しらけ世代の特徴と三無主義:成功するシニアマーケティングの鍵は?
しらけ世代は「三無主義(無関心、無気力、無感動)」を特徴とし、従来のシニア層とは異なる消費行動を取る傾向があります。そのため、一般的なマーケティングアプローチでは効果が薄く、適切な戦略が見えないことも多いでしょう。
本記事では、しらけ世代の特徴や価値観を解説し、効果的なマーケティング戦略を解説します。
しらけ世代に響くアプローチを学び、シニアマーケティング活動にお役立てください。
目次
1.しらけ世代とは
しらけ世代は、1950年から1964年頃に生まれ、戦後の高度経済成長期からバブル崩壊、そして社会の急激な変化を目の当たりにした世代です。理想を追い求めた団塊世代(1947年〜1949年生まれ)とは対照的に、しらけ世代は冷めた視点で社会を見る傾向が強いとされています。またしらけ世代は、社会や政治に対する無関心さを強め、個人主義が強く表れる時期に成長したため、集団よりも自己を重視する価値観を持つようになりました。この特徴的な価値観は、「三無主義」としても知られ、無関心、無感動無希望という姿勢が象徴的です。
しらけ世代について、詳しくは下記の記事を参考にしてください。
2.しらけ世代の特徴と変容する「三無主義」
しらけ世代の価値観で最も顕著なものが「三無主義」です。この三無主義は、無関心、無気力、無感動の3つの態度に基づき、冷静かつ、静観的な立場を取ることが特徴です。この価値観は、消費行動にも大きな影響を与え、「消費」そのものが必ずしも高い理想や社会的意義に基づかないものになりました。
三無主義の消費行動
しらけ世代の消費行動は、三無主義に基づき、主に以下のような傾向が見られます。
- 受動的な消費スタイル
商品やサービスを批判的に検討することなく、提供されたものを無批判に受け入れる傾向があります。「享楽的消費」が目立ち、企業のマーケティングメッセージに反応することが少ないため、消費文化が自然と形成されることが多いです。
- 低エンゲージメント
政治や社会問題への関心の薄さが、消費行動にも影響を与えています。ブランドの理念や社会的意義よりも、手軽さや便利さが重視され、ファーストフードやコンビニといった迅速で効率的なサービスの普及を後押ししました。
- 個人主義的傾向
集団主義から距離を置き、自己の快楽や瞬間的な満足を追求する傾向があります。他人の期待や社会的な圧力、集団の一員としての役割よりも、個々の自由や選択を重視します。この個人主義の考え方は、彼らの消費行動にも反映されています。
三無主義の影響と現代への継承
三無主義はしらけ世代にとどまらず、現代社会にも継承されています。
特に、物質的な豊かさだけではなく、文化的価値や社会的配慮を重視する「第三の消費文化」が現れ、価値観の変容が進んでいます。この変化は、消費者行動やマーケティング戦略に新たな視点を与えており、消費者は「効率的」「手軽」「短期間での満足感」を重視するようになっています。さらに三無主義の影響を受けて、、現代の消費は次第に「五無主義」へと拡張しつつあります。無作法や無感動といった新たな態度が加わり、社会や企業への関心を持たない消費者が増えています。
また、コロナ禍を経て、特に、2020年以降、コロナ世代(現在の若年層)には、新たな形態の無関心が現れています。社会構造の変動や生活様式の変化が、彼らの消費行動に強く影響を与え、今後のマーケティング戦略においても、この変化を理解し対応することが求められています。
3.しらけ世代へのマーケティング戦略と成功事例
しらけ世代に対するマーケティング戦略は、その独特の価値観や消費行動を理解した上でアプローチすることが重要です。外見上は冷淡で消極的に見えるしらけ世代ですが、実際には特定の関心分野に強い愛着を持っています。そのため、ターゲットを絞り、関心に合ったコンテンツやサービスを提供することが効果的です。以下では、しらけ世代に響くマーケティング戦略と、その成功事例をご紹介します。
1.デジタル接触点の重視
しらけ世代は、インターネットやSNSを活用する機会が増えています。60代のインターネット利用率が90%に達しており、デジタルマーケティングには大きな可能性があります。特にSNSを通じて、共通の関心を持つ人々とのつながりを促進し、購買行動に結びつけることが重要です。
- ターゲティング広告の活用
リスティング広告やSNS広告を使って、年齢層や趣味・嗜好に基づいて精密にターゲティングを行い、関心のあるコンテンツを提供します。
- シニア向けコミュニティの活用
しらけ世代に向けたデジタル接点として、シニア専用のSNS(例:『おしるこ』)などのシニア向けオンラインコミュニティを活用する方法があります。同世代の共通の話題や関心を共有できる場として機能し、信頼感のある情報提供や交流が自然と購買行動につなげることが可能になります。
シニア層向けのSNS活用法は、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
2.不安解決型訴求
しらけ世代は将来の不安、特に健康や老後資金に敏感です。感情的なアプローチよりも、合理的かつ実利的な解決策を提供することが効果的です。
- 健康維持や老後の生活支援の提案
健康リスクや老後生活の不安を解消する商品やサービスを提案し、実理的なメリットを強調します。
- 信頼性のある証拠の提供
商品やサービスの効果を証明する具体的なデータや事例を示すことで、信頼感を得やすくなります。
成功事例としてはポケモンGO(株式会社ポケモン)があります。
「遊びながら運動不足を解消する」というメッセージで、しらけ世代の健康意識にアプローチしゲームを通じて自然に身体を動かす仕組みを提供し、支持されました。
詳しくは下記の記事でもご紹介していますので、参考にしてください。
3.ニッチ市場の開拓
しらけ世代は特定の分野に対して深い知識や情熱を持っていることが多く、「オタク気質」を活かしたマーケティングが効果的です。この世代に向けた専門的な商品やサービスの提案は、彼らの関心を引き、購入へとつなげやすくなります。
- 専門知識に基づく商品提案
園芸やDIY、健康管理など特定のニッチ市場をターゲットにした商品を提案し、しらけ世代の関心に合わせたコンテンツを提供します。
- 趣味や興味に特化した商品を強調
しらけ世代が関心を持つ趣味や活動に合わせたマーケティングを行い、商品の特徴や利点を具体的に訴求します。
園芸やヘルステック関連の事業は、しらけ世代に特化したサービスとして成功を収めています。
詳しくは下記の記事でご紹介していますので、参考にしてください。
4.心理的ハードルの低下
しらけ世代は、心理的な負担を感じやすいため、購入後の後悔や不安を軽減する施策が有効です。
- 簡単なキャンセル制度の提供
購入後の変更やキャンセルが簡単にできる仕組みを提供することで、消費者が心理的に安心して、行動に移しやすくなります。 - フレキシブルなサービス提供
退会や休止が容易なサービスを提供することで、継続しやすく満足度を高めることができます。
成功事例としては、女性専用フィットネスの「カーブス」があります。カーブスでは、予約不要、退会自由、月会費制で「いつでも休止可能」と明示することで、シニア女性の継続率が業界平均を上回り、顧客満足度7年連続第1位を達成しています。
参考:カーブス(https://www.curves.co.jp/)
5.オンライン/オフラインの統合
しらけ世代はオンラインとオフラインの両方を使いこなしていることから、どちらか一方に偏ることなく、両者を組み合わせたアプローチが有効です。この世代は、デジタルツールに対して不安感を抱くことがある一方で、インターネット利用も進んでおり、特に口コミやコミュニティを通じて信頼感を得ることが消費行動に大きな影響を与えます。
- LINE公式アカウントの活用
LINEなどのデジタルツールを活用して、パーソナライズされた提案を行い、オンラインとオフラインをシームレスに統合します。しらけ世代は、リアルな接点やコミュニケーションに価値を感じることが多いため、LINEを通じて定期的に情報を発信し、消費者とのつながりを深めることが効果的です。 - オフラインイベントとの連携
オフラインでのリアルな体験を提供し、その後オンラインでフォローアップを行うことで、消費者とのつながりを強化します。例えば、地域イベントや実店舗での商品体験を通じて、顧客の信頼を得て、その後SNSやLINEを通じて追加情報や割引を提供する方法です。
代表例として、シニア向けSNS「おしるこ」があります。
シニア向けSNS「おしるこ」は、50歳以上の方々を対象にしたオンラインコミュニティです。シニアのコミュニケーションを促進し、オフラインでのイベントやリアルな体験をオンライン上でシェアする仕組みを構築することが可能な仕組みになっています。このSNSでは、同じ関心を持つ仲間との交流が生まれ、口コミ効果を通じて商品の購買につながりやすくなっています。また、SNS内でのクチコミを活用したプロモーションにより、しらけ世代にも自然に製品やサービスに親しみを感じてもらえ、信頼を築きやすくなります。
4.まとめ
しらけ世代のマーケティングにおいて、オンラインとオフラインの統合は欠かせない要素です。シニア向けSNS「おしるこ」の事例のように、シニア層が自然に共感できるコミュニティや信頼できるオンライン接点を提供し、オフラインでの体験をオンラインでさらに強化することで、消費者とのつながりを深め、口コミ効果を生むことができます。このアプローチは、しらけ世代の特性にぴったり合い、効果的なマーケティング戦略となります。
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