとえば、歌手のコンサートはトキ消費の代表的な例です。
歌手のコンサートでは、別日でも同様の曲を歌うことはあるものの、全く同じパフォーマンスはないという「非再現性」があります。
コンサートへは、基本的にその歌手が好きなファンが参加していて、他のファンと同様の体験を共有する「参加性」があります。
さらに、観客が場を盛り上げる「貢献性」も実感できるため、歌手のコンサートは典型的なトキ消費といえるのです。
トキ消費は、今だけ・ここだけの「トキ」そのものに価値を感じて楽しむという消費行動です。
2.他の消費行動との違い
最近では「〇〇消費」という言葉が複数存在します。
違いを明確に把握していないという方も多いかもしれません。
比較して語られることの多い「コト消費」「モノ消費」「イミ消費」とトキ消費の違いを解説します。
コト消費
「コト消費」は「体験消費」とも呼ばれます。
消費することで得られる体験を感じることに重きを置く消費行動です。
たとえば、習い事をしたり遊園地のアトラクションに乗ったりするのはコト消費です。
トキ消費と似ていますが「非再現性」があるかどうかが違いとされています。
コト消費では、同様の体験・経験を何度もできますが、トキ消費は唯一無二の体験をすることに重きを置く点が異なります。
モノ消費
「モノ消費」とは、モノを所有することや消費することに重きを置く消費行動です。
たとえば「ブランド物が欲しい」「車が欲しい」といった欲求を満たす消費行動は、モノ消費に分類されます。
トキ消費は目に見えない体験・経験を重視する一方で、モノ消費は目に見えるモノに価値を置くという違いがあります。
イミ消費
「イミ消費」とは、商品・サービスに付随する「社会的・文化的な価値」に共感し、その商品・サービスを選択する消費行動です。
たとえば、ふるさと納税で地域貢献したり、フェアトレード商品を購入したりするのは、イミ消費に分類されます。
消費の対価として、満足感や貢献感を得られることがイミ消費のポイントです。
貢献感を感じるという点は、トキ消費と類似しているといえます。
3.トキ消費が増えた理由
トキ消費が増えた理由には、インターネットやSNSの普及により、モノや体験に既視感が生まれたことがあると考えられます。
現代社会には、技術の発展により高品質で便利なモノがあふれています。
誰でも同様のモノを所有する事ができるようになり、モノを所有する価値が薄くなりました。
そして、SNSでユーザーが自身の所有物や体験を発信するようになり、モノや体験に既視感が生まれるようになりました。
結果、再現性のある体験に対する興味が薄れ、既視感のない特別な体験に重きを置くトキ消費が増えるようになったのです。
4.トキ消費の具体例
トキ消費の理解を深めていただくために、具体例をいくつかご紹介します。
たとえば、若者に流行している「渋谷のハロウィン」が例としてあげられます。
仮装した若者が渋谷にこぞって集まるハロウィンイベントは、非再現性・参加性・貢献性がそろったトキ消費の典型です。
また、サッカーのワールドカップ観戦も、同様の趣味を持つ人が集まり選手を応援する体験を楽しむトキ消費に当たります。
その他にも、下記のようなものがトキ消費に当てはまります。
- 観客も一緒に歌ったり踊ったりして場を盛り上げる「フェス」
- 声出しや手拍子をしながら映画を鑑賞する「映画の応援上映」
- 好きなアイドルに投票して盛り上げる「アイドル総選挙」
例をみると、若者が中心の消費行動のようにみえるでしょう。
しかし近年、シニア世代もモノに対する消費意欲が薄れ、トキ消費を行う傾向があります。
次章では、シニア世代のトキ消費について詳しくご紹介します。
5.シニアマーケティングにおいてトキ消費に注目すべき訳
シニア世代は自由に使える時間を多く持っており、体験・経験にお金をかけている傾向があります。
公益財団法人長寿科学振興財団によると、年代別の人が持つ余暇時間は下図の通りです。
ここで示されている1次活動・2次活動・3次活動(余暇時間)の定義は下記の通りです。
- 1次活動:生活に必須な食事や睡眠、身の回りの用事などの基本的な活動
- 2次活動:仕事や家事などの労働
- 3次活動(余暇時間):1次活動と2次活動以外で自由に使える時間
上記の表を見ると、余暇時間は年齢層が上がるほど増えることがわかります。
定年退職で仕事が減る65歳以上は、1日の中の約3分の1を余暇時間が占めています。
トキ消費を行うには、決まった時間に決まった場所に行く必要がありますが、そのための活動時間をシニア世代は持っているということです。
実際に、シニア世代が何にお金をかけているのかを見てみます。消費者庁の令和5年版消費者白書では、65歳以上のシニア世代が「現在意識的にお金をかけているもの」に関する調査結果が公表されています。
「医療」や「こどもや孫に関する費用」といったシニア世代ならではの消費が目立ちますが、住まいや車といったモノ消費は少なく、食べること・旅行・交際といった、体験・経験にもお金をかけていることがわかります。
シニア世代はトキ消費をするための時間を十分に持っており、実際に体験・経験にお金をかけている傾向があります。
シニア世代の消費を引き出すためには、いかに充実感のあるトキを過ごせるかを訴求するのが有効といえるでしょう。
6.まとめ
さまざまな消費行動がある中で、インターネットやSNSの普及により近年「トキ消費」が注目されています。
モノを所有することや再現性のある体験に対する人々の興味は薄れて、その場所その日にしか体験・経験できない「トキ」そのものに重きを置く「トキ消費」が増えました。
シニア世代は自由にできる時間を多く持っており、実際に体験・経験にお金をかけている傾向があります。
今後、シニア世代の消費を引き出すポイントとなるのは、提供する商品・サービスでいかに充実感のあるトキを過ごせるかを訴求するのが重要になるのではないでしょうか。
シニア世代をターゲットにしたマーケティング活動を行うに当たって、シニアの消費行動を捉えることは大切です。
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