シニアと子どもの双方が嬉しい二世帯住宅を実現するために、営業担当者が注意を払うべきポイントは?
シニアとその子どもの同居に適した「二世帯住宅」は、親世帯と子世帯の助け合いがしやすいというメリットがあります。また、工事費用が単世帯住宅よりも大きくなる傾向にあるので、住宅メーカーとしても受注につなげたいところです。
二世帯住宅には、プライバシーの確保が難しいといったデメリットもあり、お客様への配慮が必要になります。二世帯住宅のメリットやデメリット、成功のためのカギを把握して、お客様に喜ばれる二世帯住宅の提案を目指してください。
目次
1.シニアの住み替えは二世帯住宅が選択肢の1つに
一般的にシニアは、現役世代と比べて収入が少ない傾向にあると考えられます。それに加えて、将来的に介護施設へ入居したり、病気になって治療費が必要になったりする可能性を考えると、支出は抑えたくなるものです。そこで暮らしを「ダウンサイジング」することが重要になります。
シニアが行うダウンサイジングとは、例えば生命保険の契約を見直すこと、マイカーを手放すことなどがあげられます。
そして住居もダウンサイジングの対象になります。子育てを終えたシニアの夫婦が、それまで子どもと共に過ごしてきた広い家に住み続ける必要はありません。賃貸住宅で暮らしているのなら、2人で住むのに十分な広さのアパートやマンションに引っ越し、家賃を削減するという方法が考えられるでしょう。
持ち家の場合は、売却して小さい家に住み替えることで、不必要に高い固定資産税や維持費などを支払わなくて済みます。
他には、家をリフォームするというパターンも考えられます。リフォームの形態については、バリアフリー化や、2階建ての家を平屋にするなども考えられますが、他に選択肢の1つとなるのが「二世帯住宅」へのリフォームです。1階を親世帯、2階を子世帯の住居にすることで、それぞれの住まいがコンパクトになり、親世帯の費用負担が下がります。シニアの「生活にかかる費用を抑えたい」というニーズは、二世帯住宅を売り込むビジネスチャンスになりうるのです。
また、子世帯の方から親世帯との同居を希望する場合も考えられ、その場合にも二世帯住宅という住居形態は有力な選択肢の一つとなるでしょう。
しかし、二世帯住宅には親子世帯が同居することで助け合えるといったメリットがありますが、デメリットも当然あります。二世帯住宅のメリットとデメリットを把握し、親世帯と子世帯の双方にとって嬉しい二世帯住宅の実現につなげていきましょう。
老後の生活のダウンサイジングに関しては、以下の記事を参考にしてください。
2.二世帯住宅とは?
ひとくちに二世帯住宅と言っても、構造によって3つのタイプに大別できます。それぞれの特徴を見てみましょう。
完全同居型
「完全同居型」とは、1つの住宅に親世帯と子世帯が同居する形態のことです。1つの住宅ということは、玄関は1つで、浴室やトイレやキッチン、リビングなども共用です。これまで暮らしていた単世帯住宅をリフォームする場合は、大きく変わるところがないかもしれません。当然ながら建築・リフォーム費用は安く済み、水道光熱費も抑えられます。
完全分離型
「完全分離型」とは、玄関をはじめとして全ての設備を親世帯と子世帯で分離する形態のことです。1つの建物の中に、2つの家が入っているというイメージになり、お互いのプライバシーが確保しやすくなります。しかし、家を2つ作ることに近い工事を行うことになるので、建築・リフォーム費用は高くつきます。住宅情報サイト「ホームズ」によると、目安としては単世帯住宅を建てる場合から3〜5割程度の増額となります。
参考:二世帯住宅は3種類。予算の目安とメリット・デメリットをタイプ別に紹介(ホームズ)
一部共有型
「一部共有型」は、読んで字のごとく、玄関や一部の設備を親世帯・子世帯で共用する形態のことです。どの設備を共用して、どの設備を分離するかは親子間で協議する必要があります。
3.二世帯住宅のメリット
ここでは二世帯住宅に住むことのメリットを紹介します。
親世帯の暮らしを助けられる
親世帯と子世帯が同居していることで、子世帯が親世帯を見守りやすくなります。もしも急病やケガなどがあった場合にも、対処やその後の介助などがしやすくなることがメリットです。
子世帯の子育てを支援できる
子世帯の子育てを、親世帯に助けてもらいやすいことも大きなメリットです。特に子世帯が夫婦共働きの場合、夫婦の子どもを親世帯が見守ってくれることが安心感につながります。
家を別々に建てるよりも安くなる
親世帯と子世帯が別々に2軒の家を建てるよりも、土地代、建物代や、税金といったコストを削減できます。また、設備を共用すれば水道光熱費やメンテナンスコストも、別々に住む場合よりも安くなります。
さらに、二世帯が同居する形態ならではの減税方法も存在するため、お得になる場合があります。例えば、完全分離型の二世帯住宅の場合、親世帯の居住スペースと子世帯の居住スペースについて、別々に所有権登記ができ、1つの土地に2軒の建物が建っているケースと同じような扱いになります。住宅ローン減税や、固定資産税や不動産所得税の軽減措置も、親世帯と子世帯のそれぞれの所有者に適用されるので、節税効果が高まります。
参考:情報/基本は出資比率!二世帯住宅の3つの登記方法(ゼロホーム)
4.二世帯住宅のデメリット
ここでは二世帯住宅に住むことのデメリットを紹介します。二世帯住宅の営業を成功させようとするならば、特に注意するべきポイントです。
プライバシーの確保が難しい
二世帯住宅で親世帯・子世帯が同居すると、どうしてもプライバシーの確保が難しくなります。完全分離型の住宅は比較的プライバシーが確保できますが、それでも1つの建物を共用しているため、お互いの世帯の生活音が気になってしまうという問題点があります。
生活リズムが合わないとストレスになる
例えばキッチンやダイニングを共有する場合には、食事を別々にとるのか一緒に取るのかといったように双方の生活リズムのすり合わせが必要になってきます。しかし、これがうまくかみ合わないとストレスの原因になってしまいます。
お嫁さんが一人になる時間を取りづらい
上で説明したプライバシーの確保が難しいことが主な理由になりますが、夫婦と夫側の親世帯が同居する場合に、妻(親世帯から見てお嫁さん)が同居に乗り気でない場合が見受けられます。特に妻が専業主婦の場合、プライバシーの確保が難しい住居で、義父母とずっと顔をあわせて過ごすことになり、なかなか一人の時間を持てなくなります。そのような妻の心情に寄り添わないと、二世帯住宅を建てても後悔のもとになってしまうことは避けられません。
人間関係が悪くなる可能性がある
原因はここまでに記したとおりですが、せっかく親世帯・子世帯で助け合えるはずの二世帯住宅を建てたのに、生活リズムや価値観などが合わないといった要因で、逆に家族間の人間関係が悪くなってしまう可能性があります。
5.二世帯住宅の成功事例

ここでは、二世帯住宅を建てて、親世帯・子世帯の双方の満足度が高かった事例を紹介します。
遮音性が高い家にした
既に説明したように、互いの生活音が気になってしまうことは、二世帯住宅で暮らす上での大きなストレスの要因です。逆に言えば、建物内部の遮音性を高くしたり、玄関同士を離して設置したり、大きな音が出やすい設備(例:水回り)と他方の寝室を離して設置したりすれば、二世帯住宅の快適性は大きく向上します。
生活リズムを話し合い、結果に沿った間取りとした
生活リズムが合わないことはストレスの原因となりますが、それぞれの世帯の生活リズムは、同居を始める前からある程度わかっていることです。生活リズムについて事前に話し合った上で二世帯住宅の間取りの設計に生かせば、例えば子世帯が夜遅くにリビングでテレビを見る音のせいで、親世帯が安眠できないといった事態を避けられるでしょう。
お嫁さんが一人になれる部屋を作った
完全分離型の二世帯住宅でない場合、特に子世帯の妻のプライバシーの確保が難しいことが、当人にとって深刻な問題になりかねません。たとえ小さなスペースであっても、住宅の中に専用スペースを確保して一人になれる時間を生むことが、家族間の人間関係を円滑にするためのキーポイントとなるでしょう。
6.まとめ
二世帯住宅のメリット・デメリットや、成功事例について解説してきました。二世帯住宅には、プライバシーが確保しにくいといったデメリットはあるものの、間取りの工夫や、世帯間の事前の話し合いなどによって、親世帯と子世帯の双方が満足できる住宅に近づけていくことは可能です。成功事例や注意するべき点をしっかり把握して、受注やお客様の満足度向上につなげていきましょう。
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