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フードテックとは?シニア世代にも新しい食は受け入れられるのか
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フードテックとは?シニア世代にも新しい食は受け入れられるのか

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最新のテクノロジーを駆使し、食の新たな可能性を広げたり、食の問題を解決したりする「フードテック」が、近年注目を集めています。

この記事では、フードテックの概要やメリット・デメリット、具体的な事例をご紹介します。

フードテックで生み出される新しい食品は、シニア世代にも受け入れられるのかという点に関しても解説します。

目次

  1. フードテックとは?
  2. フードテックが注目されている背景
  3. フードテックがもたらすメリット
  4. フードテックのデメリット・課題
  5. フードテックの事例
  6. シニア世代にもフードテック食品は受け入れられる可能性がある
  7. まとめ

1. フードテックとは?

IT農業

「フードテック(FoodTech)」とは、英語の「Food」と「Technology」を組み合わせた言葉です。

一般的に、AIやIoTなどの最先端テクノロジーを駆使し、食に関する問題を解決して食の可能性を広げていく技術を指します。

外食産業・農業・食品開発・流通など、食に関わるさまざまな分野でフードテックが導入されており、今後も技術の発展が期待されています。

2. フードテックが注目されている背景

フードテックが注目されている背景には、社会情勢の変化があります。

農林水産政策研究所が発表したデータによると、世界の飲食料の市場規模は2015年の890兆円から、2030年には1,360兆円と約1.5倍になる見込みです。

飲食料市場の規模自体が大きく、今後の成長も見込まれるため、フードテックへの注目が集まっているのです。

参考:食品産業をめぐる情勢(農林水産省)

フードテックが注目されている背景には「SDGs」との深い関わりもあります。

SDGsとは、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」のことです。

SDGsの「飢餓をゼロに」「貧困をなくそう」「気候変動に具体的な対策を」などの目標達成のためにフードテックが寄与することが期待されています。

日本政府がフードテックを推進していることも、フードテックが日本で注目を集める理由の一つです。

2020年に農林水産省は「フードテック官民協議会」を立ち上げました。

国内の食に関するさまざまな技術基盤の確保、新たな技術の活用による農林水産業・食関連産業の発展、食糧の安全保障の強化などを進めることが目的とされます。

参考:新事業創出(フードテック等)(農林水産省)

このような、国内外の市場や社会の動きにより、フードテックが注目されているのです。

3. フードテックがもたらすメリット

フードテックは、食に関するさまざまな問題を解決できる可能性があります。

フードテックがもたらすと考えられているメリットを、具体的に紹介します。

食糧不足・飢餓問題を解決できる

フードテックにより、食糧不足・飢餓問題の解決が期待できます。

世界的に人口は増加傾向にあり、それにともない将来的に深刻な食糧不足が生じることが懸念されています。

特に発展途上国では、すでに食糧不足や飢餓が深刻な問題となっています。

フードテックを活用すれば、食糧を安全に長期保存できたり、安価で栄養のある食品の開発が可能になり、食糧不足・飢餓問題の解決につながると考えられています。

フードロス問題を解決できる

フードテックによるフードロス(まだ食べられる食品を廃棄すること)問題の解決も期待されています。

発展途上国では飢餓問題が起こっている一方で、先進国ではフードロスが問題になっています。

たとえば、食品の配送方法や保存方法を改善したり、食品を腐りにくく加工することで、消費期限切れなどによるフードロスを減らすことが期待できます。

食の安全性を高められる

フードテックの活用は、食中毒や異物混入・産地偽装などの食の安全性に関するトラブルを防ぐことも期待されています。

食品の腐敗や異物混入をチェックする技術が発展すれば、消費者へ安全な食品を届けることができます。

労働力不足が解決できる

フードテックによって、労働力不足の解決も期待できます。

農業や漁業・酪農など、食品の生産者は高齢化が進み労働力不足が深刻化しています。

日本では労働人口の減少により、外食産業の労働力不足も課題になっています。

農業用ロボット・調理ロボット・配膳ロボットなどを開発することで、生産・加工・調理などの業務を自動化すれば、労働力不足の解決が期待できるでしょう。

4. フードテックのデメリット・課題

フードテックビジネスの一番の課題は、膨大なコストが掛かるという点です。

技術開発のための設備費や人件費、ビジネスの運用を行う費用は、決して安いとは言えません。

そのため、資金力がある企業しかフードテックへの参入が難しいことが大きな課題となっています。

5. フードテックの事例

すでにさまざまな企業がフードテックに取り組み始めています。

具体的な事例を3つご紹介します。

フードデリバリーサービス「Uber Eats」

フードデリバリーサービスの「Uber Eats」は、すでに多くの人が利用しているフードテックサービスの一つです。

「注文するユーザー」「店舗」「配達パートナー」をマッチングさせることで、新たな購入体験を生み出しています。

デリバリー注文を一元管理でき、レジ打ちや精算の過程を省くことで、人件費の負担や労働力不足の軽減にもつながっています。

参考:Uber Eats(Uber Technologies Inc.)

植物性タンパク質素材「SOYL PRO」

株式会社ニップンは、フードテックにより肉のような弾力の植物タンパク質素材「SOYL PRO」を開発しました。

原料から製法までこだわった「SOYL PRO」は豆乳を原料としており、大豆特有の匂いが少なく、従来の大豆ミートと比べてクセのない味わいが特徴です。

「SOYL PRO」は豚ひき肉と比較し、カロリー・脂質・コレステロールが少なく、高タンパクで食物繊維やミネラル分なども摂取できるため体に優しい素材になっています。

原料の大豆は、豚肉よりも生産過程で発生する温室効果ガスが少なく、環境にやさしいのもポイントです。

参考:SOYL PRO(株式会社ニップン)

惣菜盛付ロボット「Delibot」

コネクテッドロボティクス株式会社が開発した「Delibot」は、惣菜の盛付工程の省人化や自動化を行うことができるロボットです。

2022年3月に実用化され、惣菜工場や食品工場で導入されています。

「Delibot」は、一人分程度のスペースがあれば設置可能で、4台で1時間1000食の盛り付けができ、従来7人で行っていた盛り付けの工程を3人で行えるようになりました。

単調な仕事をロボットにまかせ、より付加価値の高い仕事を人が行うかたちにシフトしていくことが期待されています。
参考:DELIBOT™(コネクテッドロボティクス株式会社)

6. シニア世代にもフードテック食品は受け入れられる可能性がある

ゼロミート

植物肉など、フードテックで生み出される新しい食品は、シニア世代にも受け入れられる可能性があります。

公益財団法人 日本食肉消費総合センターは、植物肉の認識に関して年代別の調査を行っています。

調査結果では「今後は、植物肉を購入するつもりだ」といった植物肉の購入意向の高さは、60代以上とそれ以下であまり変わらない傾向が見られます。

また「植物肉製品は気味が悪く嫌悪感を催すので、購入しない」といった植物肉に対して否定的な回答は50代以上の方が低い傾向となっています

植物肉

引用:「食肉に関する意識調査」令和3年度報告書(公益財団法人 日本食肉消費総合センター)

「シニア世代は新しいものに対して否定的なのではないか」という想像をしている方も多いかもしれませんが、植物肉に関して言えば、そのような傾向はないということです。

厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で、シニア世代はフレイル(虚弱)予防のために、タンパク質を十分に摂取することを推奨しています。

シニア世代向けの良質なタンパク源の確保は、食品自給率の低い日本にとってこれからますます社会課題となっていく可能性が高いでしょう。

フードテックで生み出される代替タンパク食品は、そのようなシニアの課題解決も期待できます。

シニア世代に対しては、健康にとっての必要性を訴求すれば、フードテックによって生み出された新しい食品に関しても受け入れられる可能性はあるのではないでしょうか。
参考:日本人の食事摂取基準(2020年版)(厚生労働省)

7. まとめ

食に関する問題を解決して食の可能性を広げていく「フードテック」は今後も発展していく可能性があります。

たとえば、シニア世代は「植物肉」に関して、否定的ではないというデータがあります。

シニア世代にもフードテック技術で開発された食品は受け入れられる可能性があるでしょう。

シニア世代が十分な栄養を確保するために、フードテック食品は重要性を増していくのではないでしょうか。

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