シニア向けフィットネス市場と業態別アプローチを調査!
年々拡大するシニア市場ですが、フィットネス業界のシニア向けサービスも、例外ではありません。大手スポーツクラブを始め、ヨガやジムなど様々な業態でシニア層へのアプローチが盛んです。
そこで、シニア向けフィットネス市場の規模や展開事例を徹底調査。シニア層のフィットネスクラブ使用者数の増加の背景や、SNSを利用した宣伝戦略にも迫ります。
また、フィットネス市場への参入を検討する上で、シニア市場全体の傾向もチェックしましょう。以下の記事では、シニア市場のターゲット属性や、効果的なマーケティングについても解説しています。
目次
1. 拡大を続けるシニア向けフィットネス市場
シニア向けフィットネス市場は年々拡大しています。コロナ禍で一時的に打撃を受けたものの、需要は右肩上がり。その背景にあるのは、シニアの健康意識の高まりとシニア向けサービスの拡充です。フィットネス業界の市場規模やシニア利用者の増加推移を、背景と共に追っていきましょう。
フィットネス業界の市場規模
2021年フィットネスクラブの売上高合計は、2500億円。経済産業省の特定サービス産業動態統計調査によると、2022年は11月までの昨年比が110%を越え好調に推移しています。
中期的な推移としては、他の業界同様コロナの影響を受けた3年間でした。世の中の健康意識の高まりから微増を続けていたフィットネス市場ですが、コロナの直撃を受けた2020年は、前年比約65%まで下落しています。入会者の減少と退会者の増加に歯止めがかからず、業界大手のコナミスポーツクラブは約15%の店舗を閉鎖。フィットネスクラブやジムの倒産は、過去10年で最多となる苦しい1年でした。
その後、予防接種の普及や東京オリンピックの開催が追い風になり、徐々に顧客の足は戻ります。afterコロナの環境や価値観に寄り添ったサービスにより、2021年以降の昨比は上昇。2024年のフィットネス市場は、コロナ前の水準(約3400億円)に戻ると予測されています。
参考:Fitness Business「フィットネス業界、徐々に業績回復へ」
フィットネス市場のシニア構成比は年々増加
フィットネス業界におけるシニア層の構成比は、年々増加の一途をたどっています。フィットネスクラブ会員の年齢別構成比の推移を追ってみましょう。60歳以上の構成比は、2006年20%から2014年30%と大幅に上昇。健康指向の高まりはもちろんのこと、60歳以上の人口構成比の上昇や、1人あたりの支出金額の高さも一因です。
総合型スポーツクラブ大手のセントラルスポーツは、「顧客の平均年齢は毎年1歳ずつ上昇」と2017年に発表。2010年代後半も、シニア層の構成比が拡大していることが分かります。
また直近の2021年には、トレーニングジム大手のRIZAPの瀬戸社長が「顧客の50%はシニア層を目指す」と意気込みを語っています。RIZAPといえばビフォーアフターのCMが有名ですが、2020年より俳優の松平健さんがイメージモデルに就任。各社のシニア層へのアプローチは、益々高まりをみせています。
シニアのフィットネス市場と健康寿命
フィットネス市場を牽引するシニア層の構成比上昇の要因は、健康指向の高まりにあります。また、介護予防の意識の普及により、健康寿命(日常生活に制限のない期間)は年々上昇。シニア層の中でも、特に市場に影響を与えるアクティブシニア層が増加しました。フィットネス市場はシニア層と良い循環をつくりながら、介護予防の考え方を取り入れた新しいサービスを拡大しています。
2. フィットネス市場のシニア向けプログラム
フィットネスクラブやジムは、実際どの様なシニア向けプログラムを展開しているのでしょうか。シニア向けサービスの切り口は、ジム・総合型スポーツクラブなど業態により様々です。代表的な例として、以下の5社のアプローチを紹介します。
RIZAP|パーソナルトーレニング市場のシニア層拡大
RIZAPは、「人生100年時代のカラダづくり」として『ライザップ シニアプログラム』を2020年より全国で展開しています。シニアの動ける体作りにコミットするプログラムとして、足腰強化と栄養管理をサポート。自立した生活が送れる期間である「健康寿命」を伸ばすポイントとして「筋肉」の機能に着目し、生涯を通して動ける身体作りを目指しています。
シニアプログラムの要となるトレーナーは、192時間にも及ぶ特別な研修を受けた専門スタッフです。シニア特有の病気や栄養学などの知識を習得し、一人一人に合わせた最適なメニューを選択。徹底したパーソナルアプローチで、筋力・体重の推移を管理しながら、健康的なシニアライフをサポートします。
コナミスポーツクラブ|シニア専用ブランド『OyZ』を展開
総合型スポーツクラブ大手のコナミは、60歳からのカラダとココロを応援するシニア専用ブランド『OyZ』を展開しています。理学療法士やフィットネストレーナーが監修した、シニア向けの運動や水泳教室を設置。足腰強化コース・脳活性化コースなど、転倒防止や認知症を予防するプログラムがメインです。
『OyZ』のもう一つの特徴は、活動の幅の広さ。自治体や介護予防事業者向けに『介護予防プログラム』の運営や、活動を支援しています。健康運動指導士・理学療法士・歯科衛生士と連携した、専門性の高いサービスです。
また、通常店舗でのシニア向けサービスとしては、60歳からの平日昼間プラン『Days』を展開しています。夕方以降に来店する学生や社会人との滞在時間を分けることで、施設の利用率を高めています。
カーブス|ご近所フィットネスで女性シニア市場を拡大
カーブスは、地域密着型の女性向けフィットネススタジオ。「プールもシャワーもないシンプルな設備」「運動とは無縁の女性を顧客にするマーケティング戦略」といった今までにないビジネスモデルを確立し、人気を集めています。
カーブスで注目したいのは、60歳という顧客の平均年齢。筋トレと有酸素運動を繰り返し、30分で効率良く全身運動できるプログラムが、シニア層に人気です。
全国で2000店舗を展開し、顧客だけではなくスタッフも女性のみに徹底。スーパーなどの商業施設と隣接するカーブスは、女性が買物などの日常生活の流れで立ち寄れる立地が魅力です。また、フィットネス事業で培ったノウハウを活かし、販売・広告などの新規事業を展開。シニア向けフィットネス市場での成功を元に、他のカテゴリーにも参入しています。
ルネサンス|介護保険摘要プログラムでシニア利用層を拡大
複合スポーツクラブ「ルネサンス」が展開するのは、シニアに特化した『元氣ジム』。介護保険制度上は、リハビリ特化型のデイサービス施設です。介護保険制度の要介護認定で「要支援1〜2」「要介護1〜5」に認定されたシニア層を対象に、リハビリに特化したジムを開設しています。
理学療法士などの機能訓練指導員による個別プログラムや、認知機能低下予防プログラムにより、シニアの自立した生活をサポート。楽しく効果的に行うグループエクササイズも取り入れながら、脳と心の健康も支援しています。
2012年にオープンした『元氣ジム』は、2019年時点で首都圏で18ヶ所まで拡大。特定のシニア層の利用に絞ったジムですが、オープン後1年以内には定員150〜200名に達するほどの人気ぶりです。開設要件が法律で定められているデイサービス事業は、スピード出店が難しいという課題はありますが、今後も成長が期待できます。
参考:「日経クロストレンド」
LIBERTYHILL CLUB|富裕シニア層のフィットネス市場を牽引
自由が丘のLIBERTYHILL CLUBは、フィットネスとカルチャーを融合したこだわりの施設です。ジム・プールをはじめ、社交ダンス・書道・茶道などのクラスも設置しています。一般的なジムやフィットネスクラブに少ないテニスやゴルフプログラムがあり、定期的に大会を開催しているのも魅力です。
また、会員向けサービスとして、パーティーやイベントなど新しい仲間と親睦を深めるイベントも開催。健康面だけでなく生活に活気を与える場を提供し、豊かなシニアライフをサポートしています。
様々なサービスを提供するリバティヒルクラブでは、アテンダントと呼ばれるスタッフがクラブライフをサポートしてくれます。そのサービスは、経済産業省創設の『おもてなし規格認証』の最高位である「★★★(紫認証)」を、毎年授与されるほどのクオリティ。スポーツクラブ業界唯一の取得で、他のフィットネス業態と差別化しています。
3. フィットネス市場のシニア向け宣伝戦略
シニア向けのマーケティングは、従来のTV・新聞媒体からSNS広告に移行しています。インターネットサービスの普及により、消費者は自分が得る情報を選択する時代。ターゲット層に直接アプローチできるSNSは、事業者にとっても消費者にとっても効率の良い情報発信源です。SNS広告の効果やシニア層への有効性への理解を深め、自社のマーケティングに活用していきましょう。
「コト軸・トキ消費」重視の現代はSNS広告が効果的
SNSを活用した奥行きのある情報は、フィットネスの広告に最適です。今、消費行動の特徴は、「モノ軸」から「コト軸・トキ消費」に益々シフトしています。例えば、ランニングマシーンで汗をかく清々しい感覚や、ヨガスタジオでストレッチする心地よい時間は、チラシの様な平面的な紙面では伝わりにくい情報。動画での疑似体験や、細やかな写真レポート配信が消費者の心を動かします。
参考:博報堂の視点「トキ消費」はどうなっていくのか
もちろんチラシ媒体も有効ですが、効果は一時的。継続的な利用にはコストもかかります。SNS広告は、ターゲット層に直接アプローチできる効率性、消費行動に繋がる情報の発信力、コスパの高さが魅力です。マーケティング時に、積極的に活用しましょう。
シニアのSNS利用は身近な距離感がポイント
フィットネスのSNS広告は、シニア層にも有効です。2022年のシニアのスマホ所有率は、「60代91%」「70代70%」と前年比+10ポイント前後伸長しました。(モバイル社会研究所調査)今回ターゲットとなるアクティブシニア層の殆どは、スマホを携帯していることがわかります。
SNSの利用状況としては、女性はLINE、男性はFacebookの利用率の高さが特徴。シニア層は、不特定多数への発信より、身の回りの家族・友人・仕事や趣味の仲間との繋がりを重視する傾向が伺えます。シニア層へのSNS広告のアプローチは、身近な距離感のサイトからの発信がポイントとなるでしょう。
4. まとめ
そんなシニア層へのSNS広告は、シニア向けSNSサービス『おしるこ』がおすすめです。『おしるこ』は、本人確認済みの50歳以上の方だけが利用できるSNSアプリ。日記機能や趣味の仲間と繋がれるグループ機能などを備えた、今注目のアプリです。
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