老後のダウンサイジングとは?新たなビジネスチャンスの可能性も
近年、関心が高まっている「老後のダウンサイジング」。
老後の生活費への不安から、暮らし方や支出の見直しを考えるシニアが増えています。
この記事では、シニアがなぜダウンサイジングを行うのか、具体的にどのような行動をとるのかをご紹介します。
老後のダウンサイジングによって生まれるビジネスの可能性を知りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. ダウンサイジングとは?
ダウンサイジングとは、直訳するとサイズ(規模)を小さくすることです。
老後のダウンサイジングの場合は、今までの暮らし方や支出を見直し、必要なものだけにすることを指します。
昨今は、年金の支給額が減り、支給される年齢も遅くなっています。
それに対して、医療費や介護費が大きくかかることが予想されるため、老後の資金の不安が大きいというシニア世代が増えていると考えられます。
2. 老後のダウンサイジングが重要な理由
総務省の「家計調査報告(家計収支編)2022年」によると、65歳以上の無職世帯の収入と支出の毎月の平均額は下記のとおりです。
【65歳以上の夫婦のみの無職世帯】
- 実収入:24万6,237円
- 可処分所得:21万4,426円
- 消費支出:23万6,696円
【65歳以上の単身無職世帯】
- 実収入:13万4,915円
- 可処分所得:12万2,559円
- 消費支出:14万3,139円
どちらの世帯も、消費支出が可処分所得を上回っています。生活費の不足分は貯蓄を切り崩して工面するケースが多いと考えられます。
しかし、介護施設への入居や病気になった際の治療費など、何らかの理由で多額の支出が発生することもあります。
そのような場合に備え、意識的に支出を減らし、暮らしをダウンサイジングすることが大切なのです。
3. シニアが行うダウンサイジング
シニアが行うダウンサイジングとは、具体的にどのようなものでしょうか。
基本的には今までの支出の無駄を減らすことになりますが、住居の住み替えや通信費削減のためのキャリア乗り換えなど、企業にとって新たなビジネスチャンスが発生することもあります。
シニアが行うダウンサイジングの具体例をご紹介します。
住まいの見直し
子どもが独立して、子ども部屋が空いたり、広いリビングが必要なくなるなど、家族構成やライフスタイルの変化により、住まいと現在の暮らしにミスマッチが発生する場合があります。
そのような場合に、住まいのダウンサイジングが検討されます。
住まいについては、賃貸か持ち家かによりダウンサイジングの方法が異なります。
賃貸の場合は、ファミリータイプの広さのマンションに住んでいる場合、夫婦二人だけで住むのに十分な広さのマンションに住み替え、月々の家賃を削減するという方法があります。
持ち家の場合「リフォーム」や「売却して住み替える」ことが検討されます。
リフォームの場合、いくつかのパターンが考えられます。
1つ目が、二世帯住宅へのリフォームです。1階を親世帯、2階を子世帯の住居にし、それぞれの住まいをコンパクトにします。
2つ目が、現在の住まいを小さくして敷地を分割し、空いたスペースにアパートなどの賃貸住宅を建てる方法です。
住まいがコンパクトになるとともに、毎月の家賃収入が見込めます。
最後に、複数階あった住宅を平屋にする方法です。年齢を重ねると階段の上り下りなどがつらくなるため、平屋のバリアフリー仕様にリフォームすることで快適に暮らすことができます。
持ち家を売却して住み替える場合は、売却した費用を資金として、新しい住居の購入費にあてます。
郊外の一戸建てから、買い物などに困らない都心のマンションに住み替えたり、高齢者住宅へ入居するなどのパターンが考えられます。
いずれにしても、その後の生活費を抑えるために、リフォームや買い替えなどの需要が発生します。
食費の見直し
食費も、ダウンサイジングで見直される支出の一つです。
食費が必要以上に多くなっている原因は、デパ地下のお惣菜を頻繁に購入している、外食が多い、スーパーで余分なものを購入しているなどが考えられます。
これらの余分な食費を削る事が必要ですが、食費を切り詰めようとするあまり、質素な食事になってしまい健康を害することになってしまっては元も子もありません。
無駄な食費を削りながら、栄養のある食事を摂るために、ミールキットや食材・お弁当の宅配サービスを利用するシニアも増えています。
高齢者と食事について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
通信費の見直し
通信費を見直すだけで、毎月1万円以上の節約になる可能性があり、こちらも積極的に見直される支出の一つです。
総務省の2022年の「家計消費状況調査」によると、スマートフォンなどの通信・通話使用料は一世帯の月額平均が1万1,380円となっています。
格安SIMの場合、月2,000円程度から利用できるプランもあり、大手キャリアから乗り換えれば年間約10万円もの節約になる可能性があります。
企業によっては、シニア向けの割引プランを提供している場合もあります。
自動車関連の支出の見直し
マイカーを持っている場合、手放すことで自動車関連の支出の節約になります。
自動車を維持するには、自動車税・定期点検費用・ガソリン代・修理費・駐車場代・車検費用・自動車保険など、さまざまな費用がかかります。
マイカーを手放す代わりに、自動車のレンタルやリース、タクシーの利用が増えることが考えられます。
保険の見直し
ライフスタイルが変化したにも関わらず、昔契約した保険にそのまま加入し続けているというケースも多くあります。
その場合は、保険の見直しが検討されます。
たとえば、子どもが独立したため手厚い死亡保障は不要になることが考えられます。
保障の内容や保険料を確認し、余分なものがあれば、必要十分なものに加入し直すことも検討されます。
接待費・娯楽費の見直し
接待費・娯楽費にもダウンサイジングの余地があります。
飲み会や冠婚葬祭など、行きたいわけではなく義理で参加しているという場合、参加を辞めることで1回数千円の節約になります。
しかし、シニアの場合、他者との交流がなくなり孤独になってしまうという可能性があります。
リアルなコミュニケーションの代わりに、SNSを利用するシニアも増えています。
NTTドコモの「モバイル社会研究所」の調査によると、2018年からの4年間でシニアのSNS利用者は倍増しています。
今後もSNSを利用するシニアは増えていくと考えられるため、シニアマーケティングにおいてSNSの活用はさらに重要となっていくでしょう。
参考:4年間で利用者倍増 シニアのSNS利用実態|モバイル社会研究所
シニアのSNS利用について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
4. 老後のダウンサイジングは50代から始まる
ダウンサイジングは、老後を見据え50代から始める方が増えています。
50代になると子どもが独立し、夫婦二人暮らしに戻るため、暮らしの見直しを考え始めることが多いようです。
また、会社員として働いていた場合、50代は人生でもっとも収入の変化が大きい時期になります。
会社で課長や部長などの役職についていた場合、一般的には55歳から57歳で「役職定年」を迎えます。
役職が解かれると基本給や手当が減り、3〜4割ほど収入が減ります。
その後、多くの方は60歳で定年を迎えます。
公的年金の支給は65歳からのため、それまでは無収入になります。
定年後に再雇用されたとしても、年収は200万円~400万円程度になることが一般的です。
50代以降も、それまでと同じ生活をしていては家計が回らなくなってしまうため、50代からダウンサイジングを始めることが重要なのです。
ダウンサイジングを行うためには、想像以上に気力や体力を使うケースがあります。
たとえば、住まいのダウンサイジングの場合、住み替え先の内覧から不要品の処分・引っ越し作業などやらなければいけないことが多くあります。
50代のうちに始めておけば、60代で定年を迎える頃には余裕を持った生活ができます。
5. まとめ
老後のダウンサイジングには、さまざまな方法があります。
支出を減らすとはいえ、単純にゼロにすることができないものも多く存在します。
ダウンサイジングを行いたいと考えているものの、何から手を付ければいいのかわからないというシニアも多いようです。
シニアの悩みを理解し、ダウンサイジングをサポートするサービスには、新たなビジネスの可能性が考えられます。
たとえば、住宅のダウンサイジングを検討しているシニアに、最適な住まいを提案するコンサルティングサービス。不用品を整理してシンプルな生活ができるようにする断捨離サービスなどを提供している企業もあります。
老後のダウンサイジングをビジネスに活かすためには、シニアのインサイトを理解し、適切なアプローチを行う必要があります。
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